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01 彼女と友人の晴れ舞台
俺の彼女が交通事故にあった。
怪我は重くて、重症らしい。
生死の境をさまよっているようだ。
俺はすぐにでも、彼女の元へ行って、その手を握りしめてやりたかった。
だが、問題がある。
俺は今車を走らせている。
後部座席には親しい同乗者。
俺は、友人をある場所におくり届ける最中だったのだ。
友人は頭の良い科学者で、夢に向かって頑張っている。
その日は発表会があって、大勢の前で研究結果を発表する日だった。
友人の将来を考えれば遅れる事などできるはずがなかった。
けれど、俺は彼女も大事だった。
悩む俺に、誰かが語りかけて来た。
「一生傍にいる大切な女性と、時期がきたら離れていっちゃう友人。あなたはどっちをとるの?」