表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第六章
79/379

それぞれの戦い ティーリンの戦い

 ティーリンは思った。


 ローブの男からは、得体が知れない力を感じる。


 早めに倒したほうがいい、と。


 幸いリーチはティーリンの方が長い。


 近づきさえしなければ、攻撃を食らうことはないだろう。


 ティーリンは矢継ぎ早にレイピアで斬り付ける。


 男は短剣でティーリンのレイピアを防御する。防戦一方だ。


 男はなにやら唱えている。


 呪文か!


 させない!


 しかし男は二振りの短剣で防御を固めている。


 焦るティーリンをよそに呪文が完成する。


「ファイヤーボール」


 至近距離で放たれたその呪文に、ティーリンはバックステップしながら、レイピアを振るい消滅させる。 


 と、消滅したファイヤーボールの後ろから、男が飛び込んできて至近距離から短剣を振るう。


 ティーリンは慌てずにレイピアで防御する。バックステップをうまく使い、男から距離を取る。


 そしてまたレイピアを使い削っていく。


 男が周りを見て、魔獣たちが半分になっているのを確認する。


 と、その時ミオがローブの男を吹き飛ばしたのを目で捉えた。


「しょうがないか。あまりやりたくはなかったんだが……」 


 男が呪文を唱える。


 ティーリンは猛烈に嫌な予感が全身を走るのを感じた。


「させない!」


 ティーリンはレイピアを突き入れる。 


 肩に深くレイピアを入れたのと同時に、しかしその呪文は完成する。




――――竜魔法・変化“ブラックドラゴン”




 ドン、と生まれた衝撃波にティーリンは後ろに吹き飛ばされる。


 ティーリンは空中で一回転するとふわりと着地した。


 男の体が盛り上がり、形を変えていく。


 鋭い爪、巨大な牙、巨大な翼、長い尻尾、邪悪な笑みの巨大な黒いドラゴンへと。


 ティーリンは汗が噴き出るのを感じる。


 私はまだ余力があるが、“紅の牙”のメンバーにとっては荷が重いだろう。


 順調に魔獣を倒してはいるが、まだケルベロス、フェンリル、マンティコア、ワイバーンが残っている。


 どこまでやれるかはわからないが、私が引き付けるしかない。


 精霊帝はまだ二体残っている。


 もう一体呼ぶ余裕はないから、風の精霊を召喚し風魔法の代わりをさせることにする。


 これで精霊に指示を出すだけで、空中での移動が可能になる。


 ティーリンの剣は特別製だ。


 どんなに鱗が固くても関係ない。


 ある意味ドラゴンに対してこれ以上効果のある武器もないだろう。

 

 私ならやれる。


 ティーリンは覚悟を決めた。

 

 そこに心強い声が“リンク”を通して聞こえてきた。


『こっちは倒したにゃ! ミオはティーリンの援護に行くにゃ!』


『助かるわ!』


『こっちも終わり次第行く、がまだ時間がかかりそうだ。リヨンだけでも行かせようか?』


『いえいいわ。こっちは私とミオで戦う! お互い頑張りましょう!』


『『『『『はい!』』』』』


 ティーリンは声を張り上げた。


「来なさい!」


 ブラックドラゴンは吠える。


「グゥォォォオォォォォォ!」


 口に黒い炎を溜め始めた。


 ブレスが来る!


 ティーリンは飛び上がり、風の精霊に命令を下す。


 ドラゴンの上を飛び越して後ろまで飛ばせて!


 黒いブレスを吐いたとたんに飛び上がり、背後までブラックドラゴンを飛び越える。


 ブラックドラゴンは黒い炎でティーリンを焼こうとするが、ティーリンの方が早く、炎は空振りする。


 ティーリンは首にオリハルコンの剣を突き入れ、刺したままドラゴンの背中を走り下り、切り裂いていく。


 深めに入ったと思うが、なにせ太いからダメージがあるかはわからない。


 ドラゴンの背中から血が噴き出す。


 ミオが後ろ足に攻撃し、ドラゴンの気を引く。


 尻尾で攻撃しようとしたところを、ドラゴンの体を駆け上がることで空振りさせる。


 ミオはレッドドラゴンと戦ったこともあるから、ドラゴン戦の戦い方を知っている。


 とにかく動きを止めないことだ。


 一撃は重く、当たれば大ダメージを食らってしまうが、攻撃に準備動作が多く、来る攻撃がわかるから、回避が間に合う。




 ミオとティーリンはたった二人でドラゴンを圧倒する!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