攻城戦4
姉さまが聖剣と神刀を鞘に戻し、龍滅剣を抜き放ち両手に構える。
それは青く輝き、黒く翳った世界を照らしだす。
「き、貴様っそれは龍滅剣ではないか!?」
轟炎の驚愕に対し、
「そう!邪神を滅するための勇者の剣。あなたで試し切りさせてもらうわ!」
姉さまの言葉に、
「ぐぬっ、玄武のやつらめがっ、何が中立を保つだっ。日和りやがったな」
何やら黒龍族と玄武族の間で話がついてたらしい。
玄武の王め。
邪神の復活は確認が取れてないと言ってたが、やはり油断がならないな。
「たかが剣一本で我にかなうと思うなよ。また呪いをくれてやろうぞ」
そして耳障りな高音と共に、轟炎の口の中の赤黒い炎が生まれる。
いけない、呪い攻撃だ!あわてて姉さまの傍に行こうとした所を、
「おい、どこを見ている。お前の相手はこの俺だ!」
僕らのラマス大陸まで攻めてきた黒刃が、僕の前に立ちはだかる。
くそっ邪魔だなっ。
「悪いけど時間がない!本気で行かせてもらう!」
僕は神気と魔力を練り上げる。
「させるかっ!」
黒刃が猛スピードで迫って来る。
くっ“勇者の一撃”を撃たせない気かっ。
その黒いオーラを纏った爪の攻撃を僕はヒヒイロカネの刀で受け止める。
その瞬間爪に収束してた黒のオーラが膨れ上がる。なんだっ!?
「“黒の衝撃”!!」
黒いオーラが爆発し僕は吹き飛ばされた。
「かはっ」
しまった、もろに喰らってしまった。
肺をやられたかっ、息が出来ない。
急いで“再生”と“自動体力回復”のスキルを使ってダメージを回復する。
僕は空中で一回転すると、黒刃と向き合う。
侮っていたが、こいつは結構強い。
この姿のままでは力負けする。時間もない。
轟炎に姉さま一人では厳しい戦いになっているはずだ。
ならば……。
僕は黒刃に向けて飛びながら呪文を唱える。
―――“竜魔法”
―――“変化”
―――“皇帝竜”
「があああああああああああぁぁぁ」
雄叫びと共にその速度で黒刃に向かい体当たりをする。
皇帝竜の大きさは轟炎に匹敵する。
黒刃はその半分だ。
「“真竜”攻撃!」
“真竜”のパワーワードを使って、速度を乗せた体当たりだ。
「ぐがはぁあぁ」
黒刃は口から血を吐きながら吹き飛んだ。
高速でそれを追いながら、僕は神気を練り上げる。
黒刃に追い付き、技を放つ。
「“捨て身ひっかき”」
黒刃はさらに体のあちこちをちぎり飛ばされながら吹き飛んでいった。
うん。
皇帝竜での“捨て身ひっかき”は威力がすごいな。
体がでかいだけのことはある。
あの傷でこの高さからの落下だ。まず命はないだろう。
僕は落下する黒刃を尻目に、轟炎に注意を戻す。
激しく轟炎と切り結ぶ姉さまの姿が見えた。
轟炎は体のあちこちから血を流しているのに対し、姉さまは無傷だ。
さすがは邪龍を滅するための武器だ。
こっちに気が付いてないな。
ならばこちらも……、“模倣”を使わせてもらう!
高音と共に、僕の口の中に赤黒い炎が圧縮されていく。
これは結構制御が難しい上に体力が削られていくな。
僕だと二、三発打つのが精一杯か。
そして充分圧縮した炎を轟炎へ向け解き放つ。
一発、轟炎の肩をえぐり取り、二発目ははずし、三発目が尻尾の根元を半分ちぎり飛ばす。
轟炎が驚愕の表情で首を向け、僕が撃ったことが分かると、
「っ!?なぜお前が邪龍神の“邪閃光”を放てるっ!?」
今の技は“邪閃光”というのか。
しかしこっちに注意を向けていいのかな?
お前の相手はそんな生易しい相手じゃないぞ!
轟炎の注意が僕に向いて、隙が出来た瞬間に姉さまの体から純白の魔力が立ち昇る。
「しまっ……」
轟炎があわてて前を向いた瞬間にはもう遅い。
姉さまの技が発動する。
「“真竜・勇者の一撃”!!!」
轟炎は全身から黒のオーラを放ちそれに耐えようとしたが、姉さまの使っている剣は黒のオーラを切り裂く聖剣。
防御すること叶わず、姉さまの攻撃が直撃する。
「馬鹿な、邪龍神の力を得たはずの我が滅ぶのかああああああ」
轟炎が光の柱の中、光に焼かれ消し炭となっていく。
そして完全に消え去った。
「やったわ」
姉さまが青く光る剣を手に、はぁはぁと、肩で息をしている。
「オオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!」
僕は高々と雄叫びを上げた。
そして僕らは黒龍軍に勝利した。
残りは砦が一つと邪神の居る白羅城のみ。
なんとか間に合いそうだ。
リリアン、待っていてくれよ。必ず助け出すから。
リリアンの姿を思い浮かべ、僕はそう心に誓ったのだった。




