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嘘つき英雄と嘘の妹 ~旧版~  作者: 野良犬タロ
ロキウス編
55/101

#55 救出


~ウルド 収容所通路~


輝く人類(グロリアス)計画?』

『そ。私もちょっとB.R.A.I.Nについて調べてたんだけどね・・・。』

 収容所の中の監視棟。

 その通路に張り巡らされた赤外線のレーザー。

 これらを会議室でもらったゴーグルをつけて避けながら進む中、俺とルタは周りに気付かれないように念話で会話していた。

 ライ達に関して何か知っていることが無いか聞いてみると予想以上にルタはよく知っていた。

『奴ら人間の細胞やら遺伝子やら色々いじくりまわして進化した人間を作ろうとしてたんだよ。』

『それが『輝く人類(グロリアス)計画』・・・で、こいつら?』

『おそらくはね。』

『ちょっと待て! それじゃ元々こいつらB.R.A.I.Nの連中ってわけじゃねえか!!』

『そういうことだね。』

『それが何で反逆する側になってんだ!?』

『さあね。内輪揉めでもあったんじゃない?』

 事情を把握しきったわけじゃないが粗方のことは納得がいった。

 おかしいと思ってたんだ。

 武器の整理もできる上にハッキングやら技術職がやたらできる子供。

 脳が半分機械でできてるような子供。

 いくらロキウスの技術が特殊だと言ってもこいつらはあまりも特殊過ぎると思っていた。

『ッ! お兄ちゃん!!』

(!! おい待て!)

(?)

(師匠?)

 ルタの警告を察して二人に待ったをかける。

(メロ。)

 俺は米噛みをノックしてメロに()()()()を催促する。

(え? なんです?)

 メロはアホなので全く理解していない。

(バカッ!! 魔力探知だよッ!!)

(あ~・・・。)

 ようやく理解するとメロは目を閉じて魔覚に意識を集中する。

(・・・! すぐ先の右曲がり角・・・二人いるのです!)

(隠れろ!!)

 丁度近くにあった弾薬の木箱の陰に隠れるとメロが感知したように警備員が二人角を曲がってこっちに来ていた。

 奴らは何も気づかずに通り過ぎていく。

(へぇ、今のが魔覚って奴か。便利だな。)

(・・・。)

(どうした?)

 じっと見て黙り込んだのをライに気づかれて俺は視線を逸らす。

(別に・・・ロキウスの人間から便利って言葉聞くとは思わなかっただけだよ。)

(感知したの私ですけど・・・?)

(ハイハイえらいえらい。)

(頭撫でないで下さい! 子供扱いするなです!)

 頭をわしゃわしゃ撫でるとメロは鬱陶しそうに手を払いのける。

(へっ・・・。)

