#43 罪
~メロ マカ村~
「んしょ! うんしょ!」
村に沢山の村の戦士が集まり、明日ロキウスに突入することになったのです。
食料や武器もそれだけ必要な事もあり、村では今は準備で大忙しなのです。
「その槍そこだよ! 置いといてくれたら後は任せな!」
「ハイです!」
村の入口で武器を整理していたおばさんに指示されて木で作られた荷車の近くに武器を置くのです。
そこからすぐに武器をしまっている物置に行ってまた武器運び、さっきからこんな調子なのです。
「・・~~。」
「?」
近くの物影から声がするのです。
覗いて見ると・・・。
「ったく・・・面倒な事になったな。」
「うん、そぉだね~。」
「!」
師匠とルタなのです!
こっちが忙しく働いてる中でよくあんな呑気に話が・・・!
「『派手な火の玉』ってお前だろ?」
「やっぱり分かる?」
「お前意外考えられねぇっつの。」
「ごめんって!」
派手な火の玉?
なんの話してるのですか?
こっそり聞いて見るのです。
「ったく、まさか『あの件』を獣人達に知られるとはな・・・しかもよりによって・・・ッ!?」
師匠は言葉の途中にギクリとしたようにハッとしてこっちを見るのです。
え?
もしかして・・・。
「メロ・・・居るんだろ? 出てこい。」
「えぇ・・・。」
なんでバレるのですか?
師匠勘良すぎなのです。
観念して出るしかないのです。
「・・・何処まで聞いてた。」
「???」
師匠の顔はいつになく険しいのです。
「えぇと火の玉がどうのって・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「???」
師匠とルタは目を合わせて何も言わないのです。
「師匠?」
「ハァ・・・アレだよ。 村の襲撃中に家をブッ壊された奴がいて、『派手な火の玉を見た』って言うんだよ。 こいつがブッ壊したと思ってとっちめたらやっぱりって話だよ。」
「必死だったんだから許してよ! 致し方ない犠牲でしょ!」
「お前絶対反省してないだろ・・・まぁ、そう言うことだ。」
師匠は呆れて溜め息を吐きつつ、私に向き直るのです。
「面倒な事になったがお前は何も考えなくていい。それよりお前、仕事の途中だろ?」
「え?」
「こらッ! 何サボってんだいッ!! 早く武器持ってきなッ!!」
「わあぁッ!! ごめんなさいですッ!!」
村のおばさんに叱られ、急いで物置に行って武器を取りに行くのです。
~ライ 密林~
「さぁて・・・まずは一段落ってとこですかい?」
正直奴等の襲撃は予想外だった。
けどこっちも間抜けじゃない。
あいつらが二手に別れるならこっちも二手に別れりゃいい。
『ごっめ~んライ兄! 手ぇ出しちゃった☆』
通信機から先程とは別の年端もいかない少女の声がする。
「仕方無ぇって、あのおチビ三号にどう考えたって猟犬二体は荷が重いからな。」
あの冒険者の仲間の見習いらしきおチビに援護射撃をさせたのはこいつだ。
『ライ兄・・・。』
通信機からは少年の声がする。
しかもかなり声色が低い。
『『『三号』ってどういう意味!?』』
仲間が二人とも一斉に俺を問い詰めて来る。
「あれ? 言わなきゃわかんねぇ? チビって既に二人いるじゃん、俺の通信機の向こうに。」
『ライ兄『メイド服の刑』ね? ディグと一緒に・・・。』
『ちょっとサン!? なんで僕まで!? どう考えてもライ兄一人にやらせる流れだろ!?』
『メイド服の刑』、それは文字どおりメイド服を着せて一日ご奉仕と言う名のあれやこれやさせる仲間の一人が気分とかで勝手にやる刑罰だ。
『え~ライ兄だけに着せたって誰得? って感じだし~。』
「お~お~本人の前でよく言いますね。」
『それにディグは男の娘だから♪』
『『娘』じゃないッ! 普通に『男』だッ!』
「もうディグ一人にやらせたらいいんじゃね?」
『賛成~♪』
『なんでだああぁッ!!』
「それにしてもだ。」
二人のやり取りを茶化しつつ端末を操作して映像を出す。
映像には例の冒険者の男が険しい顔で女に何か話している所だ。
飛行型の偵察機のドローンがプロペラ音でバレるので四足歩行の陸移動型に変形させ、物影から覗かせている。
『この二人・・・何話してるのかな?』
映像は仲間にも共有出来るように端末を改造してある。
「表情からして何か悪いことが起きたような感じだな。」
ドローンは音も拾えるが人の耳と同じ位の距離の音しか拾えない。
あまり近づき過ぎるとバレそうなので会話を聞くのは想像で断念するしかない。
『獣人達も結集して、今にも戦う準備が出来てるって時に?』
「あぁ、けどあいつらも何か目的があって・・・ッ!?」
会話の途中だったが俺は映像を見てギョッとする。
女がこっちを見ている。
しかも男の前で話しているような気の抜けた顔じゃない。
鋭く、まるで猫が様子を伺うような目だ。
しかも一~二秒こっちを見るとフッと笑った。
男が『どうした』とばかりに何か話すと女は元の気の抜けた顔に戻り、『何でもないよ』とばかりに首と手を振る。
「ディグ、偵察機逃がせ。 一旦距離を取る。」
『ライ兄?』
「急げ!」
『う、うん。』
『どったのライ兄?』
「サン、お前も後で合流しろ。」
『う、うん・・・。』
仲間と連絡を取ると立ち上がって走る。
「ったく・・・。」
あの女、只者じゃないな。
~メロ マカ村~
「ふーッ! 終わったのです~。」
「御苦労さん! 近くの小屋に飲み物あるからそれ飲んで休みな!」
「ありがとです♪」
おばさんに指示された小屋に向かうのです!
