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嘘つき英雄と嘘の妹 ~旧版~  作者: 野良犬タロ
ロキウス編
79/101

#79 三人の刺客


~ウルド B.R.A.I.N基地~


「十時の方向に敵多数!!」

「あいよ!!」

 ディグが指示するとライが手榴弾を投げてそれを撃って爆発させる。

「オラァッ!!」

「でやぁぁぁッ!!」

 敵が怯んだ隙にグラとメロが一気に斬りかかる。

雷光の刃(ライトニングエッジ)。」

 付与(エンチャント)魔法の詠唱を完了した瞬間にグラ達の横から斬りかかって敵を薙ぎ払う。

「あんまり突っ込みすぎんなよ?」

「うぐっ。」

「うるせぇなぁ!」

 俺が叱咤するとメロは苦虫を噛み潰したような顔で顔を歪ませ、グラが逆ギレする。

 迫り来る猟犬(ハウンド)、警備員たちを銃、剣、魔法、各々の武器で薙ぎ払いながら俺たちは進んでいた。

「お兄ちゃんッ!!!」

「ッ!!」

 ルタが警告した瞬間俺はすぐに察して後ろに飛ぶ。

 ()()で感知できたからだ。

 案の定というか、俺のいた場所の地面から火柱が上がる。

「誰かいるな!? 出て来い!!」

「てめぇで探せや!!」

 俺が罵声を浴びせるとデカい男の声がするのでその方向を向くと火柱の犯人らしき奴らがいた。

「おいおい。まさかお前らも・・・いや考えてみれば当然か。」

 そいつらを見てライが苦笑いを浮かべる。

「久しぶりだなザコ!!」

「頭の悪そうな挨拶は相変わらずだなぁ、ビルド!!」

「うっせぇッ!!」

 敵の一人はガタイがでかく、ほぼほぼ丸坊の頭に剃り込みを入れており、ライとタメを張れるぐらいのガラの悪い男だ。

「ぐッ!?」

 ライは突然うめき声をあげる。

「ライッ!!! ・・・!!?」

 呼びかけるがすぐにその状況を理解できた。

 ライの目の前に空間が歪んで穴のようなものが開いており、そこから手が伸びていてその手に持っていた短剣(ナイフ)でライの腹部を刺していた。

「裏切り者・・・ママから逃げた裏切り者・・・! ママを悲しませた裏切り者・・・!」

 ライを刺した犯人は先ほどビルドと呼ばれた男の横にいた刈り上げ頭の陰気臭い男だ。

 その証拠に奴の右腕辺りに同じ穴が開いており、その穴に手を突っ込む様に入れていた。

「おいおいテル。五年も見ないからちょっとは変わったと思ったのにまだ乳離れできねえのか?」

「うるさいッ!! お前にママの何がわかる!!」

「いやお前の事言ってんだけど?」

「なあライ。もしかしなくてもあいつ・・・マザコ

「あ、おいバカ!!」



「僕を『マザコン』って言うなぁぁッ!!」



「うわッ!!?」

 テルと呼ばれた男が叫ぶと突然ライに掴まれて横に引っ張られる。

 すると俺の頭が元々あったと思われる辺りの後ろから手が現れて短剣(ナイフ)突き出されていた。

「気ぃつけろ? あいつにマザコン(それ)禁句だからな。」

「いやこの状況で言わないの無理があるだろう・・・ッ!!?」

 俺たちが 気の抜ける会話をしている間にさらに事が起こる。

 無数の透明な短剣(ナイフ)のような棘が突然前方の上空から飛んでくるだが狙いは俺達ではない。

 メロだ!!

