表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/148

32 英雄、ギルドマスターに頭を下げられる

今日も頑張って3話更新しちゃう予定です!

楽しんでいただけたらブックマークと評価をお願いしますね。

「それよりも俺はお前に一言言っておきたい」


「なんだ」


 腕を組んだオウリアンダは口をへの字にしている。


「あんまり周囲を煽るような配信は控えてくれ」


「煽る? そんな配信をした覚えはないが」


 そもそも配信したのはミノタウロスを倒したやつと、この前の地下一層をクリアした二本だけだ。


 見ようによってはミノタウロスをアームドコートなしで倒したのは煽っていると言われても仕方がないかもしれないが、そんなことを言われても、なんだ……困る。


「実はですね。先日のジニアさんの生配信が話題になっているんですよ。すごくスムースに地下一層をクリアしているじゃないですか。それを見てタイムアタックに挑戦しているチームが増えているんですよね」


 あの配信を見てどうしたらそういう受け取り方になるんだ。


「あれはそんないい配信じゃなかっただろ。罠を見落としたり、魔物に気が付かなかったりしていたし」


 探索者としての経験を三人娘に積ませるために俺はフォローに徹していた。

 ヤバくなる前に俺が口を出して事なきを得たわけだが、決して褒められた探索ではなかったはずだ。


「ですが短時間で地下一層をクリアしたのは事実ですよね」


「それは……まあ、そうだが」


 あれはたまたま運がよかっただけのことだ。


 もともと慣れた探索者なら地下一層のことなんてすべて頭に入っている。

 どこに魔物が出て、どこに罠があって、どう進めば短時間で次の階層へ進むことができるのかを全部知っている。


 あの時は地下二層へ行くのが目的だったから、最短ではなく比較的安全なルートを選択した。

 理由は三人に探索の経験を積ませるため。だから魔物とも遭遇したし、罠もあった。


 魔物なんて同じ場所にいることの方が少ない。

 次に同じルートを通っても同じ時間でクリアできるとは限らないだろう。


 なにより探索者にとって階層を早くクリアするのは目的ではない。

 ただの過程に過ぎないのだ。


「ギルドでなんとかならんのか?」


「難しいだろうな。もちろん基礎講習なんかは今までと同じようにやっていくが、配信は影響力が良くも悪くも大きすぎる」


「便利になった分の弊害ってわけか」


「ギルドとしては助かっている部分が大きいんですけどねえ。事務的な処理もスピーディーになりましたし」


 未踏エリアの報告や新たな魔物の脅威といった報告は映像があることで情報の精度が格段に上がったとは聞いている。


「そういえばパチェリィからダンジョンに入る時の心構え的な配信をしてほしいって言われたんだったな」


「あ、そうでした。ギルドからの正式な依頼にしてもらえないかってことなんですけど」


「そいつも検討はしたんだが……」


 ピシャリと頭を叩いたオウリアンダが唸る。


「なにしろ過去に例のないことだからなあ」


「だったら一探索者の俺に頼るなよ」


「お前ならなんとかしてくれるんじゃないかと思ったんだよ」


 そんないい加減な話があるか。


「ジニアさんはササンクアさんたちの訓練をしているんですよね。その様子を配信してはいただけないでしょうか?」


「それはみんなと相談しないとなんとも言えないな」


 この依頼は受ける方向で話がまとまっていたが、俺たちが置かれた状況を考えれば改めて相談をしておくべきだろう。


「ランクについても考慮するようにするから頼む」


 ギルドマスターに頭を下げられたら仕方がない。


「わかったわかった。その頭を上げてくれ。他人の目があるところでギルドマスターが簡単に頭を下げるなよ」


 もっともそこも計算に入れて頭を下げているんだろうが。

 俺も断るつもりはないし。


「だがみんなが嫌だと言ったらこの話はなしだからな」


「ああ、わかっている」


 とはいえ受けることになるだろうとは思う。

 前に話をしたときの反応は前向きだったしな。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」と思われましたら、ブックマークや評価をお願いいたします。

書き溜めが増えていかないのはやる気ゲージが影響しているからだと思われます。

広告の下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると評価となります。


次は20時台に更新します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