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嘘つき英雄と嘘の妹 ~旧版~  作者: 野良犬タロ
ロキウス編
49/101

#49 突入


~ウルド 抵抗組織(レジスタンス)基地~


 俺達は薄暗い通路を歩いていた。

 それが物を見えるような程度にこの通路を照らしていた。

 目的は『総司令』、つまりライ達の親玉に会うためだ。

「サン、IDカード。」

 何やら大きな六角形状の仰々しい扉の前にライがサンに『よこせ』と言うような感じで手を出すが・・・。

「え、ライ兄持ってきてないの?」

「はぁ!? お前もか!」

 え、何?

 鍵的な物がないと入れない的な?

「ちょっとちょっとぉ・・・もしかしてここまで来て『戻る』とか言わないよね?」

 ルタも流石にそれは嫌らしく、苦虫を噛み潰したように渋い顔をする。

「大丈夫ですよ、僕が持ってますから・・・。」

 ディグは呆れながらズボンのポケットからカードを取り出す。

 服は先ほどのメイド服とは違い、黒を基調としたスーツだ。

 なんかレレが着ていたギルド職員の様な雰囲気の服だがこちらは男性用で下は細めのズボン、その女寄りの顔と掛けられた銀縁の眼鏡を合わせると『知的な美少年』と言った言葉がよく似合う。

 一応俺も元の服に着替えていた。

 サンが物凄い邪魔して来たがそれでも俺達は強引に着替えた。

「さっすがディグさん、分かってらっしゃる!」

「さすディグ!!」

「二人がずさん過ぎるだけ。」

 ライとサンが調子よく持ち上げるとやれやれとばかりにディグは溜め息を吐きながらカードを扉の近くの装置に差し込む。

 すると扉が何重にも開く。

 奥には更に暗いが通路があった。

 部屋の奥にある鉄の策に囲まれた床を見て納得する。

「なんだ。エレベーターで行くのか。」

「え!!?」

 サンは俺の反応に何故か驚く。

「ウルドっちエレベーター知ってるの!?」

「ああ。」

 サンの反応を不思議とは思わない。

 何せこういう機械じみた物はこの世界でロキウス以外に存在しないのだ。

 大方・・・。

「『なんだこの変な鉄の床は!!』、『床が動いた!?』みたいな反応すると思ってたのにぃ!」

 こんな事を期待していたんだろう。

「ロキウスには前に一度だけ来た事あるからな。」

「へぇ、お前も物好きだな。自分からロキウスに来る異国人なんて滅多にいないぜ?」

「・・・。」

 そう、ロキウスは技術力がある反面よくない噂が絶えない国だ。

 しかし昔魔王を倒す為の手段の一つとしてロキウスの助けを借りたいと聖堂協会が言い出したのでセレスが協力を要請するために派遣されるのについて行ったのだ。

 無論この事はライ達に言うつもりはない。

「まぁいいや。」

 案内されるまま鉄の柵の中に入っていくと隅にある装置の光る板をポチポチと触る。

 すると鉄の柵で囲まれた床はゆっくりと上に向かって上昇する。

 このまま総司令とやらのいる階まで登っていくのだろう。

「あ、そう言えばライ兄! この間買った音楽なんだけどさ!」

「あ? なに買ったんだよ。」

 サンとライは談話を始める。

 あ、そうだ。

『ルタ、お前は驚かなかったんだな。』

 念話でルタに話しかける。

『何が?』

『エレベーターだよ。』

『ああ、私も仕事で来た事あったんだ。』

『仕事ねぇ。』

『確かあの時は武器会社の社長の秘書だったっけ?』

『カイシャ? ヒショ?』

『『会社』は商団みたいなもの。『秘書』はお偉いさんの補佐の仕事。まぁ、おじさんの重役だと女を置く場合が多いんだよねこれが。』

『へぇ・・・なんかその『シャチョー』ってのがどう言う人種か想像つくな。』

『うんうん、サイテーもサイテー! 気に入らない部下にはすぅぐ嫌がらせするし、セクハラも日常茶飯事、男の最低な部分を引っ掻き集めたようなおっさんだったよ!』

『セクハラねぇ・・・。』

『あー! 今エッチなこと考えたでしょ!』

『お前のその身体で

『おおっとお兄ちゃん? その先次第でお兄ちゃんの頭が即効性の爆弾に変わるけどいい?』

『すいませんでした。』

「お前やめとけってあのブランドは! センスねぇぞアレ!」

「えぇ、でも可愛いんだよあの服~!」

「・・・。」

 俺たちが念話で物騒なやり取りをやっているのも知らずにサンとライは話題が何故か音楽から服の事に変わっていた。

「ウルドさん、ちょっといいですか?」

「ん? どうした?」

 急にディグが話しかけてくる。

「総司令がどう言う人なのか、会う前に事前にお話ししようと思いまして。」

「ああ、確かにそれは助かる。興味ないって言えば嘘になるしな。」

「ええ、では説明します。」

 ディグは一息つきながら眼鏡の淵を上げる。

「端的に言わせていただきますとウルドさん、貴方は一度あった事ある人です。」

「え!」

 会った事ある!?

 誰だ???

「それと、()()必要はないですよ?」

「は? な、何言ってんだよ。」



「こうでも言った方が分かりやすいですか? ・・・『アルト』さん?」



「うッ!!」

 こ、こいつ・・・!!

「!!」

 いつの間にかライ達の会話が止まっていると思って見ると・・・。

「へっ。」

「ふふ。」

「ッ・・・!」

 二人ともこっちを見て怪しい笑みを浮かべて笑っていた。

 



~グラ 密林関所前~


「くそっ!!」

 流石に簡単に通してくれる程甘くなかった!



