決戦聖王国シーサ6
もう1話、夜にアップします。
僕は夜明けとともに起き、ティノに乗って門を出てスケルトンの様子を見にいく。
スケルトンの気配はなく、ゴーレムも動いた形跡はない。
炎はくすぶっていて今にも消えそうだ。
僕は下をのぞき込む。黒い灰の山だ。骨すらも燃え尽きたらしい。
僕は役目を終わった落とし穴に土魔法で上から土をかけ、圧縮してならす。
見張りの兵によると、数時間前に全部のスケルトンが燃え尽きたそうだ。
押されることがなくなった最後のスケルトン達も、穴の手前に偵察しに行った人を見ると、攻撃しようとしてそのまま穴に落ちたということだ。
それからは何も来なかったそうだ。
どうやらスケルトンは在庫切れみたいだ。
そのまま城へミモザを迎えに行く。
「おはようミモザ様」
「おはようございます。オルター様」
ミモザはミスリルの鎖帷子にアダマントの肩当と腕当、膝当、茶色のブーツ、濃い赤の皮のマント。
武器はあきらかに魔法のかかったフレイルにラウンドシールドだ。
「様はやめましょう。オルターと呼んでくれていいですよ」
「わかりました。私の事もミモザとお呼びください」
「いえ、さすがに姫様にそれは……」
「お呼びください」
強く言いなおし、にっこりされた。
笑顔が怖い。
「わかったよ。ミモザ。」
「はい」
ミモザはにこにことしている。
女性って怖い……。
シメオン王が出てきたので、挨拶と共に本日バンロ城へ急襲をかけることを話す。
出来れば王に囮として軍を出してくれないかと頼み込んだが、あっさり了承された。
まあこちらに皇女もいるし、軍を出さない危険を考えたら、出るしかないのだけどね。
バンロとシーサの中間にある平原で軍を展開するということだ。
それからバンロ城と城下町の見取り図を受け取る。ありがたい。これがあれば迷うことはないだろう。
ミモザとミモザの専属護衛だった冒険者“紅の牙”の5人も連れていってくれというので連れていくことにする。
さらに僕は将軍にゴーレムの命令権を渡す。
これで僕の命令のほかに将軍が命令することにも従うようになる。
僕の予想だと平原にはおそらくリッチが来る。
ディスペルマジックされてしまったら無駄になるが、いないよりは居たほうがいいだろう。
突入組は、僕オルター(魔法戦士)、ティーリン(召喚剣士)、ティノ(ユニコーン魔法使い)、ミオ(武闘家)、ミモザ(僧侶)、マナ(魔法使い)の6人。
紅の牙メンバーは皇女の護衛ということで全員女性だ。しかも全員冒険者ランクは最上位のSだということだ。
構成は、リーダーカレン(戦士)、シズカ(剣士)、半巨人族のロミ(戦士)、セルフィ(魔法使い)、ミランダ(僧侶)の5人。
全員装備を赤く染めている。防具も魔力がこもっているのが一目でわかる。さすがに姫の護衛団なことだけはある。
連日の超魔法連打で僕の魔力は現在半分ぐらいになってる。
魔力の回復のペースは普通の人と同じ、6時間寝て約300~500ぐらいだ。
回復量が使用量に追い付いていない。
まあそれでもやっと半分なわけだけど。
魔王戦の前には全回復しておきたいから、これからは魔力を度外視した魔法は少し慎もうと思う。
僕らはひっそりと城の裏門から出る。城を出るところから全員に“透明化”の魔法を掛ける。
バンロまではおよそ約100㎞。全員に馬が支給されたので、馬に魔法を使いながら移動すれば午後には着くだろう。
僕だけはユニコーンのティノに乗って行く。
ティノがリーダーになり、馬を眷属化すればユニコーン並みの体力になるというのでお願いする。
僕らはバンロに向かって馬を走らせる。
***
眷属化の影響か回復魔法の効果か。
かなり予定より早くバンロに着いた。
馬を降り、ここからは慎重に行く。
まだ日は高い。
日の光に弱いアンデットは多いから日があるうちに決着をつけたい。
――――魔華四天王デスタイラント。
アンデットの王と公言しており、自分自身もアンデットと言っているらしい。
外見は黒いローブを着た骸骨で、杖のような錫杖を持つそうだ。
こいつの怖いところはアンデットをいくらでも生み出せるところだ。
占領された町や国の生き物は、すべてアンデットにされてしまうという恐ろしい話を聞く。
魔王の復活と共に復活した神話の魔物。
通常の武器は効かず、魔力を込めた武器で攻撃しないとダメージが入らないそうだ。
かつては自身が魔王だったが魔王ゾルマに敗れてからは、魔王ゾルマの右腕として働いているらしい。
デスタイラント。
魔王の前哨戦として都合がいい。
僕らは開けっ放しになっている城門をくぐった。
さあ、僕らの力を見せてやる。
マナ入れて6人でした。訂正します。