白羅城の戦い
決戦の朝。
ミモザとリヨンが起きたら僕が居なかったとかで文句を言ってたけど、何とかなだめて、戦いの準備をする。
そして蘭青将軍と一緒に軍議から帰ってきた姉さまに話を聞く。
今回はラフェとスカイヤも一緒だ。
「私たちは遊撃隊として自由に動いていいそうよ」
ラフェが言う。
「空を飛べる精鋭の黒龍たちは、私とスカイヤ、そして白雪と碧炎王、こちら側についた龍族たちで相手をするわ」
僕は頷く。
蘭青将軍が、
「白虎族は空を駆けれると言っても、やはり龍族には及ばない。空の龍族は、主に碧炎王達に任せることになる。我らは地上から白羅城を目指す」
スカイヤは、
「オルター、アンフィは邪神が出たら邪神相手だ。他はまかせろ。今回は俺も大暴れすることにする」
そうか、碧炎王自らが出るという事は、ラフェとスカイヤも本陣にいる意味がないという事か。
マナが口をはさむ。
「ミモザ様はラフェ様に乗られるのでしょう?では私とリヨンさんとティーリンさん、“紅の牙”のみなさんで、地上は任せてください」
斥候によると、やはり地上は亜人達で埋め尽くされているらしい。
姉さまが残念そうに、
「ミオが居ればよかったんだけど、間に合いそうにないわね」
そう、ミオはいまだ帰ってきていない。まったく、何をやってるんだ。
「とりあえず“リンク”で意識を繋ぐ。リリアンに関する情報が少しでも入ったら教えてくれ。その場合は僕が救出に向かう」
白雪が口をはさむ。
「その件じゃが、西の塔の前に儀式をする間がある。おそらくそこじゃろう」
おお、その情報はありがたい。
「分かった。では僕は戦が始まったらその塔を目指す。邪神もそこにいるかもしれない」
何があっても全員で無事に帰るんだ。
「絶対にリリアンは取り戻す。みんな、力を貸してくれ」
「もちろん!」
「ええ」
「まかせろ!」
「はい!」
皆は威勢よく返事をする。
そして白虎軍の進軍が始まった。
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戦が始まった。
白羅城を取り囲んだ白虎軍が、一斉に突撃を敢行する。
白虎軍は薙ぎ払うように黒龍軍を下し、突き進む。
黒龍軍の先頭に立つのは亜人と人族だ。
その背後には空を飛べない黒龍達、そして五つ首の邪龍が二匹控えている。
白虎軍に人族はいない。
全員が白虎に変化できる白虎族だ。
数が多いとはいえ敵部隊は亜人や人族だ。序盤の戦闘で遅れは取らないだろう。
もっとも亜人や人族を最初に出し、白虎族の体力を奪う作戦なのかもしれないが。
やっかいな邪竜が二匹もいるが、これはマナ達を信じるしかない。
今のマナ達なら邪龍すら恐れるべき敵じゃないだろう。
僕と姉さまは天使の翼を広げ、白雪、碧炎王と共に空で待機していた。
城壁の上には、空を飛べる黒龍達が飛び交っている。
前回夜襲を掛けた時とは違い、隙が無い。
攻めてくる様子もなく、また地上を助けるでもなく、飛行するこちらの戦力ににらみを利かせている。
このまま夜まで時間を稼ごうという訳か。
空の戦力はこちらは二百に対し、向こうは五千はいるだろうか。
と、スカイヤが“リンク”で、
『突撃しよう。こちらは最上位種が二体いる。向こうはせいぜい上位種どまりだ。そうそう恐れるものでもない』
いや、違う。
来る。
空を飛んでいる味方の龍達がざわつき始める。
恐怖を抱くプレッシャーが高まってくる。
白羅城から現れ、猛スピードで近づいてくるそれは。
姉さまが警告の声を上げ、先頭に躍り出る。
「来たわ!邪神アラクよっ!!!」
猛然と飛び迫ってきたのは紛れもなく邪神アラクだった。




