23 英雄、地下二層について語る
今日も2話更新の予定です。
昨日はがんばって3話書いたのでストックが一つ増えました……ふふふ。
「楽しみにしてもらっているところ悪いが一つ問題がある。グレーパックは地下二層以降で手に入るものなんだ」
途端、三人がガックリと肩を落とす。
「地下二層なんて今のわたくしたちには到底無理ですわ。あれからダンジョンについていろいろと調べておきましたのよ。地下二層で安全に探索するには6級程度のランクが必要とありましたわ……」
「7級や8級の私たちでは厳しいですね……」
「シショー。ローたちじゃ、ダメ、なの?」
「大丈夫。ササンクアの展開するシールドなら地下二層の魔物でも簡単には破れない。それにティアとローゼルも攻撃力だけなら6級並みにはあるさ。それに俺もいるしな」
ぱぁっと顔が明るくなる。
「やった! ロー、いっぱいたべる!」
「いっぱいはダメですわ。でも一食ぐらいは構いませんわよね?」
「そうですね。何事も挑戦ですからね」
「わかったわかった。予定より多く回収できたら食べよう」
これはいくつもポイントを回る必要がありそうだ。
それも経験になるから構わないんだが。
「次は地下二層について話をしよう」
「そこもちゃんと調べてきましたわ!」
得意げにティアが体を乗り出す。
「地下二層は一層よりも危険な敵が出るのですわ。そして最も特徴的なのが、まるで外のような環境ということですわね」
「外ですか?」
「ええ。なんでもダンジョンの中なのに海まであるのだとか。あとはうっそうと生い茂った森や強い日差しの照りつける砂漠のようなエリアもあるとのことでしたわ。それから海には水生生物がたくさん暮らしているそうですの」
冗談を言われたのかとでも思ったのか、ササンクアが俺を見る。
「事実だ」
たしかに地下二層はダンジョンなのに海がある。
しかも天井が非常に高く、おまけに太陽があるかのように明るい。
日差しと言っていいのかわからないが、光の強さは地上とそれほど変わらないだろう。
「……ダンジョンですよね?」
「ダンジョンだな」
ササンクアは納得しがたい顔をしているが事実なのだ。
「わたくしも書物で調べただけなので半信半疑だったのですけれど、ジニア様がそうおっしゃるのなら事実なのでしょうね。驚きましたわ」
「ダンジョンだから屋内だ、みたいな先入観は持たない方がいい」
なにしろ地下四層になると雪で一面が真っ白になっているからな。
あそこへ行こうと思うのなら、事前に防寒の用意をしっかりしておかないと足を踏み入れたのを後悔することになる。
「日差しが強いということはなにか準備をした方がいいでしょうか」
「ノービススーツを纏っていれば大丈夫だ。少なくとも日焼けの心配はしなくていいぞ」
「本当に便利なものなのですわね」
「とても、すごい」
ローゼルが手首のあたりを摘まんでノービススーツを引っ張っている。
「あと一つ。これはまだ確定ではないんだが、ギルドからダンジョン攻略の経験に乏しい者が参考にできるような配信をしてくれないかという話をもらった」
「まあ! わたくしたちもついに配信デビューなのですわね!」
「もう、うつってるよ?」
ミノタウロスを倒すところは生配信をしていたからティアたちも映っていた。
それでヒサープの目に留まったわけだし。
「それはもう受けた依頼なのですか?」
「いや。ギルドからの正式な依頼にしてくれとゴネておいたからどうなるかはわからん。だが正式な依頼があれば俺としては受けてもいいと思っている。みんなはどうだ?」
「わたくしは賛成ですわ! それで注目を集められたら推薦もいただけるでしょうし」
「ローも、いいよ」
「私も構いません」
「そうか。じゃあ、依頼があれば受けるとするか。俺からは以上だ」
他に質問はないかと見渡してみる。
「もう聞きたいことはないようだな。じゃあ、出発しようか」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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