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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第五章
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決戦前


 

 その晩。


 宿屋の僕とミオの部屋で武器の点検をしてると、ミオがマナを連れて戻って来た。


「あれ? マナどうしたの? ミオ?」


 なんかマナは顔が真っ赤だ。うつむいてもじもじしてる。

 ミオはなんか偉そうな感じで話してきた。


「一番はミオにゃ」


 えっまさか……。


「マナは何番にゃろ? まあいいかにゃ」


 このパターンは……。


「まだ武器の……」


「そんなのいつでもできるにゃ!」


 あちょまっああーっ。


 僕はまたミオに押し倒された。



 …………


 ……


 …


 マナが、すごかった……。


 



 ***




 

 僕は温泉で口まで入って温まっていた。


 カザリアは温泉の町で有名だ。

 宿屋にはみんな温泉が付いている。


 基本混浴らしい。素晴らしい。


 二人は部屋で力尽きたのか寝てしまっている。

 

 二人とも幸せそうな顔だった……。

 

 ミオもマナも、いきなりはどうなんだ。心の準備とかあるよね! 普通は!?


 もうちょっとこう、ムードとかさ……。


 ん? 誰か来た。


 あ、ミモザだ。


 ミモザは僕を見つけると、小走りにやって来た。温泉にぽちゃりと入り、僕の隣まで来る。


「オルター様見つけました!」


 僕はぶくぶくと返事する。


「もう、そんなことしてると、またのぼせちゃいますよ」


 よいしょっと。と、僕の姿勢を正す。ついでに僕の唇にキスをする。


「ミモザも温泉好きなの?」


 ミモザは僕の隣に座る。


「ええ。好きになりました。大好きな人にも会えますし」


 ミモザはすまして言った。


「今日は星がきれいですね」


 僕は空を見上げる。


 日本の都会ではありえない星の数だ。


 もちろん日本で見れるような星座は一つもない。


 ミモザは僕の手に自分の手を絡ませてくる。


 そのまま一緒に空を眺める。


 あ、流れ星。


「流れ星は女神の流した涙と、私の国では言われてるんですよ」


 そうなのか。


「僕の住んでたところでは、鍛冶の神様の鍛冶場からもれた炎の欠片と言われてます」


「ドワーフっぽいですね」


 と、ミモザはくすっと笑った。



 僕らは唇を重ねる。



「流れ星が消える前に三回願い事を言えたら、願いが叶うとも聞いています」


「それは面白いですね。次見えたら言ってみます」


 僕らは空を見上げる。


 そうしてまた静かな時間が流れた。


「流れ星、来ません」


「そうだね」


「願いは願うものではなく、自分で掴み取るものかもしれません」


「そうかも」


「じゃあ、今の私の願いをかなえてもらえますか?」


 ミモザは僕の投げだした足の上に跨る。



 僕らはまた、唇を重ねた。



 ***



 翌日


 僕は紅の牙に稽古をつけることにした。

 冒険ギルドの訓練所を借りる。


 一対五だ。

 

 “紅の牙”は、

 カレン(戦士)、シズカ(剣士)、半巨人族のロミ(戦士)、セルフィ(魔法使い)、ミランダ(僧侶)

 だ。 


 僕は魔法と闘気で守備を固める。

 武装は右手に虹色のトンカチ、左手は今日は盾を持っている。


「よし。かかってきて」


「いきます!」


「「「「よろしくお願いします!」」」」




 シズカが居合を放つ。


「“彗星”切り!」


 うおっいきなり来たか! 僕は盾で弾く。

 そこにカレンが特攻してきた。


 上段から袈裟懸けだ。

 僕はそれも盾で弾く。

 体勢を崩したカレンの盾に思い切り蹴りを入れて、吹き飛ばす。

 そこにロミの戦斧だ。

 速い! ていうか手加減してなくないか! めっちゃ怖い!

 

 僕は飛び上がってかわすと今度はセルフィのファイヤーボール。


 ロミは一瞬でバックステップで後方へ逃げている。


 いいコンビネーションだ。


 僕はファイヤーボールをトンカチで叩いて消滅させる。


 そのまま前へ出て、シズカの剣を闘気剣で叩き落とす。


 闘気剣を地面へ刺し、シズカの懐に入ると一本背負いで地面へたたきつける。


 闘気剣を取り、ロミの戦斧を交わしながら、向かってきたカレンにファイヤーボールを手加減して放つ。


 僕は盾を投げ捨て、左手に闘気を強く纏わらせ、横薙ぎに振るわれた戦斧を掴む。


 そのまま驚愕の表情のロミを足を払って転ばせ、カレンに向かう。


 一対一だ。僕はトンカチを放し、手加減した“流星拳”(メテオフィスト)を入れて吹き飛ばす。


 ん。全員倒れている。


 うん、ミオには及ばないかもしれないが、僕の強さもかなりのものだ。


 よーし、少しみっちり鍛えようか。




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