削除(Delete) 排除(exclude)

削除(Delete) 排除(exclude)



 銀色に光る物体がどういう原理か分からんけど空を飛び、意味の分からん言葉をしゃべりながら俺たちの侵入を拒んでいる。

「ぐわぁッ!」

「くそぉッ!!」

 奴らの目のような部分の下に付いている銃の先のような突起から光線のような物が放たれる。

 細い物だけどその威力は恐ろしく猪のゴ族の硬い皮膚ですら風穴を開けられる程だ。

 木陰に隠れてやり過ごしてるが近づけない!

 かと言って・・・!

「撃て撃て!!」

 弓を持った仲間が隠れた場所から矢を放つが・・・。



不可能(No way) 不可能(No way)



「・・・くそッ!」

 何か緑色の薄い光の壁に阻まれて矢が通らない。

 飛び道具が聞かない。

「どうする・・・。」

 他の獣人達も目配せしながらどうするか迷っている。

「なぁ、羊さんよ、魔法で吹っ飛ばせねぇか?」

「ん~?」

 羊のゴ族。

 獣人の中で数少ない魔法が使える祈祷師(シャーマン)の一族だ。

 そんでもって獣人には珍しくのんびりとして争いを好まない性格だ。

 喧嘩は弱いが神のお告げを聞ける上に傷や病気を治せる薬を作れる貴重な存在なので他の獣人達もこいつらの村は襲わないように盟約が結ばれている。

「無理無理~、魔法の射程距離に入ってないよ~。」

 羊族の一人はのんびりした喋り方で手をひらひらさせる。

「はぁ~つっかえん。」

「勝手に期待して勝手に腹立てないでよ~。」

「うるせッ! あとそのトロい喋り方腹立つんだよッ!!」

「うちの一族じゃこれが普通だよ~。」

「だぁからやめろっつのッ!!」

 ああもう!

 イライラするッ!

 なんとかなんねぇのかぁ!?



「なら直接ぶん殴りに行くしかねぇな!」



 親父が立ち上がって両拳をガツンとかち合わせる。

「はぁ? なんだよ親父アレに近づけんのか・・・よ?」

 俺が聞く前に親父はすでに何かやらかしていた。

 近くの木を思いっきり殴りつける。

 すると木が斧で切り倒されたように折れて倒れる。

「あ?」

 さも当然の事をしたが如く何事も無かったかのように振り向く親父。

「・・・何やってんだよ。」

「いやぁ、俺もアレ当たるの嫌だし? 盾が要るだろ?」

「それ盾にすんのか?」

 倒した木はかなりデカい。

 けど親父はそれを難なく片手で持ち上げると・・・。



「おらおらぁ!! ゾルガ様のお通りだああああああぁッ!!!」



 親父はそれを前方に構えて鉄人形達に突進していく。

削除(Delete)

排除(exclude)

 鉄人形達は光線を放つが大木に阻まれて親父には攻撃が届かない。

「オォラァッ!!!」

 その木をまるで棍棒のように振り回して鉄人形を数体殴り飛ばす。

 鉄人形はさっき矢を弾いた薄い光の壁を周りに作るが親父の馬鹿力攻撃には全くの無意味だった。


(under)解不(standing)(can't)

意味(It doesn't)不明(make sense)

なん(What the)だこ(hell is)いつ(this guy)

意味(I don't)が分か(know what)らん(that means)


 次々殴り飛ばされた鉄人形は火花を上げて爆発して動かなくなる。

 だが・・・。


クソが(fuckin)

「!」


 残った一体が親父に狙いを付けていた。

 だが・・・。

「だらぁッ!!」

 親父に紛れて近づいていた俺は槍で鉄人形を殴り飛ばした。

「油断すんじゃねぇぞクソ親父ッ!!」

「悪りぃ悪りぃ!!」

 親父は笑いながら手をひらひらさせる。

「ったく・・・で?」

 鉄人形を掃除したはいいけど鉄で出来たドでかい扉が目の前にあった。

「うーん・・・これぶっ壊せるかな?」



「どけ、ここは俺らの出番だ。」



「?」

 後ろからしゃしゃり出てきたのは・・・。

「ゴトマ! 出来んのか?」

「我ら猪族の力を舐めるんじゃねぇ。」

「面白れぇ! やってみろよ!」


「おうおめぇらぁ!! やんぞこの扉ぁ!!」


「「「「うぉっしゃあああああぁッ!!!」」」


 猪族は数列の縦長の列を作って腰を落として構える。


「はっけよおおおおおぉいッ!!!」


 先頭で構えていたゴトマが合図すると猪の群れは一斉に扉に向かって突進した。

 だが・・・。

「ぶぐぉッ!!」

 先頭の一体が扉にぶち当たったが扉はびくともせずに猪族をはじき返す。

 しかし猪族の突進はこんなものでは終わらない。

 一体がだめでも波のように押し寄せる猪達、その突進にドアは徐々に歪み始め、硬いはずの扉はまるでスライムのように押された部分がへこんでいく。

 段々その硬さも猪族の突進の圧に耐え切れずにとうとう・・・。


「「「「ぶぉらああああああああぁッ!!!」」」」


 分厚い巨大な鉄の扉は派手な大穴を開けてその鉄の破片をまき散らした。



「「「「ごっつぁんですッ!!!」」」」



 猪族はそろって勝利の合唱を上げる。

「はっはっはっはっはっは!!!」

「・・・ハァ。」

 それを見て親父は豪快に笑い、俺は呆れてため息をついて首を振りながら両手を肩の高さまで上げた。

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