決戦カザリア
夜12時前までにもう一話、更新します。
カザリアまであと少し。
逃げ惑う人々とすれ違うようになってきた。
どうやら敵は海から来てるらしい。
僕は両手にトンカチを持つ。
速度を緩めず、人々の間を縫うようにティノは走る。
逃げ惑う人々の後ろから、灰色のトカゲ男達が斬りかかっている。
そうはさせじと、カザリアの兵士たちがリザードマン相手に戦っている。
阿鼻叫喚だ。
敵はリザードマンか!
僕は両手に闘気剣を構える。
町の所々から火の手が上がっている。
カザリアの門をくぐり、参戦する。
ぎりぎり、間に合ったか!?
僕は叫ぶ!
「魔軍よ! 私は勇者アンフィの弟オルター! お前たちの相手は私がしよう!」
ティーリンが精霊帝を三体召喚し、僕らの護衛とする。
マリーナがライトニングの呪文で、一体ずつリザードマンを倒していく。
ここまで乱戦だと、魔法使いは戦いにくい。
いや、手はある。ここが石畳で助かった。
「ティノ、敵がいない所で一瞬僕を下ろしてくれ」
<わかりました、あるじ様>
僕は一度石畳の上に立ち、片手に古竜の短剣を取り出し、地面に手のひらを当てながら、短剣に魔力を流す。
よし、いける。
――――超級呪文“クリエイト・ロックゴーレム”
100倍の魔力を流し、次々とロックゴーレムを作り出す。
総勢100名の岩の兵だ。
通常のゴーレムではなく、はるかに硬いロックゴーレムだから、おそらく一対一ならばリザードマンには倒せないだろう。
マリーナがはっとして言った。
「そうか、ゴーレムか! その手があるか!」
マリーナも次々とゴーレムを作り出す。
生み出されたゴーレムたちは、リザードマンに殴りかかり、一体ずつ倒していく。
僕は叫びながら行く。恥ずかしがっている場合ではない。
自分の名がどれほどの力を持っているか知っているから。
僕は叫ぶ!
「お前たちの相手は、勇者アンフィの弟オルターだ!」
僕は斬って斬って斬りまくる。
離れた敵には“彗星斬り””で縦横無尽にリザードマンたちを倒していく。
「ティノ、港まで行けるか? 」
<はい。>
僕は逃げようとする人々に襲い掛かっているリザードマンを切り伏せながら港に急ぐ。
僕とティーリンは“彗星斬り”を使い離れている敵も刈り取っていく。
港に近づくにつれ、リザードマンの数が増していく。
そうなると今度は呪文の出番だ。
ティノのライトニングが、僕とマリーナのファイヤーボールが、リザードマンを倒していく。
海が見えてきた。
次々とリザードマンたちが海から現れ、街へ進行してくる。
沖には黒い不気味な大型のガレオン船が止まっている。あそこから泳いできてるというわけか!
「ティーリン、師匠、少しの間フォローお願いします!」
「わかったわ」
「了解だ」
僕らは砂浜の真ん中でリザードマンたちを相手取る。
リザードマンに包囲されるが、こういう場合は逆に魔法は使い放題だ。
次々と範囲魔法の餌食になっていく。
マリーナがスリープフォッグを使い、リザードマンを寝かしていく。
僕は集中し魔力を練りあげる。
よし、いくぞ。
――――神級魔法“アブソリュート・ゼロ”
僕の両手の間に絶対零度の氷の玉が生まれる。
僕は沖のガレオン船を睨み、氷の玉から氷のレーザーを砂浜からガレオン船まで走らせる。
砂浜からガレオン船まで、氷の道が出来上がる。
これで今現在泳いでいるリザードマンは全滅しただろう。
僕は魔力を消費し、氷の道を強固なものにしていく。
これぐらいか?
砂浜の敵を魔法で全滅させ、ついでに砂でサンドゴーレムを100体追加する。
このゴーレムは斬撃が効かない。リザードマン相手には役に立つだろう。
ゴーレムを町に向かわせる。
これで町にいるリザードマンたちは殲滅できるのではないだろうか。
ミモザたちもそろそろ着くころだ。
「よし。あの船に乗り込もう。」
「いいだろう」
マリーナはなんか楽しそうだ。そういえば僕がずっと指揮を取ってるからかな。
僕らは船に向けて、氷の道をユニコーンに乗り走り出した。