飲み物飲み物~♪
ってなんか子供っぽいのです!
いけないいけないッ!
冒険者たる者、淑女たる者、立ち振舞いに気を配るべし、By父なのです!
「・・・。」
小屋に入るけど淑女ってどんな入り方するのですか?
うが!
父、なんで教えてくれなかったのですかッ!
「あーもうッ!」
こうなったらどうにでもなれですッ!!
突撃するように小屋に入るのです!
「!」
既に小屋に一人居たのです。
「グラ!」
「・・・。」
「?」
グラの様子がおかしいのです。
隅で縮まるように膝を抱えて座ってるのです。
「ど、どうしたのですか?」
「・・・。」
グラは答えないのです。
「・・・えっと、グラも休憩・・・ですか?」
「・・・。」
グラは何も答えないのです。
「ぅぅ・・・。」
テーブルにはおばさんが用意した木の実のジュースの入った木のジョッキとコップがあるけど、こんなグラの横だと飲みにくいのです・・・!
「!」
そうなのです!
コップにジュースを入れて・・・。
「グラ! よく分かんないですけど、これでも飲んで
「ッ!」
「うぇぁッ!?」
グラに弾き飛ばされたコップが床に転がりながら中身をぶちまけたのです。
「グラ・・・。」
「・・・。」
グラは少し私を睨んだけど何も言わずにまた膝に顔を埋めて黙り込むのです。
「・・・。」
流石にいたたまれずに小屋から出たのです。
「グラどうだったよ?」
「え、おばさん?」
もしかしてグラの事知ってて私に様子を見させたのですか!?
「グラ、どうしちゃったのですか?」
「ああなったのはロキウス追っ払って戻ってきてからだよ。 その時何があったかなんてあたしゃ居合わせてないから知らないよ? 何せ子供達を近くの洞窟に避難させてたからね。」
「・・・本当にどうしちゃったのですかね。」
「『種火の獣』が死んだんだよ。」
「え?」
突如近くから声を掛けてきたのは虎のク族なのです。
「種火?」
「そりゃ本当かい!?」
よく分からない私の横でおばさんが驚いたのです。
「種火? って・・・何なのです?」
「なんだ知らないのか、『種火の獣』ってのは『炎の獣』、まぁ言ってみれば兄貴分の戦士、そいつを支える弟分の戦士の事だ。グラはそいつと酒を飲み交わして『灯の儀』、分かりやすく言えば姉弟の契りを交わしたのさ。」
「その弟が死んだ・・・のですか?」
「正確に言えば狂戦士にされたけど奴等が操るのに失敗して暴走してルヴァーナに逃げた先で二人組の冒険者に殺されたらしい。まぁ、ロキウスの糞野郎が言ってた事だから本当かどうか分からんけどな。」
「ルヴァーナに逃げた先で二人組の冒険者に殺された・・・。」
え、それって・・・!
「・・・・・・ッ!」
「嬢ちゃん?」
「え、えっと・・・ちょっと、いや、かなり酷い話かなって・・・。」
「だろうねぇ・・・。」
「グラも・・・あんまり人に話したくない事だと思うので聞かなかった事にするのです・・・それじゃ・・・。」
「あ、あぁ・・・そうかい?」
すぐにその場を後にするのです。
・・・しばらく歩いたのです。
けど人目に着かないところまで来るとすぐに走ったのです。
「ハァ・・・ハァ・・・!」
何処まで走ったか分からない。
気がつけば村から離れた密林の水場の近くまで走っていたのです。
「ハァ・・・ハァ・・・!」
息が辛い・・・!
走ったからじゃないのです・・・!
「うぐ・・・ぁッ・・・ぐッ・・・!」
苦しくなってその場に崩れたのです。
「うぶッ・・・ぉ・・・オエええエエェッ!・・・ェ・・・ゲェッ・・・!」
胸の奥から上がってきた物を四つん這いになりながら吐くのです。
「ゲホッ! ゲホッ!」
吐ききった後に噎せるのです。
『狂戦士にされたけど奴等が操るのに失敗して暴走してルヴァーナに逃げた先で二人組の冒険者に殺されたらしい。』
さっきの獣人の言葉が頭の中に流れてくる・・・!
やめてッ!
思い出したくないッ!
『グラはそいつと酒を飲み交わして『灯の儀』、分かりやすく言えば姉弟の契りを交わしたのさ。』
「うぐッ!」
嫌ですッ!
思い出させないでッ!!
『グラ・・・ゴメン・・・!』
あの獣人ですッ!!
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!!!」