「メロッ!!」

 だが棘はメロに襲いかかる寸前のところで止まる。

 一瞬何が起こったかと思ったがすぐに理解できた。

 ティルが手を前方にかざしている。

 恐らくはサイコキネシスで進行阻止しているのだろう。

「もう、危なかったじゃない! あと一歩遅かったら愛しのメロちゃん蜂の巣だったわよぉ?」

 ビルドの陰から出てきたのは褐色肌の金髪女。

 転移ゲートの前で映像で現れた女、レッサだ。

「さっきぶりだなぁクソビッチ。」

「私のことは名前で呼んでくれないのぉ? 悲しいなぁブラザ~?」

「家族を語るならその人の物を壊したがるゆがんだ性癖直してから言うんだな。」

「あはは、無理無理無~理~☆ ヘビーゲーマーがゲームやめらんないのと一緒一緒♪ 染み付いちゃった嗜好なんて直すのなんて無理無理♪」

「そう言うのが許されんのは人様の迷惑に関わらない範疇だ。」

「あれれ? ライってばいつの間にそんないい子ちゃんになったわけ?」

「はっ、頭だけじゃなく目までおかしくなったか? で?」

 ライは銃を構えながら周りに目を配る。

「雑兵に主戦力たった三人? まさかその戦力で俺達とやろうってのか?」

「うーん、そうだよね~! そっちは戦力揃ってるのにこっちはこれだけだよね~! やだ~私達ピーンチ☆」

「おい気を付けろお前ら、こいつら何か隠してるぞ。」

「ああ。」

 ライは警告するがほぼその必要はないだろう。

 あまりにもレッサの口ぶりがわざとらしいからだ。

「別に~? 何にも隠してないけどぉ?」

 そう言うとレッサは空中に浮き上がるように飛び上がり、ビルドはそのまま前に飛び出す。

 テルは先ほどの空気の歪みの穴を自分の下に作って落ちていくように地面に潜っていく。

 そういった形で三人は分散する。

 だが俺たちにはそんなことは関係ない。



「みんな!! ()()()()に行くよ!!」



「「「「オーケー!!」」」」

 そう言うと俺たちはそれぞれの組で三手に分かれた。



~ケディ 官邸前~


「突破しろぉッ!! 敵は目の前の虫共だけじゃないぞッ!!」

「通すなぁッ!! 俺達の踏ん張りにあいつらの命運がかかってんだぁッ!!」

 官邸前の戦闘は更に激しくなっていた。

 先程大尉が先行していたが大尉が押しているのに勢いづいて敵が戦線を上げてきて私たちはそれらを迎え撃つ為に銃やA(アサルト).A(アーミー)、獣人の白兵戦で対抗していた。

 だが私たちの戦いなど()()()()に比べれば子供の喧嘩に等しい。

 先程からガツン、ガツンと何かがぶつかり合う音があちこちで聞こえたかと思うと大尉とゾルガが現れては消えていく。

 まさに超人同士の戦いだ。

 私達ではとてもじゃないが目に負えない。

「大尉・・・!」

 正直信じられなかった。

 あの化け物とも言える大尉に対して互角で戦える奴がいるなんて・・・!

 いや、そんなことはどうでもいい!

 戦況はどうなっている?

 どっちが優勢なんだ?



~ゾルガ 官邸前~


 奴との戦いは真っ向からの打ち合いだった。

 距離を取ろうとすれば詰められ、近づけば相手も離れ、そうして移動を繰り返しながら幾度にも拳で、足で、頭突きで、肩で、己の武器になる全ての五体を駆使して奴との戦闘を繰り広げていた。

