中等部2年Bクラス クリス・ヨークフィット
「クリスさーん、こっちの患者の手当てをお願い」
「分かりました」
同じ学年の大林美空さんに呼ばれ、そちらに向かいます。
ここは、学園の近くにある治療所です。
今は一般市民の人の治療を優先していますが、魔物と戦って傷ついた生徒さんたちの治療もおこなっています。
最近は生徒さんたちの治療回数も増えてきているように感じます。
やっぱり、スタンビートが発生してしまうのでしょうか。
向かった先には小学生の男の子がいました。
どうやら膝を怪我してしまったみたいです。
これくらいなら、魔法を使う必要はありません。
「ちょっと沁みますけど、我慢して下さいねー」
パパッと怪我の処理を終わらせて、男の子送り出します。
すると、学園の制服を着た見慣れない人が入口から入ってくるのが見えました。
ここの医院長さんに用事があるようで、受付で許可をもらっています。
「あれは、高等部の生徒ね。何かあったのかしら」
美空さんが教えてくれましたが………少し不安な感じがします。
しばらくして、ここで治療をおこなっている全員が医院長さんに呼び出されました。
そこには、医院長さんと一緒に先ほどの高等部の人もいました。
「急に呼び出して申し訳ないが、これから君たちには、国連軍と私たち魔法使いの負傷の治療にあたってもらう事になった。正確な日時は決定していないが、いつでも動けるように準備しておいてほしい」
「「「はいっ」」」
私を含めた全員が返事をします。
「それと、この場所についてだが、一般の病院から看護婦の方に応援に来てもらうように手配してあるから安心してもらいたい」
それを聞いて、何人かが安堵のため息を吐きます。
私も気になったので安心しました。
でも………やっぱりスタンビートは発生してしまうのですか。
そう考えると気が重たくなります。
「私たち、生き残ることができるのかしら」
誰かがボソッとつぶやいたそんなセリフが、私の心に焼き付いて離れませんでした。