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中等部2年Aクラス  御剣 明日香(みつるぎ あすか)

「避難される方は、学園にある離着陸場までいってくださーーい!」


生徒会長から緊急災害指定Lv.4が発令されたことを聞いてから二週間がたっています。


学園都市から避難をする市民の方たちはまだまだ少ないです。


やっぱり、みんな信じてはいないんだと思います。


まぁ、どちらかといえば私も信じてはいない派ですけど。


魔物の数は、確かに以前よりも少し多く感じるけど、スタンビートが起こるほどではないかなぁ。


それでも、それを信じて避難していく人がいるので、今日は私たちのクラスが避難誘導にあたっています。


「明日香ー、交替するからちょっと休憩してきな」


そう言って私の肩を軽く叩いてきたのは、同じクラスの本田美加ほんだ みかだ。


「うん、ありがと。じゃぁ、ちょっとだけ行ってくるね」


美加に手を振って、休憩所への道を歩く。


「平和だなー」


こういう状況で言うセリフじゃないことはわかってるけど、思わず口から出てしまう。


多分、自分の中で避難訓練のように受け取っているからなのかもしれない。


休憩所に着いて、何人かのクラスメイトと話した後で、また持ち場に戻っていく。


「お待たせ、美加」


「大丈夫か?もう少し休憩しててもよかったんだぞ?」


「大丈夫だって―。そもそも、そんなに忙しくっ………」


それは突然のことだった。


急に膨れ上がっていく魔物の反応。


真っ先に反応したのは美加だった。


「こんな場所で!?」


美加の言葉通り、普段ならこんなことはありえなかった。


魔物が市街地に現れるなんて今まではなかったのに。


「明日香!休憩所に行って応援を呼んでくれ!あと、この反応はそうとうやばいから、出来たら学園に支援要請も!」


美加が全てを言い終わる前に私は走り出した。


休憩所に着いたけど、そこには誰もいなかった。


あわてて学園に連絡を入れる。


「中等部2年Aクラスの御剣明日香さんですね?そちらの状況はすでに連絡を受けているのである程度把握しています。現在複数箇所にて同様の反応を検知しています。至急応援を送りますので、それまでは市民の避難誘導を優先させてください」


「分かりました!」


学園からの指示を受けてすぐに元の場所に戻る。


「美加!魔物は?」


「気配はするけど、どこにも見当たらない。それで、他の人たちは?」


「他の場所でも魔物の反応があったみたいで、そっちに行ってる。学園の方からは、応援がすぐに来るから避難を優先させてくれって」


「分かった。じゃあ、私があっちを担当するから、ここは明日香に任せる」


「うん」


美加と別れてからすぐに、それは起こった。


地上3メートルくらいの所に現れた黒い塊。


その塊は急速に大きくなっていき、気づけばビルの5階ぶんくらいの高さになっていた。


そこから、1体の魔物が現れる。


それは、今までに見たことも、聞いたこともないサイズの魔物だった。


「………っ!」


体の中から湧き上がってくる恐怖を無理やり押さえつけて、私は駆け出した。


少しでも多くの人を助けるために。

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