「ッ!!」

 互いに空中に居る時、奴は突如大振りの蹴りを俺の横腹に向かって振り上げる。

 俺はそれを防御(ガード)するが、奴の蹴りの威力は強く、近くの瓦礫に吹き飛ばされる。

 奴は着地から態勢を立て直すのを待たずしてすぐに地面を蹴って俺に詰め寄り、右ストレートを食らわせに来るが俺は狙いの顔面をずらして奴の腕を掴む。

「ッ!?」

「オォラァッ!!」

 奴を空に投げ飛ばす。

 そこから更に左拳で殴りかかると奴は身体をねじってそれを受け流し、そのまま身体を横回転させながらまた右ストレートで殴りかかって来るが俺はそれを左足の膝で止める。

 互いの身体の部位がぶつかり合ったことで距離が離れ、離れた地点で着地するとまた俺達は瞬時に地面を蹴って距離を詰める。

 奴が右足で蹴りに来ると俺も蹴りで合わせて相殺する。

 すると今度は奴は無数の左ジャブを撃って来る。

「オラオラァッ!!」

 俺はそれを両手のラッシュで迎え撃って相殺し合う。

「・・・にぃ!」

 奴は微妙に顔をニヤつかせると余った手で右ストレートを放つ。

「くっ!」

 俺は紙一重で回避する。

 掠めた頬から切り傷のように血が噴き出す。

 だが奴は隙だらけだ。

 俺は反撃(カウンター)気味に左拳を放つ。

 すると奴は身体を逸らして躱し、左膝を蹴り上げて俺の腹部に蹴りを食らわせて来る。

「ッ!」

 俺は踏ん張って耐えて奴の膝を掴み、地面に叩きつける。

 奴が倒れた隙に足で腹部を踏みつけようとするが奴はすぐに横回転で転がって躱し、起き上がり様に水面蹴りを食らわせて来る。

 まんまと奴の技を喰らって転びそうになるが奴の頭を掴んで道連れにしようとするがそれも頭をずらして躱される。

 だが倒れまいと俺は地面を殴りつけ、その反動で身体を跳ね上げて上下を半回転させて着地する。

 丁度その時、奴に背を向けていた。

 無論その隙を逃すまいと奴は一気に詰め寄ってくる。

 だが俺は完全に振り返らず、半分振り返り様に思いっきり地面を蹴って走り、逆に体当たりを食らわせる。

 諸に奴は喰らって瓦礫に吹き飛ぶが奴は空中で身体を入れ替えて瓦礫を蹴って、反動でまた俺に向かって来る。

 その時、奴は既に右拳を固めて振りかぶっていた。

 だが俺も同じように右拳を固めていた。

 迎え撃つッ!!!



「「おおおおおおおぉぉぉッ!!!」」

 


 互いに雄たけびを上げ、右ストレート互いに放ち、互いの拳がぶつかり合うと、ぶつかった反動で互いに後方へ吹き飛ぶ。

 互いに吹き飛んだ先の瓦礫に埋もれるがすぐに瓦礫を巻き上げて互いに跳んで距離を詰める。

 奴の右拳と俺の右膝、俺の左拳と奴の左肘、俺の右拳と奴の右足、互いに身体の部位を何度もぶつけ合って戦う。

 その際にも互いに背後や側面に回ろうと移動し、それらを阻止するために身体を移動させながら俺達は気の遠くなるような数のラッシュをぶつけ合う。

「楽しい・・・楽しいなぁおいッ!!」

「戦ってる最中だってのにッ!! 余裕ねあんたッ!!」

 奴は悪態を吐くがそんなのはどうでもいい。

 楽しくてしょうがない。

 俺が火神(アグニ)を使って相手を秒殺できなかったのはグラの歳ぐらいのガキの時以来だ。

 こいつは本当に楽しませてくれる。

「このままずっと()り合いてぇ!! ()り合いてぇのになぁッ!!」

「あんた何を言って・・・ッ!?」

 奴は異変に気付く。

 俺もその異変には気づいていた。

 さっきから熱いからな。

「へへ・・・!」



 俺の頬の紋章から僅かだが炎が上がっていた。



~ラベスタ 研究所(六年前)~

 

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 息を切らしながら研究所中を走り回っていた。

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 でもいつまでも走っていられず、立ち止まって息を落ち着かせる。

「どうしたんですか? 室長?」

 部下の女が駆け寄って心配そうに私の顔を覗き込む。

「ッ!!」

 女の肩を掴む。

「女の子見なかった!?」

「え?」

「三歳のッ!!」

「さ、三歳の女の子!?」

 そう、居なかった。

 昨日家中を探してもアリスが居なかった。

 捜索届を民警に出したが一向に返事が返って来ない。

 嫌な予感がして研究所に出勤直後、研究所中を探し回っている。

「ええと・・・見てないです。」

「・・・。」

 一瞬シラを切ったかと思ったが困惑気味にいう様子だとどうやら本当のようだ。

 多分他の研究員に聞いても同じ返答が返ってきそうだ。

 ・・・そうだ。

「ッ!?」

 女は困惑する。

 私が胸倉を掴んだからだ。

「室長!!」

「え?」

「室長から連絡なかった!?」

「連絡? あー・・・。」

 女は何かを思い出したかのようだが口に出すのを躊躇っている。

「何!? 教えて!!」

「わぁ!! 主任!! 落ち着いて!!」

 女を揺さぶると女は私を諭すので揺さぶるのをやめる。

「昨日の夜、メールで来ましたよ? 全体連絡だから主任も知ってると思うんですけど・・・。」

「え?」

 室長が研究所に連絡?

