vs土竜王1
41階層からは大きなアリが出るらしい。
カレンから地図を見せてもらった。
こんな感じ。
41階層は巨大なアリ
42 〃
43 〃
44階層は巨大な蜂
45 〃
46 〃
47階層は巨大な沼とリザードマン
48 〃
49 〃
50竜王
41階層は巨大なアリだった。
少数と戦っていると、いつの間にか仲間を呼んで大群になる。
かなり厄介だった。
とにかく数が多い。
マナとティナの魔法と、“紅の牙”の魔法使いのセルフィが大活躍だった。
やはり数を相手にするときは魔法使いが強い。
ティナは攻撃魔法はライトニングだけしか使えないけど、ライトニングは直線上にいる敵全部に当たるので、こういう時は役に立つ。
僕は魔力温存のため、主に闘気で戦う。
41階から43階まで。ここでは宝箱を2個手に入れた。
カレン曰く、ここから先のモンスターはみんな外殻とかが売れるらしい。
ダンジョンの敵は上の階層に来ることはないので、階段の近くで戦って、外殻だけとったらすぐに上の階に避難する、ということをするそうだ。
まあ今はお金を稼いでる場合じゃないのでガンガン進む。
44階層からは蜂の大群だ。
一匹3mぐらいあって、めっちゃ怖かった。
でも大きいけど動きがそれほど素早くなく、これなら日本に居たオオスズメバチのがよっぽど速かった。
まあビジュアルが十分に怖いんだけどね。
魔法石を回収しながらここもガンガン進む。
47階からはリザードマンが出るはずで、階段を下りたら一面沼地だった。
僕がカレンに「沼地歩きたくない」と言うと「ダンジョンとはそういうものです」と返されてしまった。
でもミオにも毛皮に泥が付くのがいやらしく、「行きたくないにゃ」と言われてしまった。
その場で猫の姿に変化して、僕の背中のいつもの位置にのぼってきた。
うーんずるい。
あ、そういえばユニコーンは沼の上を歩いても、沼に沈まないんだよね?とティノに聞いてみた。
「はい主様」
やった! ティノに乗って行けばいいじゃん!と思ったんだけど……。
みんなの視線が「まさかお前ひとりだけ楽しようと思って無いよね?」
と怖かったので、これも却下。もうこうなるとあれしかない。
僕はみんなを階段の上に引き返らせ、一人で沼地の前に立った。
――――神級魔法
“アブソリュート・ゼロ”
僕の両手の中間に生まれた氷の玉から氷のレーザーが沼地を走る。
このフロアごと氷に包んだ。
「終わったよ」
みんなを呼び寄せる。みんな呆れてた。
階段まで一直線にすすむ。途中リザードマンの氷像が何個かあったけど、全部無視。
ここまでの間にかなりの魔法石もたまったしね。
動いている敵に会うこともなく、階段まで進めてしまった。
47、48、49階はどの階層も沼地だった。
全部魔法で凍らせて進めたので、あっという間にボス扉前の休憩所に着くことが出来た。
ごはんを食べて少し休んで、いよいよ竜王戦だ。
***
玉座の間に竜が寝そべってる。
どこかの国の玉座の間をそのまま切り取って来たかのような、そんな光景。
ただ、竜王を基準として作っているのか、すべてのサイズが大きい。
そこで寝てるのは、レッドドラゴンから翼をなくしたような、ごつごつとした黄土色の竜王。
のそり、と竜が動き、顔をこっちに向けた。
「人間だと……。ずいぶん久しぶりだな。人間が私に何用か」
この問答が大事なのだと、みんなで話し合って結論が出ている。
僕は大声で答える。
「神級の魔法を譲り受けに来た」
「ほう」
竜王の動きが変わった。のっそりとした動作が機敏なものに。
僕を射抜くような視線で上から下まで見る。
「わかった。それではお前の強さを我の前で示すがよい。神級の魔法にふさわしいかどうかを」
竜王が立ち上がる
黄土色だった外見が、どんどん黒くなっていく。
漆黒の竜に変わっていく。
「我は土竜王タルド。いくぞ」
土竜王は息を思いっきり吸い込んだ。ブレスが来る!
「僕はオルター・ドヴェルグ。いきます!」
僕以外のメンバーは僕を頂点とし、扇状に広がっている。
なんのブレスだ。瞬間、竜王が息を吐き出した。
“サンドブレス”
六角形が合わさったサッカーボールのような魔法の盾を生み出し、さらに盾を前にかざして身構える。
その瞬間、砂の嵐が僕らを襲う。
サンドブレスか! 僕は防げているが、後ろのメンバーは間に合わないかもしれない!
このブレスは後ろまで届く!
しょうがない。僕は大きく息を吸い、
“ドラゴンブレス”
炎の息でサンドブレスを相殺する。
「ほうほう楽しませてくれる」
竜王は僕を見ると、ばかでかい口の端をちょっと上げて、にやりと笑った。




