カンザンにて
カンザン城、謁見の間
「余がカンザン国王 カンザス五世である」
「面を上げよ、勇者アンフィの弟とはその方か」
「はい、オルター・ドヴェルグと申します、王様」
カンザス五世はがっしりとした体に髭を生やしている、見た目四十代のおっさんだった。
「よい面構えだな。とても成人前には見えぬな」
当たり。中身は十七歳だ。日本とこっちの歳を合わせれば二十九歳になるもんね。
ちなみにこの世界の成人は十五歳らしい。
「まずは魔華四天王セスを倒してくれたことに礼を言おう。報酬金を受け取るがよい」
部下の者が持ってきた麻袋をうやうやしく受け取る。
おおっずっしり重い!
「ありがたく頂戴いたします」
「単刀直入に言おう。我らはこれからガルダを人の手に取り戻すために兵を出す。そなたらも一緒に戦ってほしい」
僕は少し考えてから、
「申し訳ありません王様。私はバンロに向おうと思います。魔華四天王デスタイラントを倒します」
ガルダ、バンロは魔族によって攻め込まれた都市だ。ガルダに攻め入ったのが先ほど倒したセス、バンロがデスタイラントだ。
「なるほどな…そういうことなら致し方あるまい」
そして僕の目を見ながら続ける。
「死ぬなよ、若き英雄達よ」
僕はうなずく。
「それはそうと、この者がそなたに話があるようだ。聞いてやってくれ」
王の横にいたやたらとがっしりした男が一歩前に出る。
「カンザン冒険者ギルドのオーレンだ。オルター殿には是非冒険者ギルドに加入してもらいたい」
***
僕らは後程冒険者ギルドへ行くという約束をし、城から出ようとしたところで、
「お待ちしておりました。主様」
幼女に話しかけられた。
薄い金色の髪に、白いワンピース、整った顔、そして裸足だ。
お互い視線を合わせたまま十数秒。
だれっだっけ?
予想外に返事が返ってきた。
『ティノです。主様』
……。
ああそうか! ユニコーンは幻獣なんだった!
この世界の幻獣は人の姿になれると里で教えてもらっていた。
すっかり忘れてた!
「えーと。それでなぜ幼女なの?」
「私の年齢がどうやら人に当てはまると幼女になるようです」
ん?どういうことだろう?見たところ、8、9歳。
でもやたら落ち着いてるし。
……。
ま、いっか。
「じゃあとりあえず宿屋に行こう」
「ちゃんと挨拶してなかったね。私はティーリンよ。よろしくね」
ティノは礼儀正しくぺこりとお辞儀をすると、
「オルター様の恋人ですね。よろしくお願いします」
爆弾発言。
「ちちちちちがうわよ! ま、まだ恋人じゃないわ!」
「まだ? ということは、いずれは」
ティーリンが慌てて遮る。
「ち、ちが、そ、そこはほら、あ、あれよ、こ、言葉のあやってやつよっ」
なんか慌てるティーリンがちょっとかわいい。
そんな言い合いをしながら、僕らは宿屋に着いた。
ティーリンの顔が赤い。なんでだろう。
ここの宿屋も、一階が酒場、二階が宿泊用の部屋だ。
「あいにく、一部屋しか空いてないんです」
胸の大きくあいた二十歳ぐらいの給仕のお姉さんが言った。
「それしかないなら、し、しかたないわね」
「じゃあそこお願いします、それとこれで三人分の食べ物を見繕ってもらえますか」
金貨一枚を渡す。
「足りる?」
「大丈夫よ、ちょっと待っててね」
お姉さんは奥に引っ込んだ。
まだまだ今日はやることがいっぱいある。
長い一日になりそうだ。




