喘鳴
機械は、呼吸する
嘘だと思うなら、確かめてみればいい
窓も、扉も締め切り
雑音を、限りなく、排除する
10年使っている
ごてごてしい体躯に顔を寄せ
耳をつける
ヴィーと、薄く、途切れなく低く唸り
カリカリと、ディスクを引っ掻く
電気という酸素、血液、信号
試しに耳を付けたまま
データを一つ、呼び出してみる
一際、大きくブン、と息を吸い
グルグルと、電気の脈動を伝える
これが、物なのか?
今ここに、私の顔の横にあるのは
四角い体躯の、内臓の弱った老人だ
喘ぎながらも駆け続ける
モノだ