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「しょうがないだろう? 今のところ、体が空いているのはお前達ぐらいなものなんだ。他の奴らは何かしら予定があるし、抜けられないんだよ」
「アンタはどうなのよ?」
「私は夏休みに実家に帰省する前に、やるべきことが山ほどあるんだ。知っているだろう?」
「うっ…」
「まあボク達も専門学校での課題があるのですが…」
「それは二人で何とかできるだろう? こっちの事件の方は、犯人さえ特定してくれればそれでいい」
「学科が違うんだけど…まあ良いわよ。分かった」
ヒミカは散らばった資料を集め、立ち上がった。
「犯人を特定できれば、その先は関わらなくていいのね?」
「ああ。呪術が入っているのなら、私の分野でもあるからな」
「了解。じゃあ行きましょう、キシ」
「ええ。それではマカさん、後でご連絡いたします」
「すまんな。よろしく頼む」
「しかし顔剥ぎ事件なんて、とんでもない事件ですね」
「ヒミカの時のよりはまだマシ…とも言えないか。何せ魂にまで影響がある」
店の奥からソウマが出てきた。
「顔を剥ぐ時にどんな力が作用しているのかは分からんが、魂にまで何かあるのなら、かなり強力な呪術だろうな」
「マカ、気をつけてくださいね? あなたも力を持つモノ、狙われる対象としては充分なんですから」
「ああ、分かっているさ。しかし当主からの頼み。断るワケにはいかないだろう」
祖父こと当主は、マカが次期当主として立派な働きをするよう、動くことがある。
それを断れば、マカ自身にマイナスのイメージが付いてしまう。
ゆえに余程のことがないかぎり、当主の命には逆らえないのだ。
「ソウマ。マリー達はいつ頃帰って来る?」
「そうですね…。おつかいに行ってもらっている所、別次元ですからね。おそらく早くとも三日後になるかと…」
「マリーなら何か知っていそうだったんだが…」