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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
蓬莱大陸編
362/379

リリアンと邪神アラク

 白羅城前の小さな砦。


 そこに黒龍族の姿はなく、亜人達のみの兵が申し訳程度に守っているだけだった。


「残りの戦力は全部白羅城に集めているのでしょうね」


 砦を見下ろしながら馬上のミモザが言う。


「そうですね。最後の戦いは厳しいものになるでしょう」


 蘭青将軍がその隣で唸りながら答えた。


「手っ取り早くあの砦を落としてしまおう」


 リヨンは突入する気満々だ。


 まあでも、あのくらいの数なら本陣の到着を待たずに、先行している僕らだけで落とせるだろう。


「満月になる期限は明日の夜。移動を入れても明日の午前中には白羅城前に布陣できるでしょう」 


 この世界の戦は決着が早くつく。


 お互いに攻撃力がありすぎるのが原因だ。


 どんなに堅固な城壁だろうと、大技を放てる者がいれば一撃で破壊できてしまうからだ。


 蓬莱大陸は魔法が使えないので、僕らの大陸程ではないが、やはり決着は早い。


 大技と言えばマナだ。


 なぜ技が使えるのか聞いたところ、


「魔法戦士にクラスチェンジしたんです。頑張りました!」


 なんとマナは魔法使いから魔法戦士にクラスチェンジしていた。


 “鑑定”を使うと、確かに職業が魔法戦士になっている。


 これは僕と同じ職業という事だ。


 僕は“模倣”があるから楽に魔法戦士になれたけど、自力で魔法戦士になったマナには頭が下がる。


 “流星剣”すら使えるようになってしまうとは。


「マナには剣の才能もある。でもそれ以上の武器は、努力する才能だ」


 ティーリンはそう言っていた。


 そう、マナは魔法使いとしてはすでに完成されているにもかかわらず、努力することを惜しまない。


 常に強くなることを考えている。


 “エターナルフレアソード”の作成などその典型だ。


 何はともあれ、戦力があがるのはありがたい。


「では、我々だけで突入します」   


 蘭青将軍の言葉に僕らは頷き、砦へと陣を進める。


 七万の大群が砦に押し寄せていく。


 そして大した抵抗もなく、一時間と持たず砦は陥落した。 



 白羅城。


 蓬莱山の北に位置するその城は、慌ただしい喧騒に包まれていた。


「アラク様報告でございます!先程最後の砦が抜かれました!」


 王座に座る邪神アラクは、


「そうか。ふふ。そうではなくてはな。敵が居なければ面白くないからな」


 そして隣に立たせている少女、リリアンに向けて、


「喜べ。お前の仲間たちがお前を取り返そうとやって来るぞ」


 綺麗な真紅の着物を着せられたリリアンはそれには答えず、顔をそらす。


「くくく。強情な女は嫌いじゃない。が、そなたはちと若すぎるな」


 リリアンの顎を掴み、顔を上げさせ、


「明日の儀式が終われば、そなたの意識は混沌の女神に飲み込まれる。それまでに奴らが来るかどうかだ」


「オルターは来る。そして貴方を倒す。前に倒した邪神のように」


 リリアンの答えに、


「はっはっは。邪神と言えども強さはピンからキリまでよ。弱っちい邪神を一匹二匹倒したところで、自慢にはならぬ。我にはかなわぬわ」


 しかし、とアラクは続ける。


「なかなか楽しめる相手だった。次は本気でやるとしよう。くく。どういたぶってやろうか。」


 そうアラクは言い、リリアンから手を離し、王座に座りなおす。


 そして言った。


「決戦は明日だ。その愛しい男を、お前の目の前で四肢を引き裂き、はらわたを喰らってやろう。その絶望と共に混沌の女神に飲み込まれるがいい」


 その顔に邪悪の笑みを浮かべながら。 

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