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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第四章
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vs土竜王3

 今回は短いです。エピローグみたいな感じです。

 僕は人の姿へと戻る。


 ラフェの方を見ると、ラフェは一つ頷いて見せた。


 きつい戦いだった。でも誰も死ななくてよかった。


 僕はその場で頽れる。両手を地につけて、息を吐く。

 

 土竜王は、仰向けで首をぐでっと力なく横たえている。

 

 ミオが僕を仰向けにし、膝枕してくれる。

 

 「ご主人様がんばったにゃ」


 ああ、その言葉だけでも頑張ってよかったなと思う。


 「ミオが無事でよかったよ」


 僕もミオに言う。


 他のみんなも地面に座り込んでるのが見える。



「我は……。負けたのか……。」 



 気が付いたらしく土竜王が声をかけてきた。

 僕は上体を起こす。


「ああ、僕たちの勝ちだ」


「そうか……。」


 土竜王の体がぼやけて縮んでいく。


 そして土竜王は黒いローブを羽織った黒髪の壮年の男になった。


「では魔法を授けよう。我から授けられる魔法は一つだけだ。こちらへ来なさい」


 僕は立ち上がり土竜王の元へ行く。


 土竜王は僕の額に手を置き、なにやら呪文を唱えた。僕の頭の中に、神級の呪文と、呪文の使い方の知識が刷り込まれていく。 


 なるほど。今回手に入った魔法は空間魔法と言うらしい。

 

 強制的に指定した空間の温度、空気の成分の変更。


 真空を作り出すことさえ出来るようだ。


 ただ、戦闘で使うとなると使い勝手は難しそうだ。相手がその場所から動いてしまえば意味がなくなってしまうから。


 この知識を知ってるだけでも役に立ちそうなので、全員に覚えてもらう。


 まあ、神級魔法は魔法lv10でないと使えないんだけどね。


 魔法lv10を持ってるのは、僕とマナ、“紅の牙”からセルフィの三人だけだ。


 そしてついでに僕は土竜王に聞いてみる。魔法以外のスキルなどもひょっとしてもらうことが出来るのではないかと。


「よく気が付いたな。今回は魔法と言うことで空間魔法の伝授となったが、技が欲しいと言われれば、与えられよう」


 やはりそうか。


「基本的には魔法か技か。どちらかしか持っていないが、どちらも与えられる竜王もいる」


「技ももらいたいが可能か?」


「いいだろう。ただ、使えるかどうかはわからないぞ。我が与えられるのは、衝撃波を繰り出す技だ。これを覚えれば遠くから拳で殴るのと同等のダメージを与えることが出来る。武器を持っていれば武器で斬るのと同等の斬撃を飛ばすことが出来る」

 

 おおお。これはなかなか役に立ちそうな技だ。

 

「この技の力ある言葉(パワーワード)“彗星”(コメット)だ」


 パワーワードとは技を繰り出すときに叫ぶ名だ。これがあるのとないのでは全然威力が違う。


 この技も全員でもらうことにする。


 これで戦力的に大分強くなった。


 やはり竜王に会いに来て正解だった。


 全員分の伝授が終わると竜王は言った。


「そこの移転ゲートが地上へつながっているから行くがよい。我は疲れた」


 いつの間にか王座の間の真ん中に、魔力でできた白いボールが出来ていた。これが地上までの移転ゲートらしい。


「では。さらばだ竜王よ」


「ああ。さらばだ人の子よ」



 僕らは移転ゲートでダンジョンを脱出した。




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