勇者の剣
「そこまでじゃ」
玄武王が立ち上がり手を叩いている。
「いやはや、良い勝負であった」
そして姉さまと頑鉄を呼び寄せた。
「この玄武族一の戦士、頑鉄を下すとは。そなたは勇者で間違いない」
その手には一振りの剣が握られている。
「約束じゃ。勇者アンフィよ、お主にこの剣を授けよう」
「光栄です」
姉さまが片膝をつき、うやうやしくその剣を受け取る。
その鞘の色は紺、それに金色で文様が彫り込まれている。
形から見ると両刃の剣のようだ。
「抜いてみよ」
姉さまはその言葉に従い、剣を抜く。
鞘から青い光が流れ出る。
その青く透き通った刀身が日の光を受けてきらりと輝く。
「それこそが空より飛来した石を鍛えて作った、世界に二つとない宝剣。龍滅剣じゃ」
なにそれ!?すごく気になるんですけど!
僕は密かに“鑑定”を使いその宝剣を盗み見る。
名称:龍滅剣
鑑定:隕石を鍛え勇者の為に作られた剣。魔の力を切り裂くことが出来る。形のないものも斬ることが出来、闘気と魔力を注ぎ込むことでその硬度を増す。
おお。これは強い。
魔の力とは邪神が使う黒いオーラの事か。
それならば、これがあればあの邪神にダメージを与えられるだろう。
姉さまは剣を鞘に戻すと深く頭を下げる。
「確かに。頂戴いたしました。これにて邪神を屠って御覧にいれましょう」
玄武王は満足げに頷く。
「うむ。期待しておるぞ」
こうして僕らは玄武の王から宝剣を受けとり、領空を飛ぶ許可を得た後、帰路についたのだった。
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満月まであと四日。
僕らが本陣に戻ってから、白虎軍は侵攻を開始した。
ミオはまだ帰ってなかったけど、行く場所は一つだ。そのうち追い付いて来るだろう。
すでに二つの砦を抜き、あと一つの城と砦を越えれば、その次は白羅城だ。
こちらに王と王妃がいるので、寝返る龍族が多く、こちらの戦力は増している。
もはや敵は黒龍族とゴブリンなどの亜人達だ。
そして次の城こそ黒龍族の本拠地、黒鷲城だ。
部隊の先頭、僕らと馬を並べ進軍している蘭青将軍が言った。
「この丘を越えたら、そろそろ城が見えてくるはずです」
僕らは馬の速度を上げ、丘を登りきる。
すると、その言葉通り、丘の上から城が見えてきた。
が、城の周りにいるのは……。
ティーリンが、
「ちょっと、何あの亜人の数」
そう。亜人だ。何十万ものゴブリンやオークのような亜人の大群が城の周りで待機しているのだ。
「そうか。ここで食い止めるために今までの砦に戦力が少なかったのか」
「それにしても数が多すぎます」
ミモザが言う。
「隊と隊の間隔が広いわね。私とオルターの範囲攻撃を警戒しているみたいだわ」
確かに範囲が広い。これを相手にするとなると骨が折れそうだ。
蘭青将軍が、
「ここは私たちに任せてもらって皆様は先を行かれるというのは」
僕らは顔を見合わす。
はやる心を押さえ、僕は言う。
「いや、白羅城にこれ以上の戦力が居たらさすがに勝てない。まだ日にちはあるからここを攻略して進みたい」
蘭青将軍は、
「そうですね。ではこちらの布陣が整い次第攻撃に移りましょう」
そう言うと隊を指揮しに戦列へと戻っていった。
「私が全部叩き潰してきますよ!」
リヨンがやる気満々だ。
うんまあ、リヨンに突入させれば、嬉々として殲滅してきそうな気がしないでもないけど……。
でもどこにどんな強敵が潜んでるかわからないからね。
「まあすぐに戦闘になるからもう少し我慢ね」
と、なだめておくことにした。