 そんなの知らない!!

「『第三研究室(ラボ)に整備業者が来るから閉鎖、私も立ち合うのでそこにいる。多分危険だから誰も入るな。』って・・・。」

「!?」

 端末で昨日確認してたけどそんな連絡、私には来ていなかった!!

「・・・。」

「主任?」

 視線を逸らし、考え込む私に女は困惑気味に声をかける。

 私にだけ来ていないのはおかしい。

 間違いない。

 私に黙って第三研究室(ラボ)を使っているんだ!

「ッ!!」

「あっ!! 室長!! 待って下さーいッ!!」

 女が追いかけて来るが関係なく走る。



ーーー「ハァ・・・ハァ・・・!」


 第三研究室(ラボ)の前まで来る。

「主任!! どうしたんですか!?」

「・・・。」

 女は追いついて来て息を切らしながら私に声をかけて来る。

 でも関係ない。

「主任!?」

 第三研究室(ラボ)に歩を進める私を見て女はぎょっとする。

「ちょっと!? 第三研究室(ラボ)は封鎖してるんですよ!? 勝手に入ったら・・・!」

「あんたは来なくていい。」

「主任・・・。」

「持ち場に戻ってて。」

「・・・。」

 女はどうしていいのか分からず立ち尽くすが、そんな彼女を無視してドアの装置にカードキーを通して扉を開ける。

「あ・・・その・・・えと・・・!」

 女はますますどうしようとばかりにおろおろしているが私は迷わず進む。



「・・・。」

 整備業者が来るとは言っていたが人の一人も居ない。

 やはり昨日の夜に私以外に連絡していた内容は嘘だったのだ。

 第三研究室(ラボ)、薬の投薬などの実験に実験動物(モルモット)の鼠などを使う場所だがどうしてそんな場所を・・・なんて、予感は一つしかない。

 アリスが此処にいるのなら早く見つけないと・・・!



ーーーしばらく辺りを見渡しながら探していると・・・。


「ッ!!?」

 何やら人だかりがあった。

 白衣を見る限り科学者のようだが顔はどいつも見た事のない奴らだ。

 何かを囲うように眺め、数人は何かを書き留めるようにノートにメモを取っていた。

「あんた達ッ!!」

 私が声を上げるとそいつらはぎょっとするがお構いなしに私は駆け寄る。

「どいてッ!!」

 人だかりを押しのけて進んで行く。

 中心にいたのは・・・。

「ッ!!? アリスッ!!!!!!」

 アリスだ!!

 機械仕掛けの椅子に座らされており、頭に変な機械の装置を付けられていた。

「アリスッ!! アリスッ!!!」

 すぐに駆け寄ってアリスに呼びかけながら身体をゆするがぐったりとしていて反応がない。

 それどころか目が開いてるのにほぼ白目を向いていた。



「いや実に残念だ。」



「・・・え?」

 後ろから聞き覚えのある声が聞こえて来る。

 振り返ると・・・。

「室長・・・!?」

「ふむぅ・・・。」

 室長は気難しそうな顔で私ではなく、アリスを眺めていた。

「脳内に通常では得られない刺激を与えれば脳の防衛本能で力が発現すると思ったが、実験は失敗だったな。ものの見事に壊れてしまった。」

「何を・・・何を言ってるんですか・・・!?」

「ああ、安心したまえ。()()()()()()()()()()()。この被検体(モルモット)は孤児院で凶暴だった為に手が付けられなくて追放同然にうちにあずけられた子供だ。」

「ッ!!!」

 怒りで訳が分からなくなりながら室長の胸倉を掴む。

「そんな嘘が通用すると思ってるんですかッ!!?」

「おいおい、何をそんなに興奮してるんだ?」

 室長はあくまで自分のしたことを認めない。

 私が・・・この子の親である私がアリスを他の子供と間違える訳が無い!!

 それにアリスがいないのも辻褄が合い過ぎるし言い逃れなんかできる訳が無い!!

「だから違うと言ってるだろぶッ!!?」

 平然とシラを切ろうとする室長の頬を思いっきり平手でぶっ叩く。



「室長・・・あなたを・・・あなたを絶対に許さないッ!!!!」




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