vs大魔王 4
お待たせしました。
今日から連載再開します。
楽しんでいただけたら幸いです。
大魔王の全身が肥大していく。
四本の腕から、もう二本、腕が生えてきた。
ごつごつと鱗の張ったドラゴンの腕だ。
頭も触覚の横に二対の角が生えていく。
背中の羽もしっかりとしてきて、生えてきたドラゴンの翼とともに威嚇するように大きく広げる。
体中に纏った闇の炎が収束し、黒い外殻になり、張り付いていく。
見るからにわかる、かなり堅そうな外殻だ。
闇の炎が武器を作り出す。
黒いハルバードと大きな戦斧だ。
両手で巨大なハルバードと戦斧を二本ずつの手で持つ。
ドラゴンの手は爪を伸ばしている、そのまま攻撃する気だろう。
全長は五メートルと言ったところか。
接近戦はやりたくない姿だ。
少なくとも一対一ではやりたくない。
ので、僕は変身し始めた所から呪文を唱え始めている。
「がああああぁぁぁぁあぁぁ!!!!」
大魔王が吠えた。
それと同時に僕の呪文が完成する。
――――神級魔法“メテオストライク”
空中に魔法陣が出現し、巨大な隕石が大魔王に向かい落ちていく。
僕らは急いで後ろへ下がる。
大魔王は上に手を挙げ、隕石を受け止めようとしている。
魔力で押さえているのか、隕石は大魔王の十メートル程の位置で一瞬動きを止めると、その瞬間、地面がクレーターのように陥没していく。
僕は汗が噴き出る。
さっきも防がれたが、目の当たりにすると、さすがは大魔王と言うだけはあると肌で感じる。
メテオストライクの発動後、すぐに僕は下がりながら次の呪文を唱え始めている。
――――神級魔法“アブソリュート・ゼロ”
目の前に生まれた氷の玉から、氷のレーザーが大魔王を凍らせていく。
隕石が大魔王を押しつぶした。
巨大な轟音と共に、巨大なクレーターを作り出す。
次の瞬間、隕石が爆発した。
粉々になった隕石の欠片が、ばらばらと落ちていく。
僕らは驚愕と共にそれを見た。
砂塵と土砂がもうもうと舞い上がり、視界を埋めていく。
僕は風魔法を使い強風を起こして砂埃と土砂を吹き飛ばす。
クレーターの真ん中に、無傷の大魔王が僕と目を合わせると、にやりと顔を歪ませた。
くそっ外見は無傷でも、多少なりともダメージは与えていると信じたい。
ラフェが“リンク”で、
『竜種を取り込んだと言うことで、私も戦闘に参加する』
これは心強い。
神話では確か、神と竜族が大魔王を倒したと読んだことがある。
『神話の時代の戦いの再現だが、間違い無くこの戦いも伝説に残るものになる。人族の強さを見せてやりなさい』
みんなは頷く。
『あと、オルター、どんなに追い込まれてもあいつをコピーしてはいけない。第二の大魔王になってしまう可能性があるから』
くぎを刺されてしまった。確かに最後の手段にそれも考えていた。
するとマリーナが呟いた。
『……私も本気をだすか。さすがにここで本気を出さないのは間違っているな』
マリーナは呪文を唱える。
僕は驚愕する。こ、この呪文はまさか!
――――竜魔法・変化“ミラージュドラゴン”
マリーナの全身が虹色の鱗に覆われていく。
そしてマリーナは巨大な虹色のドラゴンへとその姿を変えた。




