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嘘つき英雄と嘘の妹 ~旧版~  作者: 野良犬タロ
ロキウス編
47/101

#47 レジスタンス


~ウルド ???~


 目を開けると目の前には真っ白な天井があった。

「????」

 どこだここは?

 俺、記憶が正しかったらアステリオンの密林で気を失ってた筈だが・・・。

 どこかの部屋の中??? みたいだが窓らしい窓も見当たらずあるのは俺が寝ているベッドとテーブルが1台だけ。

 簡素な人間一人が使うだけの粗末な部屋だ。

「?」

 俺の向かいの斜め右前あたりにある機械じみた扉が音もなくひとりでに開く。

 入ってきたのは、見た感じ大人しそうな少女だ。

「ッ!!?」

 色素が抜け落ちたかのような灰色の髪、灰色の瞳。

 短く切ってはいるものの前髪が長く目が隠れてかろうじて片目が見えるぐらいだがその目は確かに俺を見ていた。

「えーっと・・・。」

「に、兄さあぁんッ!!」

 少女は手に持っていた桶を持ったまま慌てて一目散に部屋を出て行った。

「なんなんだ一体・・・。」

 とりあえずベッドから出ようとするとあることに気づく!



「なんじゃこりゃああああぁぁッ!!?」



 なんと俺はバニースーツを着ていた。

 いや誰だこれやったの!!

 どういう趣味してやがるッ!!!

 髪もなんかロン毛のカツラ被せられてご丁寧にうさ耳バンドまでつけられて胸もなんか妙にリアルな偽物くっ付けられてでかくなってるし!!

「よう! 起きたか!」

 また扉が開いたかと思うと今度は男が入ってきた。

 さっきの大人しそうな少女と違い、金髪にピアスまでして服装も若干派手な格好でいかにもチンピラのような柄の悪い男だ。

「あんな化け物相手に大変だったな!」

「ッ!」

 俺達の事を知っている!?

「調子はどうだ? まあその様子だと、うん、元気そうじゃねえか!」

「・・・。」

 男は気さくに話すがプルプルと震えている。

 笑いこらえてるのバレバレだぞ。

「そろそろ突っ込んでいいか?」

「どうぞ?」

「なんじゃこの服はあぁッ!!」

「信じないと思うけど一応言うぞ? やったのは俺じゃない。」

「じゃあ他に誰がやったって言うんだ! さっきの子か? あり得ねぇだろッ!」

「・・・。」

「・・・え?」

「・・・。」

「・・・え? え? え、なんで黙ってんの? いや嘘だろ?」

 ホントにあの子が!?

「・・・。」

「いやなんか言えよ!」

「んじゃ『犯人』とご対面~。」

 え?

 マジで?

 マジであの子が!?

「はい、ボクが犯人ですッ!」

 違ったああああぁぁッ!!!

 さっきの少女と関係ないもう一人の少女が男の背中から現れた。

 メロと同じくらい背丈が低くこっちも男と同じような少し派手めの格好でやんちゃそうに見える。

 いやそんなことはどうでもいいふざけんなよ!!?

「頭沸いてんのか!? 男にこんな格好させるとかどんな趣味してやがる!!!」

「男にさせるからいいんじゃな~い!」

「あーすまん。こいつの趣味に関してはヤク中と会話してるようなものだから聞き流していいぞ?」

 そうかそれは納得だ。

 どう考えたっておかしいもんなこれは。

「そこまでひどい!?」

「ひどいわッ!!」

「いやでもさ、似合ってるよ!? やっぱり僕が見立てた通り 男の()の才能アリ!! あー、『こ』は『娘』のほうね?」

「やかましいッ!! 人が寝てる間になんてことしやがるッ!! いや、てゆうか今更だけどお前ら、俺らを拉致してきたって事だよな!?」

「正解!! ただし賞品はありません!」

「いらんッ! てかメロとルタはどこにいる!!」

「安心しろ、危害は加えてないしお前と同じように安静にしてる、お前だけ一人なのは異性と同室で寝るのはまずいってうちのクソ真面目なやつが言うからな。」

「・・・。」

「どうした? 急に無表情で固まって。」

「ありがとうございます。」

「え? あ、うん、どういたしまして???」

 男は戸惑うがこっちは感謝の言葉もない。

 カザといいデミオの街といい正直ルタと同室の空間で寝るのに抵抗があったからな!

 とりあえずよからぬ連中ではなさそうだが何者だこいつら?

「お前の言いたいことはわかる。訳の分からない奴らに拉致られりゃ当然だよな!」

「・・・ここはロキウスか?」

「そうだ。」

「じゃあお前らは・・・!」

「ブッブー! ハズレ~! お前の考えてるような連中じゃな~い!」

「なんだよ! ロキウスなら敵だろ!」

「そこがピンポイントで外れだ!」

「なんだよそれ!」

 ロキウスなのに敵じゃない?

 どういうことだ???

