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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第一章
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ユニコーン

 馬車の護衛達は、次々とオルターとそれからティーリンに声をかけた。


 男たちは全員青いマントを着ている。後に聞いた話では「青の傭兵団」という少しは名のある冒険者だという。


「すごいなお前」


「まじでたすかったぜ」


「どうもありがとうございます」


 倒れていた男は、ふらふらしているが問題なさそうだ。

 血が足りてないだけだろう。魔法で傷をふさいだとはいえ、血が補充されるわけではないから。


「命の恩人だ、ありがとう」


 そして盗賊を縄にかけていき、数珠つなぎにしていった。


 すると、馬車のドアが空き中から人が出てきた。

 

 最初に執事、それから執事の手を取り、女性が馬車を降りてくる。


 薄い青のドレスにバラの頬。亜麻色の髪と瞳に白い肌。

 ほほ笑むその女性は思わず見とれる華があった。

 

 馬車を降り、僕に話しかけてきた。


「わたくしはクレアと申します」

 

「助けていただきありがとうございます。かわいらしい戦士様」


 ドレスをつまんで優雅に一礼。


「ぼくは……」


 言いかけたところで、マリーナがやって来てクレアへ声をかける。


「クレア様」


 クレアと名乗った女性は目を丸くした。


「まあ賢者マリーナ様ではないですか。マリーナ様のお仲間でしたか。どうりで……」


「クレア様がここに居るということは……危険な状況ですか」


 クレアはマリーナ様の目をしっかりと見ながら言った。


「ええ、ランドルに救援を求めに来たのです」


 マリーナは顔をしかめた。

「救援は難しいでしょうね……。オルター、ティーリン」


 そこでマリーナは僕たちに言った。


「カンザンが危ない。先にカンザンに行ってくれないか」

 

 マリーナは僕の荷物を渡しながら言った。危ない忘れてた。

 僕は受け取りながら、

 

「魔軍ですか」


 これにはクレアが答えた。


「魔軍ですが、前線で戦ってるのは人間です。ガルダの国の者たち…それもほとんどが一般人なのです」


「魔族のやりそうなことね」

 

 ティーリンが吐き捨てるように言った。


「わかりました。僕とティーリンはカンザンに向かいましょう」

 

 マリーナは頷くと、


「私はクレア様とランドルに行きます。これに乗って行きなさい」


 杖の先で地面をこつんと叩き、魔法陣を展開する。


――――盟約により、出でよ、リアン


 魔法陣が光ると魔法陣から額に角のある、透けるような真っ白の馬、すなわちユニコーンが現れた。


 頭の中に声が響く


『ずいぶんと久しいではないか我が主』


「ああ、すまないが、この二人を乗せてカンザンに届けてくれないだろうか」


 単刀直入に言った。


 リアンと呼ばれたユニコーンは、ティーリン、次いでオルターを見ると、


『本来なら男は乗せないんだがな。子供ならまあよかろう』


「緊急事態なんだ、たのむよ」


『仕方がない、二人とも、わが背に乗るがよい』


 僕らはユニコーンの背に乗ると、


「では師匠、先に行ってます」


「ああ、気を付けるんだ。私もすぐに向かう」


 ユニコーンは一つ大きくいななき、風のような速度で走り出した。




 ***




 ものすごい速さで景色が流れていく。


 高速道路を車で走ってる気分になってくる。


 時速80㎞ぐらいは出てるのではないだろうか。

 それにしては風が吹いてこない。首をかしげていると頭の中に声が聞こえた。


『風の守りを掛けたからな』

 

 あれ? ひょっとして心の声が聞こえてる?

 

『ああ、ばっちりだ。それにしてもお前は面白いな』


 あ、いろいろやばい。ばれてしまう。


『安心しろ。我が他の者にお前の秘密をばらすことはない』


 あ、もうバレてるのね。


『転生者が勇者の弟とはな。面白い。お前と契約してもいいと思うユニコーンもいるだろうな』


 男なのに!?


『我々は純潔の乙女が好きだが、男と契約をしないというわけではない』


 ユニコーンと契約!?それってすごい事なんじゃないの!?


『そうだ。誇るがよい。我々は常に正しい者の守護者でもある。ん。いたぞ。我の妹だ』


 ユニコーンって男だけじゃないの!?


『何を馬鹿な。男だけでどうやって増えていくのだ』


 そりゃまあそうだよね。それでどうすればいい?


『カンザンで魔法陣を出すから契約をすればいい。ついでにお前の心に障壁を作ってやろう』


 ユニコーンの角が一瞬鈍く光り、消えた。

 心に障壁!?


『ああ。なんと説明するか……。眠りや混乱や魅了への耐性、アストラルサイドからの攻撃への耐性と、心で考えたことを読まれなくする。ただし、この障壁はカーテンのように開け閉めできる。慣れれば対象を指定することもできるぞ。集中してみるがよい』


 おお、ほんとだ。何となくわかる。今はカーテン全開だ。


『その代わり妹をよろしく頼むぞ』


 う、うんわかった。


 そうこうしてるうちにはるか向こうに城が小さく見えてきた。


 まだまだ距離はあるが、このままいけば小一時間もかからず着くだろう。


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