vsオーガ
僕とミオが走り出すと、ゴブリンたちは、ギャーギャーうるさくなった。
ばらばらと矢が飛んできたがティーリンの風の守りで全部はじかれる。
と、僕らの真ん中あたりを狙ってゴブリンメイジからファイヤーボールが飛んできた。
ミオがそれを右手のオリハルコンのツメで吸収する。
オリハルコンの爪は、放出しない場合は属性が付く。
オリハルコンの爪に火属性が宿った。
それから先は虐殺になってしまった。
ゴブリンが多すぎる。片っ端から斬って斬って斬りまくる。ミオの方を見たが、ミオも同じような感じだ。
普通のゴブリンもゴブリンジェネラルも、たいして変わらない。
闘気剣は反則級の強さだった。
闘気を使ってこない敵ならば防御無視でまとめて薙ぎ払えてしまう。
いつの間にかゴブリンは少なくなって、オークとホブゴブリンが混ざるようになってきた。
それでもやることは変わらない。斬って斬って斬りまくる。
宿場町……と言っても建物が三軒ほどあるだけなのだが、真ん中の広場でミオと背中合わせになり襲い掛かってくるものを斬りまくる。
ミオほど安心して背中を任せられる者はいない。
さすがにこの状況になると何匹か入口の方に逃げていくが、入り口を固めた“紅の牙”にやられていく。
ざっと百は倒しただろうか。
町の奥から背が高い何物かが出てきた。
なんだあいつは。人か? いや違う。もっとデカい、三メートルはある筋肉隆々の種族だ。
“リンク”で聞いてみる。
『ミオ、あれは何だ。あの人型でトゲのある赤い種族は』
『あれはオーガだにゃ。かなり強いにゃ』
あれがオーガか! おとぎ話でしか聞いたことがなかった。
『強いのか?』
『強いにゃ。油断しちゃダメにゃ』
そこへ慌てたようなカレンの声が響く。
『オーガが居るのですか! まずいですよ! 彼らはドラゴンすら一対一で勝ててしまう種族です!』
まじか。まあドラゴンなら僕たちも倒したけど……。
『見た感じオーガ男三人、女一人、それの後ろからついてきたのはたぶんゴブリンキングだ』
『引きましょう! オーガ四人なんてやばすぎます! 冒険者ギルドの冒険者総出で戦ってなんとか一匹倒せるぐらいの強さですよ!』
『カレンたちならどうだ? 一匹倒せるか?』
少し悔しそうにカレンは言う。
『たぶん無理です。魔法が効きにくく、純粋な力をメインに攻めてきます。疲れを知らないので休むことがないんです。持久戦に持っていかれたら勝てません』
『どうするミオ』
『ご主人様にまかせるにゃ。ミオは一対一なら倒す自信があるにゃ』
カレンが息をのんだのを感じる。
僕は逡巡する。ミオが倒せるなら、僕も引くわけにはいかない。そんな情けないことではだめだ。
そもそもどんなに強いと言っても、魔王より強いということはないだろう。
そうこうしてるうちに向こうから話しかけてきた。
「失せろ。女子供に興味はない。と言いたいところだが……。ゴブリンとはいえお前たちは殺しすぎた。一応配下なんでな。逃がすわけにはいかんな」
逃がす気はないらしい。ならやることは一つだ。ミオがこちらを見ている。僕は頷いた。
『僕らはオーガとやりあう事にした。カレンたちはミモザを連れて逃げてくれ』
ご主人様ならそう言うと思ったにゃ。と小声でミオは言った。なぜか嬉しそうだ。
マナとティーリンの声が割って入った。
『私もそちらへ向かいます』
『しょうがないわね。私も行くわ』
ミモザの声が、
『私も行きます! ここでオルター様を失ったら世界はどうなるのですか!』
『姫様しかし……』
『今の私は聖女です!』
ミモザはもめてた。
『ミモザ大丈夫だ。とっておきを使うから、負けないよ』
僕は力強く言った。
オーガに向けて言う。
「全員でやりあうのかい?」
オーガは僕に答える。
「まさか。俺が一人でやる。二対一で構わないぞ。なんなら他に仲間がいるなら連れてきていいぜ」
言ってくれる。
「降伏も認めよう。五体満足なら配下に使ってやってもいい。そっちの獣人は、そうだな、俺の子供を孕んでもらおうか」
なめるようにミオを見る。
ああ、ダメだ。こいつはダメだ。僕の地雷を踏んだ。
「ミオ、こいつを譲ってくれ。こいつは僕の獲物になった」
ミオはなぜ僕がそんなことを言ったのかわかったらしい。
「はいにゃ」
嬉しそうに頷いた。
よし。今日も書けたぞ('ω')ノ明日は盛り上がる展開になる?かもしれない!