vs??? 3
「なにかくるにゃ」
突然ミオが言い出した。ミオの猫耳が動いている。
振り返ってミオと同じ方向を見てみる。
黒い点が空に浮かんでる。
それはどんどん大きくなって来る。
なんだあれは。
……黒い三つ首のドラゴン!?
駆け付けたアンリが叫んだ。
「あれは……。いけない! 緑の男の死体を確保してください!」
こちらが見つけたのと同様、向こうもこちらを見つけたようだ。
魔王ゾルマ並みのプレッシャーが全員を襲う。
僕はプレッシャーに晒されながら、無言で闘気剣を作りだす。
僕もアンフィも光の鎧を解除していないのが幸いだ。
そいつは僕らの上空を旋回すると、そのまま急降下してきた。
僕は声を張り上げる。
「何者だ! 何の用だ!」
僕は緑の男の死体の横に立つ。
ミオとリオンもだ。
僕らの前に、三つ首のドラゴンが着地した。
そいつは真ん中の顔を僕に近づけると低いしわがれた声で言った。
「天使か? いや、人間か。なぜ人間がここにいる」
「まあまあ、この状況を見ると予想はつくわ」
突然三つ首の竜の背中から声が聞こえた。
その声の主は竜の背中から飛び降りた。
女だ。黒い長い髪を後ろに流して、黒いズボンに、大きな胸を強調した真紅の上着、地球で言ったらアオザイのような服を身につけている。
僕の事を見ながら言った。
「あなたたちがこの男を倒したのかしら?」
砕けた口調だが、プレッシャーに僕の額から汗が流れる。
「ああそうだ。向こうの魔王も僕たちが倒した」
僕がゾルマの死体の方を見ると、その女もそれを見て言った。
「向こうの魔王? あらあらゾルマちゃんたら負けちゃったのね」
「やつは弱いからな。せいぜい苗床になるぐらいが関の山よ。それで生んだはいいが、自分は殺されて、さらには生んだものも殺されたのだな。無能もいいところだ」
「あら、よく見たらこの子可愛いわね。ねえ、お姉さん所に来ない? 経験したこともない快楽を教えてあげるわよ?」
女は妖艶に微笑みながら腰をくねらせた。
「…………いや、遠慮しておくよ」
“リンク”でぼそぼそとみんなが言ってる声が聞こえる。
『いまちょっと間があったわね』
『まさか悩んだんですか?』
『確かにおっぱいも大きいし』
『ふらふらとついていっちゃいそう』
『おっぱいが大きいからって、知らない人についていっちゃだめです』
『オルターってそういう趣味だったのね』
みんな余裕か! 姉さままで!
『そんな余裕ないよ!』
と、一応言っておく!
女が言う。
「あらそれは残念。で、私たちはその死体が欲しいんだけど、頂けないかしら?」
「この死体をどうする気だ。いや、その前にお前たちは何者だ」
「あらあら。自己紹介がまだだったわね。私はミズカ。北の王ミズカ。そちらの大きなのは東の王ギルドラ」
三つ首ドラゴンが
「ゴオオオォオォォォ」
と、雄叫びをあげた。
「人間は私たちの事を、魔王ミズカと魔王ギルドラって呼ぶわ」
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