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靴磨きの聖女アリア  作者: さとう
第二章

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聖女

 聖女。

 すっかり忘れてた。私……すっごく貴重な『白』属性に適正あったんだ。

 勉強がメインの一年間だったから、魔法については知識くらいしかない。私、白属性……えーっと、回復魔法が得意らしい。

 でも、クロードを昔一度だけ治しただけで、あとはよくわかんない。

 基礎的な知識を叩きこまれ、「あとは学園で学べ」って言われたんだった。

 

「えーっと。なんか、そうみたいです。あはは」


 先生や生徒たちがポカンとしているので、曖昧に笑った……うう、見ないでぇ。

 いたたまれないので座ると、先生は「では、次……」とケイモンを差した。

 その後、自己紹介が終わり、ホームルームが終わった。

 今日はホームルームだけ。授業は明日から始まる。


「ね、ケイモン……帰ろ」

「帰ろ、って……お前、女子寮だろ」

「あ、そうだった」

「このあと、ロクサスとメシ食いに行く予定だけど、お前も来るか?」

「行く。視線がチクチクして痛いのよ……」


 ケイモン、ロクサスがいるおかげでクラスメイトが近づいてこない。

 ケイモンはイケメンで、ロクサスも高身長のスポーツ選手みたいなイケメンだ。この二人、間違いなくクラスのツートップ……うわやっば。


「おい行くぞ」

「う、うん」


 どこかムスッとしたレイラが近づいてきたので、私たちは慌てて教室を出た。

 絡まれたんじゃたまんないしね。

 そのまま急いで校舎から出る。


「で、ごはんどこで食べるの?」

「ああ。あっちにレストランあるんだ。生徒は無料で食える」

「お、いいね」

「ははっ、アリアは豪快だな。気に入ったぜ」

「そりゃどうも」


 ロクサスがケラケラ笑う。うん、イケメンは笑ってもイケメンだわ。

 ちょっと早い時間だけど、レストランへ。

 すると、ケイモンが。


「あれっ」

「あら?」

「あ、お姉様!!」


 なんと、ユリアお姉様がいた。

 友達といたようで、友達に「弟と妹なの」と言い、近づいてきた。

 そして、私たちに笑顔を向ける。


「入学おめでとう。もしかしてお昼?」

「ああ。ってか、友達いいのかよ? オレらのことは別に構わなくていいけど」

「いいの。可愛い弟と妹に───……あら? 久しぶりね、ロクサスくん」


 あ、お姉様もロクサスのこと、知ってるんだ。

 

「お、お、お、お久しぶりです、ゆ、ユリアさん!!」


 え……なに、このドモり方。 

 え、え、まさか、ロクサス……まさか。


「ふふ、入学おめでとう。ロクサスくん」

「あ、ありがとうございます!!」


 私はケイモンに耳打ち。


「ケイモン。ロクサスってもしかして……」

「ああ。姉ちゃんにホレてんだよ。当然、姉ちゃんは知らん」

「わーお……」

「とりあえず飯だ。おいロクサス、メシにしようぜ。姉ちゃ……姉上も」

「そうね。ロクサスくん、ご一緒していいかな?」

「は、はい!! ぜひ!!」


 ロクサス……ヤバい、この恋すごく応援したいかも。


 ◇◇◇◇◇


 レストランで頼んだのは「本日のおススメ」だ。

 到着するまでの間、私は聞いた。


「あの~……聖女って、そんなにすごいの?」


 そろそろ挙手すると、ユリア姉様が言う。


「聖女は、プロビデンス王国に一人しかいない治癒魔法士だからね。薬が効かない『死病』の治療とか、貴族や王族の病気治療とかするのがお仕事みたい」

「貴族や、王族だけ?」

「お金払えば平民にも治療するようだぜ。ま、オレらみたいな爵位の低い貴族も、高い金払わないと後回しにされるようだがな」

「えー……? なにそれ」


 ケイムスがそういうと、私はちょっと面白くなかった。

 やっぱ、貴族至上主義なのかな。平民の命は軽いのかも。

 人がいてこその国なのにね。


「な、アリア。治癒魔法、使えるのか?」

「んー、どうだろ。勉強はいっぱいしたけど、魔法は学園で習うってスタンスだったから、やり方とかよくわからない」

「そういえば、私たちも『白』属性ってことしか知らないわね」

「神官からの報告だし、間違いないとは思うけどよ……オレらも見たことないな。あ、そうだ」


 ケイムスは手を差し出してきた。今気付いたけど、人差し指に絆創膏みたいなのが巻いてある。


「今朝、ペーパーナイフで少し切っちまったけど、治せるか?」

「えー? 治せって言われても」

「まぁまぁ、やってみてくれよ」


 好奇心から、ってのが本命みたいね。

 ユリア姉様も、ロクサスも興味深々。

 とりあえず絆創膏を剥がすと、確かにちょこっと切れていた。


「とりあえず、治れ~……」


 適当に、ケイムスの怪我に軽く触れて「治れ」と念じてみた。

 ま、こんなんで治るわけないけど。


「……マジかよ」

「え」


 すると、ケイムスの怪我が綺麗さっぱり治ってしまった。

 淡く輝いた瞬間、傷が消えた。


「……すごい」

「おお……」


 ユリア姉様は口元を押さえ、ロクサスも口を開けて驚いていた。

 そして、ケイムスは。


「あ、ありがとよ……いやはや、驚いた」

「わ、私も……適当にやったのに、治るとかすごいわね」

「適当なのかよ。まぁ、いいけど」


 回復魔法、マジみたい。

 私の、聖女としての力……いやー、すごい。異世界に転生して初めてよかったって思う。

 

「今の、見せてもらったわ。ふふ……もう一人の聖女さん?」

「え?」


 と───いつの間にか、私たちのテーブルに近づいてきたのは……綺麗な赤い髪。

 今朝、見たばかりの人だ。

 確か名前は……。


「初めまして。私はメイリアス・ユグノー……ユグノー公爵家の長女よ」


 現れたのは、まさかの『聖女』様でした……うげぇぇ、厄介事の予感しかないよ!!

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