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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
現代編 第二章
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現代編 vsヤマタノオロチ4


「おおおおお!?勇、ドラゴンになりやがったぞ!!」


 俊楽が驚愕の声を上げる。


「まじか……」


 美冬が呆気に取られて空を見上げる。


 勇が巨大な“皇帝竜”に姿を変え、顎のはずれたオロチの顔の前を飛んでいる。


「すごい……」


 綾子は胸に抱いたねこまたが、抱きしめられて苦しそうにもがいているのにも気付かず、呆然とオロチと皇帝竜の戦いに目を奪われている。 


 勇が変化したドラゴンは、体を燃え上がらせながら、オロチの頭めがけて飛び掛かっていく。


 頭で体当たりをかましてきたオロチを、あり得ない急発進と、あり得ない角度で直角に曲がり、かすらせもしない。


「おいおい、慣性の法則とか重力とか、無視してくれちゃってるよ……」


 俊楽が思わず声に出す。


 そうやって攻撃を避け続けていたが、ドラゴンは隙を見て攻撃に転じた。


 一瞬の隙をつき、赤いオーラを放つ左手でその巨大な鼻づらを殴りつけ、頭を岩山へと叩きつける。


 間髪入れずに純白のオーラを纏わせた右手で今一度攻撃し、岩山へめり込ませる。


 ここからは怒涛の連打だ。


 真紅の左手と純白の右手で交互にオロチの頭を殴りつけ、岩山に頭がめり込んでいく。


 その重厚な打撃の連打に岩山は耐えられずガラガラと崩れ始めた。


 


 その向こうではミオがもう一つのオロチの頭相手に奮戦している。


 ミオは闘気で巨大な白虎を形作らせ、その真ん中でそれを操作する。


 操作すると言っても、ミオの動きをその巨大な白虎のオーラがトレースするだけだ。


 ミオは“空中歩行”のスキルを使い、自由自在に空を駆ける。


 狙うは“目”と“喉”だ。


 遠くに居たと思ったら、稲妻とともに姿を消し、一瞬で喉元に現れる。


 巨大なツメの斬撃を一点に集中させ、首から血が噴き出す。


 オロチが首を攻撃されていると気づき、動きを見せた時にはすでにそこにはいない。


 頭の上に現れ、今度はオロチの目に白虎のツメを突き入れる!



「つ、強いなんてもんじゃない。こりゃ地球で能力が使えないはずだ。勇とミオだけで地球の軍事バランスが崩壊する」


「改めてみると……化け物だな。いやまあドラゴンだし、正真正銘化け物か!」



 綾子は目をきらきらとさせ、ねこまたを振り回しながら、


「すごいすごい!」


 を興奮して連呼している。 


「目がまわりまする~」


 ねこまたの非難の声は全く聞こえていない!



 残りの一つの頭は天照(アマテラス)の担当だ。


 こちらはもう余裕すらある。


 天照が舞うように動き、手や足から光を発すると、それが光の刃物のようにオロチを切り裂いていく。


「恨みはないが襲ってくるなら容赦はせん。我が光を喰らい、果てるがよい」 


 オロチはなすすべなく切り裂かれる。


「ギシャアアアオオオオオォォォォ」 


 たまらず、オロチが後退していく。


 すると、皆の頭に勇の声が響いた。


『向こうが引いたから撤退する!ミオ、てるひめ様、こちらも撤退しよう!』


 俊楽、美冬、綾子が頭の中に聞こえる声に驚いていると、苦笑したような声で、


『異世界の携帯みたいなものだよ。とにかく洞窟の入口に戻って』 


「わ、わかった!」


 いち早く正気に戻った俊楽が皆を急かして洞窟の入口のあった場所まで戻る。


 そこへドラゴンになった勇が到着し、洞窟の入口を塞いでいた岩を撤去、掻きだしていく。


「入口が見えたわ!」


 綾子が嬉しそうに言い、そこへ天照が到着し、地面にとん、と降りた瞬間にまた子供の姿に戻る。


 最後にミオが電光と同時に現れ、全員が揃った。


「ただいまにゃ」


 勇もドラゴンから人間に戻って、


「急いで脱出しよう。先頭は美冬に任せる」


「よっしゃ任せな!」


 嬉々として美冬が言い、洞窟へと駆け出す。


「てるひめも早く。しんがりは僕が」


「あいわかった」


 勇は皆が洞窟に飛び込むのを見届け、魔神達を元いた世界に帰す。


「ご苦労さま」


 魔神達が次々と勇の影の中へと戻っていく。


「ユウ様のお役に立ててなによりでございます」


 さいごに魔神王グリフがそういうと、にやりとした表情を浮かべ影の中に戻っていった。




 そうして全員、無事に洞窟を脱出したのだった。



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