 皮肉気味に鼻で笑ったらすぐにまた走り出す。


―――「着いたぞ。」

 ライは目的地に着いたことを告げると目の前にあったのは人間が三、四人ぐらい取れそうな扉だ。

「いいか? 中に入ったら目に止まった奴らは全員殴り倒す。オーケィ?」

「まじか。」

 またとんでも機械の何やらを使って制圧するのかと思ったがここは脳筋のゴリ押しなのな。

「せーのッ!!」

 ライの掛け声とともにドアを蹴破って部屋に突入する

「うわ!」

「なんだ!?」

 中で監視していた警備員たちは揃ってぎょっとする。

 この一瞬の隙に俺たちは三方向に分かれて突撃し、ライは麻酔弾で三人撃つ。

 俺はひとりの脳天に剣の峰打ちで殴り拳弓銃(ハンドボウガン)の麻酔矢で一人沈める。

 メロは飛び蹴りをひとりの脳天にぶちかます。

 結果、六人いた警備員は一瞬で鎮圧された。

「よーし、俺の勝ちだな!!」

「いや倒した数競うとか聞いてねえぞ・・・。」

「師匠に同じくなのです・・・。」

「「黙ってろビリっけつ。」」

「何で私にだけマウント取るのですかッ!!」

『はいはいふざけてないでさっさとカメラ止めちゃって。』

「はいよ。」

 ライはいつもの調子で軽口を叩きながら銃で警備員の使っていた装置の画面を撃ち抜こうとするが・・・。

『ちょっと待った。』

「あ?」

 通信機からはフレッドの声がする。

『壊す前に捕虜の収監されている牢屋の位置を調べてくれ。』

「なんだ? そっちで下調べしてないのか?」

『本棟の中の情報はブロックが厳しくてね、調べられなかったんだ。』

「はぁ・・・分かったよ、しょうがねぇなぁ。」

 ライは渋々端末を操作する。

『う~ん・・・。』

「?」

 腕輪からルタの悩ましげなルタの声が聞こえる。

『どうした?』

『順調過ぎる・・・。』

『? 別に良いことだろ?』

『いやそうなんだけどさ・・・。』

『何が不安なんだよ。』

『いやね? 私達がこうやって獣人達を奪還しようとしてるのをB.R.A.I.Nが気づいてないとは思えないんだよね。』

『考えすぎだろ。』

『だといいんだけどね・・・。』

 ルタと念話している間、壁一面に絵画のように張り巡らされている画面にはカメラから写っているであろうと思われる映像がいくつも浮かんでいた。

 ライはその映像をいろいろ見ている恐らくは獣人が収監されている牢屋を探すためだろう。

『お兄ちゃん!』

『何だ?』

『あれ見て!』

『アレってなんだよ。腕輪の中なんだから指させないだろ、言葉で言え。』

『上から三番目、右から二番目にあるモニター!』

『・・・? あ!!』

 ルタが指していた映像は監獄の中の囚人の映像だ。

 だがそれは獣人ではなく此処に収監されるのは絶対にあり得ないであろうある人物がいた。



~ケディ 収容所 独房~


 私は今灰色の囚人服で独房の中にいる。

「・・・。」

 粗末なベッドの上、私は膝を畳んで縮まるように蹲る。



―――昼間のことだ。


「失礼いたします。」

 私が入ったのは資料室だ。

「あ~ら、ケディ少尉じゃないの!」

 そこに居たのは報告データを端末で纏めていたビリー大尉だった。

「なんか用?」

 ビリー大尉は気さくに笑いながら席を立って私の方を向く。

「・・・。」

 彼の元へ来た目的は決まっている。

「ビリー大尉。質問があって来ました。」

「あ~ら、今度のデートの日程かしら?」

「何故鎮圧した獣人に情報を聞き出さず収監所へ投獄したのですか?」

「・・・。」

 大尉は黙り込む。

「あの獣人と一緒にいたあの男は一体誰ですか?」

「質問は一つずつにしなさい?」



「『B.R.A.I.N』とは一体何の組織ですか!?」



「・・・。」

 大尉は黙り込む。

 やはりだ。

 大尉は何か知っている。

「やぁだ、ケディ少尉ったら♪」

「?」

 大尉は何故か笑い出す。

「もしかしてあんた、あたしが『悪の秘密組織の一員』だとか思ってる?」

「・・・。」

 警戒を緩めない。

 二、三歩の距離を保ったまま腰の拳銃に少しだけ手を伸ばす。

「全く、民警あがりでちょっとの事でもすぐ疑う癖、変わってないのね。」

「では、ビリー大尉は何も知らないのですか?」

「ケディ少尉? セクハラの冤罪が起こるパターンって知ってる?」

「ッ!?」

 な、何言ってるのこの人!?

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よ。」

「・・・!」

 考えてみればあの男の言うことも不確かだ。

 第一証拠が無い。

 やはり我々を混乱させる為の言葉かもしれない。

 構えを解いて敬礼する。

「失礼致しました!」

「あら、いいの?」

「考えてみれば想像の着くことでした。『あの男が獣人達を指揮していた』と考えれば全て筋が通ります。」

「そう、信じて貰えて良かったわ。」

 ビリー大尉は微笑む。

「失礼致します!」

 額に右平手を横に当てて敬礼し、部屋を出

「ああ、ケディ少尉?」



「え? ガッ!!!?」



「ス、キ、ア、リ☆」

 振り向いた瞬間大尉は私の肩を掴み、鳩尾に拳を打ち抜いた。

「大尉・・・何故・・・!」

 その場に倒れる。

「あたし、いつ『違う』って言ったかしら?」

 大尉は・・・!

