生徒会長 花沢 夏凛(はなざわ かりん)
『本日、学園理事長より連絡があり、緊急災害指定Lv4を発令を決定した。
生徒諸君については、各自事前に決められいる担当任務に付き、その役割を全うしてほしい。
また、今後の状況次第で担当任務の変更があるかもしれないということを覚えておくように。
特に、近隣住人の避難誘導にかかわる生徒は、本学園の模範となるように行動する事。
一週間から二週間を目処に国連軍から応援部隊が来ることになっている。
魔物の討伐を担当している生徒は、彼らと協力して事にあたってほしい。
過去、幾度となく発生したスタンビートにより、世界各国にあった学園が滅びていった。
今回も例に埋もれず滅びる運命にあるのかもしれない。
だが、それを簡単に受け入れるわけにはいかない。
魔法使いと呼ばれるようになった我々生徒が諦めてしまえば、それは人類の滅亡と同義だからである。
早ければ一カ月後にはスタンビートが発生するという報告を受けている。
そのことを踏まえて行動してほしい、以上』
スピーカーのスイッチを切ると、息を吐いた。
――生徒会長として、自分の言葉をしっかり伝えれただろうか。
そう考えていたら、後ろから掛けられた声によってすぐ現実に引き戻された。
「さすが生徒会長。素晴らしいスピーチでしたわ」
副会長の言葉に思わず苦笑してしまう。
「まだまだだよ。これが本当に自分が伝えたかったことか今でも悩んでしまうしね」
「そんなことはありません。魔法を使う生徒としての矜持、この街で暮らしている人々への想い、どちらもしっかりとつたわっているはずです」
理事長からの報告通り、魔物の数は確かに増えてきている。
しかし、それが本当に数々の魔導学園を滅ぼしてきたスタンビートへのきっかけなのか。
「多分、大半の生徒は、今回の件は大げさにとらえられていると考えているだろうね」
自分も少なからずそうだ。
口を閉ざしていることから、副会長もそう考えているのだろう。
「だからと言って、本当に何もしないというわけにはいかない」
実際に起こってしまってからでは、遅いのだから。
「少しでも生き残る可能性を上げるため、出来ることは何でもやっていこう」
副会長が頷くのを確認して、私は放送室を出ていった。