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20 英雄、情報交換をする

今日はもう一話更新する予定です。

「さて。落ち着いたところで情報交換といこうか」


 タイムが用意してくれたカフワという豆から煮出した飲み物を味わいながら話をすることになった。

 ちなみにこれにも香辛料が使われている。甘みがありながら苦みも感じる、不思議な味の飲み物だ。


「俺たちは地下一層の未踏破エリアの探索をしていたんだが、そこで転送トラップにローゼルが引っかかってしまったんだ。今回は一層から二層に転送されてしまって参ったよ」


 あの時、もう少し注意をすべきだった。

 状況に『慣れ』ていたのは俺の方だったのかもしれない。


「なるほど。迷宮にも転送トラップはあったが、あちらには階層という概念がないからな。合流するのが面倒なだけだった。だがこのダンジョンでは階層が違うと魔物の強さも大きく変わるようだからジニアたちが慌てたのも理解できる」


「幸い俺が使っているブレスレットは別の階層の地図も表示できたからローゼルが地下二層にいることがわかったんだ」


 ローゼルのブレスレットは今いる階層しか表示できない。というか、それがブレスレットの一般的な性能だ。低品質なモノだと自分たちの周囲しか確認できないことだってある。


 だが俺の使っているブレスレットは塔で見つけた高性能のものだった。

 このブレスレットを使っていなければ当てもなく地下一層を探し回っていたかもしれない。


「私がこの遺跡を探索しているところに彼女が転送されてきてな。最初は状況がわかっていなかったようだが、自分だけはぐれてしまったのがわかるとチームと合流をしたいと言い出したのだ」


 シクモアの視線が互いに寄りかかって寝息を立てている双子に向けられる。

 二人とも疲れていたのだろう。


「一緒に地上へ戻ってもよかったのだが、ジニアたちが探している可能性もあったからな。しばらくここで待ってはどうかと提案したのだ。結果的に正しい判断だったようだ」


「ありがとう。ダンジョンで孤立した場合の心得は伝えてあったんだが、それをよく覚えていてくれたものだ。本当によかったよ」


 ダンジョンで孤立した場合、まずは自力でなんとかできる状態かそうではないかを見極める必要がある。

 今回の場合は運よくシクモアたちに保護されたので動かないことを選択したのだろう。


 もしシクモアたち出会っていなければどうなっていただろうか。

 確認のためにも改めて聞いておくべきだろうな。


「俺たちはこのトラップの報告もあるから地上に戻る予定だが、シクモアたちはどうするんだ?」


「我々もそろそろ一度戻るつもりだった。よかったら同道しないか」


「喜んで。地上に戻ったら今回のお礼もかねて一杯奢らせてほしい」


「ジニアさん。シクモアさんたちの国では飲酒が禁止されているはずでは?」


「そうだったな。じゃあ、食事に招待させてくれ。とはいえ俺は料理ができないからさっきのレプリケーターを使ったものになるんだが」


「それはいい。喜んで招待を受けよう」


「シクモアたちの国では香辛料をたくさん使うんだったな」


「はい」


 料理人のタイムが頷く。


「これは俺が塔に入った時に見つけたものなんだが、よかったら受け取ってもらいたい」


 ストレージからいくつか小瓶を取り出して手渡す。

 蓋を開けたタイムは匂いをかいでみたり、手に少量とって舐めてみたりしている。


「これは……私も知らない味と香りがします。このような貴重なものを本当にいただいてもよろしいのですか?」


「俺には使い道がないからな。受け取ってくれたら嬉しい」


 タイムが許可を求めるようにシクモアを見る。


「ありがたく好意は受け取っておくがいい」


「感謝いたします。これを使って美味しい料理ができないか研究してみます。その時にはぜひジニア様たちにもご賞味いただきたいのですが」


「楽しみにしているよ。たぶん、ローゼルが一番楽しみにしていると思うけどな」


 それを聞いてタイムも笑っていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


「続きを早く読みたい!」と思われましたら【ブックマークに追加】(更新通知にチェックを忘れずに)をお願いします。不定期更新なので、その方が読み逃しがないと思います。

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