「今からあんた、『ケディ少尉』じゃなくて資料室から情報を盗み出そうとした『軍事スパイの『(キャット)』』よ。」

「・・・!」

 その言葉を最後に、ギリギリまで保っていた私の意識は失われた。



―――「くそぉ・・・!」

 なんで私がこんな目に・・・!

 悔しくて最初の間は暴れた。

 看守に向かって無実も主張した。

 だが返ってくるのは『黙ってろ』、『誰がお前の事なんか信じるか』、『スパイの雌猫め』だ。

 ふざけるな・・・!

 ふざけるなふざけるなッ!

 どれだけ私が国を守るために正義の為に戦ったか分からないのか奴等は・・・!

「・・・?」

 また暴れたい衝動に駆られそうになったとき、独房用の鉄のドアからゴンゴンと鈍いノックの音が聞こえる。

「看守か? また嫌味を言いに・・・ッ!?」

 恨み言をぼやきながら歩いてドアまで行くと言葉を詰まらせる。

 ドアが開いたからだ。

 普通はあり得ないことだ!

 何故なら外との面会は上の小窓、食事を与えられるときは下の小さな小窓から渡されるからだ。

 いや、それより驚くべきは・・・!

「よ!」

「お前・・・!」

 あの時獣人と一緒にいた男だ!

 しかも奴は仲間に同じくらいの背格好の男と小さな女の子を連れていた。

(一日・・・ぶり? 寝てたから実感ねぇけど。)

 男は小声で苦笑いを浮かべつつ気さくに話しかけてくる。

「なんのつもムグッ!?」

(シーッてば! バレるだろ!?)

 男は私の口を塞ぎ、必死に小声で抗議する。

 だがお構いなしにその手を振りほどく。

(お前は一体何なんだ・・・!)

 正直混乱している。

 ビリー大尉が信じられなくなった今、こいつが悪い奴なのかそうでないのか分からない。

(今は話してる余裕がない。)

(私を此処から出すつもりか! お前たちに何のメリットがある!)

(いいから出るぞ! 話は後だ!)

(・・・。)

 今はこいつの言うことを聞くしかないのかもしれない。



~グラ 収容所牢獄~


「出せ!! 出せってんだオラァッ!」

「おいやめろ!」

「うるせぇッ!!」

 仲間の制止を無視して親父は鉄格子に手をかける。

「ぐわああぁぁッ!!!」

 途端に鉄格子から電流が走り、感電した親父は叫び声をあげる。

 今の俺たちの状況はこうだ。

 まず手足に鎖付きの鉄の枷をはめられている。

 だがこんなものを付けられたところで 俺たちなら引きちぎるのは容易い。

 だが 何やら仰々しい首輪を付けられている。

 こいつをつけられた時、なぜか力が入らなくなり、本来の力が出せない。

「だせっつってんだッ!!」

 親父はまた鉄格子に手をかける。

「ぐがああぁッ!!!」

 親父はまた感電する。

 鉄格子はご覧の通り、触ると電流が走る仕掛けになっている。

 最初は仲間質も鉄格子をこじ開けて脱出を試みたが一日かけてずっと脱出出来ない事実を思い知らされてみんな諦めた。

「くそぉッ!!」

 それでも親父は出ようとすることをやめない。

 何故なら・・・。

「ゾルガ、諦めろよ! ()()はもう・・・!」

「てめぇッ!!」

 虎のク族が制止を掛けようと肩に手を置くと親父はそいつに掴みかかった。

「今言ったこともういっぺん言ってみろッ!」

 親父は米噛みに血管を浮かべて激怒する。

 怒りの理由は間違いなく俺だ。



「ハァ・・・ハァ・・・!」



 俺は牢獄の隅で息を切らしながら壁を背に座っていた。

 頬には・・・いや、左頬から肩に駆けて紋章が広がっていた。

 『火神(アグニ)』の代償だ。

 もう限界が近い。

 このままだと俺は・・・!

