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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第六章
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vs魔王ゾルマ2


 魔王ゾルマの横に青く丸い魔力の塊が出現する。


「第二ラウンドならこちらもパワーアップさせてもらいますよ」


 黒いローブの男二人が出てきた。


「む。お前達か。臆病者のお前が出てくるとは珍しいではないか」


「臆病にもなりますよ。ゾルマ様と一緒に居たら、いつ食われるかわからないじゃないですか」


「くっくっく、違いない」


 魔王ゾルマは壁から抜け出す。


「それに、勇者君たちだけパワーアップとかずるいと思うんですよね」


 男が何か唱えると、男の周りに七つの魔法陣が出現する。


 あれは……召喚の魔法陣かっ。


 次々と魔獣が召喚される。 


 カレンが驚愕の声を上げる。


「ケルベロス、フェンリル、マンティコア、ミノタウロス、ヘルハウンド、ワイバーン、それにロックバード!?、伝説の魔物ばかりじゃないですか!」


「ずいぶんとうまそうな者達ではないか」


「食わんでくださいよ。食うのは勇者たちですよ」


「ふん。わかっておるわ!」


「それでは続きを始めましょうかね」


 ティーリンもあわてて、炎の精霊帝、雷の精霊帝、土の精霊帝を召喚する。

  

 僕は“リンク”のメンバーに姉さまを追加し、全員に指示を出す。


『姉さまこれは心話です!』


『うん。わかった』


『ミオ、拳闘士はまかせていいか!」


『任せるにゃ!』


『よし、では僕と姉さまで魔王を押さえる! ティーリン、ミモザと召喚士を! 紅の牙は魔法使いを守ってくれ! リヨン、マナ、セルフィ、マリーナ師匠は魔獣たちを! アンリ、ミランダも魔法組で!』


『『『『『『了解!』』』』』』

 

『姉さまは、僕が合図を出したら真上に飛び上がってください!』


『わかった!』


 よし、僕たちは魔王ゾルマに集中しよう。


 姉さまがゾルマへ突進し斬りかかる!


「効かんな」


 ゾルマは両手に黒いオーラを纏い、素手で攻撃を受ける。


 僕は一旦距離を取る。姉さまの真後ろだ。


 そのまま重力魔法を使い、地面と水平にゾルマの方向に落ちる!

 

『姉さまっ!』


『了解!』


 姉さまが真上にジャンプするのと入れ違いに、僕はゾルマにものすごい勢いで蹴りを放つ!


 ゾルマと僕はその体勢のまま城の壁を破壊し、それでも止まらず次の壁、次の壁、またその次の壁を轟音と共にぶち抜き、外までゾルマを蹴り飛ばす。


 外壁を越え、森へとゾルマは落下した。いや、激突した、のほうが正しいか。


 姉さまが穴から飛び出てくる。


「ゾルマは!?」


「森へ落下した。手ごたえはあったんだけど……」


 見に行こうか、と近づこうとしたとき、


 空間がどくん、と波打った。

 ゾルマの落ちた所からだ。


 どくん、どくん、どくん。


 森から何かが来る!

 

 プレッシャーが今までの比ではない。

 僕らは森を凝視する。


 ゾルマが落ちた所から、僕たちの居る所へと、木々が次々と倒れていく。

 黒い巨大な何かが近づいてくる。


「姉さま、少しだけ僕を守ってください」


「わかったわ」

 

 姉さまが僕の前に飛ぶ。

 僕は空中に浮遊しながら呪文を唱え始める。マリーナ師匠から教わった神級魔法二つのうちの一つ。詠唱時間が長く、場所も選ぶため、今まで使う場面がなかったが、今ならいける。


 僕が呪文を唱え終わるのと同時に 

 森から黒い巨大なドラゴンが飛び出してきた!


 それと同時に僕は唱え終わった呪文を放つ!


 いくぞっ!




――――神級魔法“メテオストライク”




 空中に巨大な魔法陣が出現し、そこから巨大な隕石が赤く燃えながら黒いドラゴンめがけて落ちていく。

 すさまじい轟音と共にあたりが土砂で覆われる。


 無事だとしても、さすがにこれでノーダメージと言うわけにはいかないだろう。



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