vsデスタイラント
遅くなりました2回目の更新です。
静まり返った城下町を“透明化”の魔法で透明になった僕らは進む。
家の中に人が居るのかそれとも居ないのか。
家の中に生きてる人がいると信じてないと心が折れそうだ。
だけどその折れそうな心は次第にデスタイラントへの怒りと変わる。
デスタイラント……お前は許さない。
たまにスケルトンとリッチの集団や、骨の騎馬に乗ったスケルトンウォリアーの集団が大通りを通り過ぎる。
僕らはぶつからないようになるべく裏路地を進む。
もう少しで城の中に入る跳ね橋へと辿り着いた所で事件は起こった。
裏通りの家の中から声がする。
「父ちゃんをつれてかないで!! 」
「この人は何もやってません!」
それに答えるのは、
「何もやってないのが問題なのだよ! 喜べ! お前の父は栄えある我が軍に入隊が決まったのだ! 我が眷属の吸血鬼としてなあ! あひゃひゃひゃひゃひゃ!! 」
ティーリンが僕を止める。
「オルターダメよ。デスタイラントを討てば解放されるわ 」
僕は反論する。
「その時にはもう吸血鬼にされてしまってるかもしれないじゃないか」
父親だろうか。男の声がする。
「お前たち……吸血鬼ならスケルトンやゾンビよりはましだ。自我も残る」
「そうそう、吾輩に感謝するんだな!」
後ろ手に縛られた男が玄関から放り出される。
「吾輩は忙しいのだよ! あと20人は今日の分として眷属にしないといけないのだからなあ! 」
男の子が父親にすがりついて言う。
「お前なんか勇者様がすぐに倒してくれるさ!」
吸血鬼は爆笑する。
「あーーーーひゃひゃひゃ! お前は勇者が負けたって話を聞いたことがないのか! もう勇者は来ないのだよ! 永遠にな!」
あ、これはダメだ。こいつは僕の地雷を踏んだ。
ティーリンはあちゃーと目に手を当てて空を仰ぐ。
「一瞬よ。一瞬で倒してすぐにまた透明化するのよ」
「ティーリンありがと。行ってくる。大好きだよ!」
「こんな時に何言ってるのよ!」
とティーリンが赤くなってる。
ミオの視線がちょっと痛い。
「勇者様はいるもん! ままがいるって言ったもん!」
男の子は泣きながら父親にすがりついている。
吸血鬼は邪魔なものを蹴るように、男の子を蹴り飛ばそうとした。
僕は透明化を解く。というか殺意を持ったせいで解けた。
ズザッ
という音を共に崩れる吸血鬼。
頭と胴体がきれいに分かれて、頭がミオの足元に落ちる。
ミオはすかさず踏みつぶす。
僕がやったのは虹色のトンカチで首を振り抜いただけだ。
「少年、よく頑張ったね。父さんを大事にね。あとは勇者に任せなさい」
少年はぶるぶると震えているが、僕を見ると目を見開いた後、涙を流した。
「あ、あ、あ、ありがどう勇者ざま!! 」
僕は二人に早く家の中に入るように言う。
「今からデスタラントを倒してくるからね」
と少年の頭をわしわししながら言った。
すぐに透明化を掛けなおす。
みんなはしょうがないなぁという目で僕を見てた。
僕は首をすくめた。
ミモザだけ僕に微笑みを返してくれた。
僕らはバンロ城への跳ね橋を透明化をかけて渡る。
僕の直感ではデスタイラントの居場所は王座の間だといっている。
魔王の座は奪われたが、一度魔王になっているんだ。
玉座に執着していてもおかしくはない。
しかし。ここまで順調に来たのだからこのまま行ける、と思ったが甘かった。
玉座の間の前にいる魔族の衛兵にバレた。
「お前たちは何者だ!」
鋭い目で僕らを睨む。鷲の獣人だ。
「見たことがないな。魔王様への謁見があるとは聞いてないぞ」
僕はバレないようにリンクの魔法を全員にかける。
この魔法はかかってる同士ならどんなに離れていてもお互いに心話ができるという呪文だ。
『どうする? 倒すか? 』
カレンが答える。
『どちらにせよ、このまま戦っても援軍が次々に来そうだ。我々がここを守り盾になろう。オルター達はデスタイラントを倒してくれ』
『大丈夫か?』
『一応我々はSランクだからな。まかせてくれ。心配なら速攻でデスタイラントを倒してこちらの援護に来てくれ』
カレンはにやりとした。カレンなりのジョークのようだ。
僕はそれに答える。
『よし分かった。ちょちょいと倒してくる』
話はついた。
『こいつに殴れるものは殴ってくれ。3つ数える』
『3』
『2』
カレンが2歩下がり、代わりに剣士のシズカが前に出る。
『1』
僕が虹色のトンカチを振り抜くのと同時にシズカが居合に斬る。
ズシャッ
衛兵は息絶えた。
僕らは“紅の牙”へ頷くと玉座の間への扉を開ける。
いよいよ、デスタイラントとご対面だ。
次回で決着つくはず……!
たぶん……。




