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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第六章
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魔王の島

本日24時前までにもう一話アップします。

ちょっと見返している時間がなかったので、今後色々と後から付け足します。


 海の波間を二船の帆船が進んでいく。


 僕らは黒いガレオン船に乗っていた。


 魔王の島は肉眼で見えているのだが、上陸するには遠回りしないといけない。


 僕らの船は暗礁地帯の隙間を縫って進み、魔王の島へと向かっている。


 海図はあるので、危険はなく魔王の島へ着けるということだ。


 魔物が出なければ、という話だが。


 海にいる魔物は、イカの化け物、クラーケンのみ。

 ただ、ここ数百年は目撃情報がなく、漁師たちの間ではもはや伝説となっているそうだ。


 あとは空を飛べる魔王の手下の魔獣たちだ。


 だが、魔獣も魔物も出ることなく、不気味なほど順調に進む。


 風向きも天候も良く、航海の妨げにはならない。


 僕らは甲板に立ち、魔王の島を睨んでいた。


 船酔い組以外は。


 珍しいことにミオが船酔いで船室に籠っている。

 敏感すぎる感覚に訴えるものがあるのだろうか。

 

 ユニコーンのティノとリアンも船酔い組なのだが、後で呼んでくれと言って自分の国に帰っている。

 

 マナとカレン、ミランダもだ。船室で呻いている。


 船酔いに効く呪文はないそうで、耐えるしかないらしい。 


 そのまま何事もなく半日ほど進み、目的地の砂浜に着いた。


 船長に礼を言い、


「魔王打倒と勇者の救出、頼みましたぞ」


 僕は頷く。


「ええ。次に会うときは魔王を倒し、勇者と一緒です」


「ご武運を」


「ありがとうございます」


 もう一人、挨拶をしなければならない人がいる。


「ラフェもありがとう。ここまでついてきてくれて」


「さっさと行って、さっさと倒してきちゃいなさい。そしたらウリシュナに挨拶に行くのよ」


 ぶっきらぼうにラフェは言った。


 僕は頷いた。


「うん。頑張ってくるよ」


「負けたら許さないからね」


「わかったよ」


 僕はラフェに一瞬だけ抱き着いてハグした。

 ラフェは一瞬固まったが、僕の背中をばしんと叩き、


「いいから行ってきなさい!」


 と顔を赤らめ言った。


 僕らは降ろされた小舟に乗り込む。小舟と言っても全員がのれるほどの結構な大きさだ。


 水流操作のスキルで漕ぐこともなく進め、砂浜までたどり着く。


 すでに透明化の呪文を全員に掛けてある。


 デスタイラントの時のように見破られる恐れもあるが、いけるとこまで掛けていこうということになった。


 僕はティナ達を召喚する。眷属化した馬たちも一緒にティナ達のもとへ行ってもらっていたので、一緒に召喚され魔法陣から出てきた。


 馬たちにも透明化を掛けていく。


 これでよし。


 ここからは時間の勝負だ。


 数で押されたら勝てなくなる。バレないうちにできるだけ早く魔王のもとへ行かなくてはならない。




 ***




 魔王城の城下町。不気味なほど静まり返り、何の気配もない。


 気配察知にすら何もかかってこない。


 この城下町は昔は人間の住処だったらしいが、この島が魔族のものになってから、理由はわからないが、魔族すら住むことなく常に静まっているとのことだ。

 

 僕らは城下町を駆け抜ける。


 ここからは案内人がいるから楽だ。 


 ティナには聖女アンリと僕が乗っている。アンリの案内で進んでいく。


 すこし、アンデットの気配が出てきた。何をやっているのだろうか。ちょこちょこと気配察知に引っかかってくる。


 “リンク”の呪文は掛けてあるが、誰も喋らない。緊張感だけが伝わってくる。


 魔王城についた。

 門は開いていて、衛兵も見当たらない。


 僕らはユニコーンと馬に乗ったまま魔王城を進む。


 アンリが“リンク”で言った。


『敵がいない。私たちが前に乗り込んだ時と一緒だ。これは罠の可能性がある』 


 僕は言う。


『どんな罠でも姉さまの所まで、僕が辿り着ければ勝ちになる。油断しないで行こう』


『わかったわ』


 エントランスホールを抜け、階段を駆け上がり、玉座の間への扉の前までついた。


 僕らは馬から降りる。


『ティナ達は馬を連れて一回帰ってくれ』


 ティナが答える。 


『はい、分かりました。おきをつけて』


 僕は頷くと、ティナが魔法陣を開き、馬と一緒に帰っていく。マリーナのユニコーン、リアンも帰っていく。


『よし。みんな準備はいいか』



『『『『『『『はい!』』』』』』』



『それでは始めようか。世界を掛けて魔王と僕らの戦いを! 生き残るのは僕たちだ!』 

 


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