表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

私は託す

港町を出てからは、

しばらく馬車に揺られる生活が続いた。

「あーあ… せっかくの港町だったのに、野営疲れたんだけどぉ」ベティは荷台で寝そべっている。

「もとはと言えば、あなたが調子に乗りすぎるからよ。 生かさず○さず搾り取ることを覚えなさい」ユリカは馬をコントロールしながら、応対する。

「はいは。 悪うござんした…」

「まあ、私的には外でするのも、燃えるけどね」

「ばっ… ばかいうな。 結構… その、される側は… 恥ずかしいんだからな」

「それがいいんじゃない」

「このドSめ」

「フフフ。 そんな態度とってもいいのかしら?」

「勘弁してくれ…」ベティは顔を背けた。

「冗談よ。 それはそうと… ここ最近襲撃がほとんどないわね。 それどころか、優先権がとれることが多いわ。 これもあなたの力かしら?」

「多分な。 不意打ちがラッキーになることはないからな。 今私はあんたと運命共同体みたいなもんだから、あんたにも運が向いてもおかしくないさ」

「なるほどね。 つまり、私の幸せもあなたの幸せになっているってことね」

「なんだよ。 その言い方、気持ち悪いな」

「本当に便利な能力ね。 ありがたいわ。 けど、そろそろ戦いたいわね」

「そうか… 私はなるべく戦いたくないけどな」

「あら、そんなこと言ってると、強くなれないわよ」

「え? この世界って、レベルアップとかって概念あったっけ?」

「ないわよ。 でも簡単な話よ。 戦闘経験値を積めば強くなれるでしょ。 あと、対応力も上がるし」

「けどさ。 基本的に、私たちの戦いは命がけだろ? だったらなるべく戦わないに越したことはないだろ。 それに経験なんて積まなくても、私は負けないし」

「そうかしら? あなた自分の弱点も知っておいた方がいいわよ」

「弱点? そんなのあるか? あんたぐらいイかれたやつでも何とかはなるんだ。 大丈夫だろ」

「概念系」ユリカがぽつりとつぶやく。

「概念?」

「そう。 例えば、なんでも破壊できる能力とか、ね。 能力毎破壊されたら元も子もないわ」

「はぁ? そんなインチキありうるのか?」

「なくはないでしょうね。 それこそ、最初はそこまでの能力じゃなくても、破壊の仕方を理解することで能力が高まる可能性は十分あるわ。 それに、他にもなかったことにする能力や結果をただ押し付ける能力なら、あなたのラッキーを無視できる可能性もあるわね」

「そんなことありうるのか? 今まで戦った中でそんなやつはいなかったけど」

「それは運が良かっただけよ」

「だから、その運の良さが私の能力なんだよ」

「まあ、気を付けなさい。 それだけ忠告しておくわ」ユリカは馬車のスピードを上げる。


進んでいくと、街が見える。

ベティが身を乗り出す。

「お、なかなか大きい街じゃないか? やった。 久々のベッドだー」

「ベッドを悦ぶなんて… 意外といやらしいのね」

「うるさい。 そんなんじゃないわい」ベティが顔を赤らめ反論する。

「でも、その前に… 結構いるわよ。 気付いてる?」

「ああ、4人かな」

「惜しいわね。 5人よ」

「マジか… ああ、いるな。 微力だけど…」

「微力といっても、能力の強さとはイコールじゃないわよ。 油断しないことね。 どうしようかしら… あなたは誘う方がいいんだっけ?」

「だな。 攻め入る性質じゃないないな。 それに手の内知りたいし」

「同感ね。 私も手の内を知りたいわ。 それじゃあ、おびき寄せましょうか… まあ、カジノで目立てば来るでしょう」

「だな」ベティが指を鳴らす。

ユリカが上空に意識を送る。

「私もまだまだね。 6人だったわ」

「人間やめてるやつって、結構いるんだな…」


ユリカとベティが空を見上げる。

「何だありゃあ? 巨大な… 龍?」

「そうね。 龍ね」

「強そうだな」

「ええ。 こういう時、即死能力者がいれば楽なんだけど…」

「確かに、運よくそういうヤツと潰し合いしてくれればいいんだけど…」

「…あら、もう1人気配が増えたわね。 あなたの能力はそんなこともできるのね」

「ああ、本気で願えばできるな」

「ふーん。 できれば、龍の方に勝ってほしいわね」

「無理だろな? 即死能力の方が強いだろ。 多分あいつの能力はそれ系だよ」

「そうね… あ、龍が死んだわ」

「このまま、街のやつらも倒してくれたら最高だな」

「街に向かったわね。 気配がどんどん消えていくわ。 ちょっと、これじゃあ、つまらないじゃない。 1人ぐらい残すように願いなさい」

「え… めんどくさ」

「いいから… そうしないと、もうセッ○スするしか無くなるわよ」

「え… ええっ… いや、仕方ないなぁ。 じゃあ、願うよ」

「…よし、いいわ。 1人気配が残ったわ。 即死能力者かしら? それとも、他のかな? 今までにない能力だといいんだけど」

「はぁ… 何もしなければ、楽だったのに…」ベティはあきれた顔でユリカを見つめる。



ユリカたちは街に入ると、宿を取り荷物を置く。

「さて、ベティ。 私が戦ってくるから、あなたはこっちを頼むわ」ユリカはベティにお金を渡す。

「え? いいのか?」

「ええ、1人相手なら、1人の方がやりやすいからね。 あ、私にもしものことがあったら、この子、お願いね」ユリカはリジェの入った瓶を示す。

「あ、ああ。 と言われても、どうすればいいか分からないが…」

「簡単よ。 この子の頭に骨が刺さってるでしょ? これを外せば復活するわ」

「ふーん。 なら、さっさと復活させてやればいいのに」

「まだ早いわ。 もう少ししてからね。 それじゃあ、ね」


ユリカは宿を出て、1人残った能力者の方へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