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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
蓬莱大陸編
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報告


 邪神との戦いは終わった。


 黒龍族の主だったメンバーが皆戦死しているため、すんなりと白龍の王と王妃は城へと戻ることが出来た。


 今日は盛大な宴だ。


 城のあちこちで大樽に入った酒がふるまわれ、みな大騒ぎだ。


 ティーリンとマナは二人で話込みながら静かに飲んでいる。


 その後ろで、


「もっと持ってくるにゃ~」


「ミオには負けない……」


「男の意地をー見せてやる」


「私も参加します!」


 ミオとリヨン、レンの飲み比べに、ミモザが参戦してえらいことになってる。


 あそこに近づくのはやめておこう。


 僕にはまだやることがある。


 マントを羽織った僕を見て、王様と話していた姉さまが声を掛けてきた。


「あれ?オルターどこか行くの?」 


 僕は頷き、


「ちょっと行くところがあるんだ。姉さま、後はまかせました」


 まあ主役の勇者が居れば、勇者の弟が抜けても問題ないだろう。


 僕は姫のような着物を着たリリアンの手を引く。


「そうやってまたオルターは女の子とデートするのね。今度は誰?リリアン?」


「いやいやいや!はぐれた時にお世話になった人に挨拶に行くだけだよ!」


 姉さまはジト目で、


「どうだかね~」


 あ、これはお酒が入ってないか?僕はそそくさと、


「じゃ、まかせたから!すぐに帰って来るよ!リリアン、行くよっ」


「ん」


 僕は祝勝会で沸く白羅城を後に、スカイドラゴンへと“変化”し、リリアンを背中に乗せ、夜空に飛び上がる。


 今回は何の恐れもなく、堂々と空を飛ぶことが出来る。 


 雲の上へと飛び上がり、そこから飛び出た山の頂に向け全速力で飛行する。


 夜空に満天の星が煌めいている。


 あのどれかが地球だったりするのだろうか。


 僕は少し感傷的になる。


 ここから先は、一番高い山を目指せばいいからわかりやすくていい。


 そしてしばらく飛行し、あっという間にリンサの家へと着いた。


 僕はリリアンを下ろすと、竜化を解き、人間へと戻る。


 家の明かりはついている。



「師匠!!オルターです!」



 …………。


 ってあれ?返事がない。


 僕はドアの取っ手に手を掛けると、後ろに気配が!


 慌てて振り返ると、剣の平で手の甲を打たれた。



「あまい!いかなる時にも油断せぬことじゃ」



 リンサだ。いつものごとく仮面をかぶっている。


 ていうか、どうやって家の外に出たんだよ。


 これはあんまりな仕打ちだ。僕は痛さで涙目になりながらも、


「報告に来ました」


 そう言うと、


「そうかそうか。まあ家の中に入れ。外は寒いだろ」  


 そう言って家の中へ僕らを誘った。


 






 僕は熱いお茶を一口すすり、


「師匠のおかげで邪龍、邪神に勝つことが出来ました。どうもありがとうございました」


「そうか。邪竜はともかく、邪神に打ち勝つとは、なかなかなかなか」


 リンサは上機嫌だ。


 僕が持ってきた上質のお酒をくいっと空ける。


「で、どんな邪神だ。邪神と呼ばれる者達にも色々いるからな」


「はい。名はアラク、大地の戦神と名乗ってました」


 リンサは驚いたように、



「なに!上級神ではないか!こいつは大金星だ。どのように勝った」



 そうして根掘り葉掘り僕から邪神アラク戦を聞きだすのだった。


 話が終わると、リンサはしばらく目を瞑り、何か思案しているようだった。


 それから一つ頷くと、


「よし、決めたぞ!我もそなたの大陸へ連れて行け」


 僕は驚き、


「えっなぜですか?」


「そなたが何体も邪神を倒したからじゃ。さらに今回は上級神じゃ。これからそなたは邪神達に狙われることになる」


 リリアンが横から、


「さすがユウ。邪神にもモテモテ」


「いや、邪神にモテてもうれしくないから!」


 僕はリリアンにツッコミを入れつつ、


「いやいや、肉体を持った邪神の集団がこの世界には残っているのじゃ」


 なんだって!?そんなの初めて聞いたぞ!


 リンサはまたクイっと酒をあおると、


「そなたを脅威とみなせば一斉にやってこよう」


 そ、それは勘弁してほしい!


「ま、邪神の監視は我が役目。アラクもそなたらが倒せねば、この剣の出番となったことだろうよ」


 ぽんぽんと剣の鞘を叩く。


 えっ、ということはリンサは邪神より強いのか?


 僕の疑問が聞こえたのか、


「こう見えても昔は善なる神々と共に、邪神と戦っていたものよ」


 リンサ、あんた一体何歳なんだ!


「……わかりました。では師匠、ぜひ私たちと共に来て下さい」


「おう。ま、よろしくな」


 そう言うと仙人リンサはまた上機嫌で酒をあおるのだった。


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