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エピローグ 独白と毒吐
遠くで救急車のサイレンが鳴り響いている。
大勢の人の、叫び声。動揺する声も聞こえて来た。
天秤の魔女はそれを眺めながら思う。
馬鹿ね。
一度自分本位な選択肢を選んだなら、最後までそれを貫けばよかったのに。
そうすれば最後まで幸せなままでいられたのに。
不幸な人間が産まれるのは仕方のないこと。
幸せの下敷きになっているのが、誰かの幸せだったなんて事、よくある事なのに。
何でそんな、よくある事を大した事だととらえるのかしら。
人間って、本当に馬鹿ね。