「ロキウスも一枚岩じゃねえってことさ。」

「どういうことだよ!」


「それに関しては此方で説明します。」


「!」

 また一人部屋に入ってきた。

 今度は先程の少女と同じく小柄でメイド服を着た少女だ。

 顔も先程の少女と同じく瓜二つ、どうやら双子のようだ。

 少女は首にぶら下げていた二枚重ねの端末を開き、画面を見ながらカタカタと指で操作し始める。

「ハッキングで奴等の始末書の報告を割り出した情報によるとアステリオンに遠征中の軍の兵士が猟犬(ハウンド)の操作を誤って暴走させ、その猟犬(ハウンド)はルヴァーナに逃走、恐らくはルヴァーナで暴れた為に猟犬(ハウンド)の存在を知りアステリオンを調査中にロキウスが猟犬(ハウンド)を操っていた事を知り、アステリオンの獣人と手を組んでいた。そうですね?」

猟犬(ハウンド)???」

「ああ、此方での呼び方です。貴方達の呼び方で言えば・・・そう、狂戦士(バーサーカー)。」

「あ、ああ! そうだ! 奴等がルヴァーナの関所を破って近くの村を襲ったから調査してたんだ!」

「つまり猟犬(ハウンド)を使う奴等が、お前らにとっての『敵』。」

「そうだ! だから

「それはロキウス政府組織、B.R.A.I.N(ブレイン)だ。」

B.R.A.I.N(ブレイン)?」

「政府と直結してる軍組織だ。表立った組織じゃないがロキウスの科学力を軍事的に利用するための研究組織だ。」

「そいつらが獣人を猟犬(ハウンド)に?」

「そうだ。」

「あんたらは違うのか?」

「ああ、寧ろそいつらと敵対している。まぁ言ってみれば抵抗組織(レジスタンス)だ。奴らの非道な研究を終わらせてえげつない生物兵器を作らせないようにするのが俺たちの目的だ。」

「そういうことか。」

 なるほどな。

 ロキウスも一概に悪い奴らばかりの国というわけでもなさそうだ。

「つまりはあれか。それを俺達に協力させる為にこうして拉致ってきたわけか。」

「大正解!」



「話は聞かせて貰ったよ!!」



「!」

 また扉が開くとルタが部屋に入ってきた。

「ルタ! お前、もう大丈夫なのか!?」

「妹を舐めて貰っちゃ困るぜお兄ちゃん!」

「元気そうで何より・・・。」

「お兄ちゃんもバニーになるくらい元気そうで何より、ナイスバニー!!」

「これは否応なくやらされてんだよッ! 分かれッ!!」

 ルタは相変わらずふざけているが・・・。

B.R.A.I.N(ブレイン)か・・・出来れば関わりたく無かったけど・・・。』

「!」

 何故か念話で話し掛けてくる。

『知ってるのか?』

『裏の世界じゃ知らない奴の方が珍しいよ。かなりデカイ組織、色んな刺客や腕利きが首突っ込んだけど生きて帰った奴はいない、色々やってるけど特にヤバいのが今言ったみたいな研究の為の人身売買。』

『まさか獣人だけじゃなくて普通の人間も・・・!』

『そ、奴等のオモチャにされた人間は世界中にいるってこと!』

『確かにヤベェな・・・関わりたくない。』

『でしょ! でもルヴァーナも被害に合ってるしこのままとんずらってのもね・・・。』

『確かにな、カザに被害が出ようもんなら許せるもんじゃない。』

「お前らさっきから何で無言なんだ?」

「「!!!」」

 やべっ!

 念話が長すぎたか。

「いや別に・・・。」

「それより私達ってば一応利害が一致した仲間って事なんだよね? じゃあ名前くらい教えてよ!」

「そりゃ失礼、俺はライ。」

「私はルタ! ハジメマシテ♪」

「ああ、ハジメマシテ。」

「・・・?」

 二人は笑顔で挨拶しながら握手するがなんだろう・・・。

 変な寒気を感じる。

 気のせいか?

「ボクはサン!」

 やんちゃ娘は俺に向かって名乗る。

「ウルドだ、ヨロシクな、変態趣味のサンさん。」

 皮肉を込めて挨拶を返す。

「ヒドくない? 初対面の人に向かってさ!」

「その初対面の人にいきなり女装させて来やがったのは何処のどいつだ?」

「もっと言ってやってください。」

 メイド服の少女がジト目でサンを見ながら俺に援護射撃する。

「ああ、それよりあんたは?」

「ぼ・・・私はディグです・・・主に武器の整備やサポートの技術担当です。」

「その格好でか?」

「ふ、普段はこんな格好してません!」

「ボクはいつでもこの格好で良いと思うけどなぁ?」

「ふざけるな! あとベタベタくっつくな変態ッ!」

 ディグの顔を撫で回す様にベタベタ触りながらくっつくサンにディグは鬱陶しく振り払おうと抵抗する。

「ふむ、まぁ似合ってるから別に良いと思うけどなぁ・・・。」

「えぇ!!? 嘘でしょ!?」

「??」

 ディグの驚き方が妙だ。

 照れてると言うよりショックを受けてるような・・・。

「でしょでしょ! ウルドっちも似合ってるよ! まるでそう言うのを着こなしてたかのように!」

 サンは俺に向かって思いっきり親指を立てる。

 あー・・・今すぐにでもぶん殴りてぇ。

「そうだね! お兄ちゃん一回やってたもんね♪」

「おいルタッ! ゴラッ!!」

「え、ホントに!?」

「マジで!?」

「えぇ・・・!」

「食い付くなッ!! あとそれルタに無理矢理やられたからだからなッ!!」

「こ、これは『男の娘第二号』誕生の予感・・・!」

「そんな変な部類(カテゴリー)に入れられてたまるかッ!! ってちょっと待て? 『二号』ってなんだ?」

「ん。」

 サンはディグを指差す。

「は?」

「『一号』。」

「ちょ、サンッ! バラすなよッ!!」

「え・・・? つまり・・・?」

 つまりつまりは・・・?

「え、男・・・?」

「・・・・・・・・・はぃ。」

 うわマジで気づかなかった・・・!

 涙ぐんで悲しそうに目を逸らすディグを見ながらそう思った。

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