「お前に分かるかッ! 自分(てめぇ)(ガキ)がこんな結末・・・あんまりだろ・・・!」

 親父は崩れる。



「あぁあぁあぁッ! うるせぇなぁ、夜だってのに眠れやしねぇ・・・。」



「!!」

 文句を着けたのはゴトマだ。

「ゴトマ・・・てめぇ・・・ッ!!」

 無責任と思ったのだろう。

 怒りに任せて親父は殴りかかるが、ゴトマは意図も容易く止める。

「てめぇ・・・!」

「うるさくて眠れねぇから・・・。」

「?」

 ゴトマはゆっくり起き上がると鉄格子の前に立つ。

「暇潰しに手伝ってやるよ。」

「!!」

 ゴトマはそう言うと振り替える。

「おうおめえら!! 俺らはあの分厚い鉄の門をぶっ壊した猪族だぞッ! こんな鉄格子ごときぶっ壊せねぇで悔しくねぇのか!? あぁんッ!?」

「!!!」

 ゴトマの焚き付けに猪族は立ち上がる。

「やったろうじゃねぇかッ!」

「俺らを舐めてるロキウス共に思い知らせてやるッ!!」

 猪族がやる気になると・・・。

「猪ばっかりに美味しいとこ取られてたまるかッ!!」

「俺らもやんぞぉッ!」

 他の獣人達も鉄格子に手を掛ける。



「「「うおおぉぉぉぉぉぉッ!!!」」」



 獣人達は全力でこじ開けようと力を込める。

 全員の体に電流が走るがそれでもお構い無しだ。

 電撃が効かない訳じゃない。

 意地だけでやせ我慢してる感じだ。

「やめろ・・・お前ら・・・!」

 ク族もゴ族も・・・俺お前らと同じ部族じゃないんだぞ・・・!

「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!」」」

 どいつもこいつも無茶して・・・!

「ぅっ・・・ぅぐ・・・!」

 なんでお前らそんなに頑張るんだよ・・・!



「「「うおおおおおお・・・お、あれ?」」」



「?」

 突然獣人達はどよめき始める。

 見た感じ鉄格子に触れてるのに電撃が走った様子がない。 



「あー・・・すまん、ホントごめんな? いいシーンなのに水射して。」



「!」

 声がする方を見るとそこには・・・!

「ウルド・・・!」

「チビ助・・・!」

「ムッ・・・!」

 チビ助の方は俺に言われたことが気に入らないのか、僅かに頬を膨らませる。

「・・・と、お前らは・・・!」

 服装、風貌から考えてどう考えてもロキウスの連中だ!

 しかも一人は俺があの時見たロキウス兵共指揮してた女だ!

「ウルド! てめぇやっぱり寝返ったのか!?」

「ふざけんな!!」

「裏切り者!!」

「むっつりスケベ!!」

「違うってお前ら落ち着けよ~・・・あと最後関係ない事言ったやつあとで殺す。」

「ひっ!」

 ウルドは怒り狂う獣人達を宥めながら右拳を固めていた。

「いやいや、寧ろ寝返ったの俺らの方だから!」

「「「は!?」」」

「え、いや、私はムグッ!?」

 眼鏡の女が何かを言おうとしたらウルドに後ろから口を塞がれる。

「その証拠にこのバカとチビ助と一緒にお前らを助けに来たんだよ!」

「おい誰がバカだ。」

「チビ助じゃないのです!」

「今開けてやるから待ってろ。」

 男は牢屋の鍵を開けた。

「・・・あ、ありがとな。」

 全員が牢から出ると最後の獣人が気まずそうに礼を言う。

「全くそれにしてもだ。」

 ゴトマは呆れ気味に溜め息をつく。

「ロキウスってのは薄情な連中が多いな。裏切り者が三人も居やがるとはよ?」

「いや私は裏切った訳ではムグッ!」

 眼鏡の女はまたウルドに口を手で塞がれる。

「はは、俺らだけじゃないぜ♪ アジトに戻ればもっと仲間が・・・いや、ちょっと待て。」

「あ?」



「今、()()()()()()()?」



 男は笑いながら冷や汗を流している。

 なんだ?

 ゴトマ、変なこと言ったのか?

「んだよ、他にいるか? お前と、そこの眼鏡の女とそこの・・・。」



「ハァア~イ☆」



()()()()()。」

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