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017.これって本当に人間になるの?

 ホントこの世界ってなんなんだろう?


 ステータス画面だとか魔法があったり、死体が消えちゃったりとゲームなのかと思えてならない。


 でも、私がゲームの夢を見てるって訳でもないよね。


 だって前世の私は死んでるわけだしさ。


 そもそも今の私の立ち位置って主人公っぽくない?


 私ってそんな柄じゃないはずなんだけどな。


 一般通行人Aとかが相応しいと思うんだけど……でも前世の死に方に関しては、私の生活圏ではかなり珍しくはあったけどさ。


 これ以上は気にするだけ無駄だと思うから今の私を取り巻く環境を改善することに全力を尽くすつもりだから私の前世(過去)のことはいいんだけどね。


 なんて感じのことを考えている間に滝の音が次第に大きくなり、白い水煙を上げている滝壺が間近に臨める所にまで至っていた。


「あの滝の裏側でしたっけ、入口」


「はい、ここまで来ればもう到着したようなものですね」


 私達は水飛沫で衣類をしっとりと濡らされながら滝の裏にぽっかりと空いた大きな洞窟へと足を踏み入れる。


 入ってしばらくは天然の洞窟って感じの岩肌が続いていたけれど、100mも進むとSFとかで見るような近未来的な通路に取って代わっていた。


 居住地にあった建物とは明らかに質が違うし、ロストテクノロジーってやつ?


 コウノトリってやつもそうだよね、たぶん。


 私は迷いなく足を進めるステヴィアさんの案内に従って通路を進み、やがて半球場の広い空間に出た。


 中央にはどう見ても超科学文明的な代物だとわかる機械機械している円筒形な物体が鎮座していて一目でそれがコウノトリと呼ばれている装置だとすぐにわかったけれど念の為に鑑定する。


 鑑定で表示された交配装置コウノトリの詳細を流し読みしたけれど、どうやら1度の使用で寿命を10年〜20年分持っていかれるらしいことと、装置で一生涯で得られる子の数はひとりにつき1.5人迄ということがわかった。


 寿命20年って、かなりデカいけどこの世界の平均寿命ってどのくらいなんだろ。


「ステヴィアさん、普通の人の寿命ってどれくらいかわかります?」


「大体100年程だと言われていますね。歴代のアンジェリカ様もそうでしたから」


 それなら20年分くらい使っちゃっても問題ないかな。


 今の私って寿命が来るまで死ぬことはないらしいしさ。


 でも寿命なんて曖昧なものどうやって計測するんだろうと思ったけど、そういえば生命力なんてものがあったんだったね。


 私は自分のステータスを表示させて【生命力】の項目を見ると数値が昨日から1だけ減っていた。


 1日で生命力が1消費されるのかな。


 今の私の生命力36524だし、この世界でも1年が365日なら大体100年くらいだから間違いなさそう。


「これってどう使うんですか? 使用方法までは鑑定じゃわかんなくって」


交配装置コウノトリ内部にある台座に上って子を望むと目の前に交配対象者の選択と使用に関する簡単な注意事項と同意の画面が表示されます。それに同意しますと使用者達の身体的特徴を併せ持った子が宿る卵が中央の台座に現れるそうです」


 人間がそのまま出てくるのかと思ってたけど卵なのね。


「わかりました。とりあえずやってみますね」


 私は台座に上り、聞いた通り子供が欲しいと望んだ。


 すると目の前に交配対象者のリストを記したウィンドウが現れる。


 リストといっても記されているのはアンジェリカさんの名前のみ。


 私はアンジェリカさんを選択してウィンドウの右下にある決定ボタンらしきものを押す。


 すると読み飛ばしたくなるような長ったらしい説明文とウィンドウ下部に同意しますのチェックボックスが表示された。


 なんというかインターネットでよく見かけるサイトの会員登録とかそういうのに似てる。


 妙なことが書かれてて後で大変なことになっても困るので一応全文読んだ。


 結果、変に長々と書かれていたけれど説明文に記されていた内容は、私が交配装置コウノトリを鑑定したときに流し読みした寿命の消費に関するものと一生涯に授かれる子の数には限りがあるというものだった。


 問題ないだろうと判断した私は同意にチェックを入れて決定した。


 すると念を押すように『処理を実行しますか?』と表示されたので私は躊躇うことなく実行させた。


 直後、交配装置コウノトリ中央の台座に3Dのワイヤーフレームみたいなやつでバスケットボール大の球体が形作られ、下から徐々に実体化していった。


 ほどなく完成した卵は透けてないシャボン玉って感じの色合いをしたもので、表面のマーブル模様は常に変化を続けていた。


 ホントに人間が卵から生まれるんだろうか?


 なんて疑わしくもあるけれど、卵の作られ方を目の前で見た感想としては死んだ人たちの遺体が消えてしまうのも不思議ではない生まれ方なのだと思った。


「やはりまだ魂は宿っていないようですね」


「わかるんですか?」


「はい、魂が宿っていれば卵の色は属性に合わせた色に染め上がりますからね」


 私は卵を抱え上げて鑑定してみると【名称】も【属性】も未定になっていた。


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