ミオの行く場所
「今より、もっとにゃ?」
蘭青将軍は頷く。
「はい。我ら白虎族の修練の場。今は亡き白虎神が残した洞窟があります。そこへ行くのです。猫族の貴方様ならば、白虎神の加護も受けられましょう」
ミオは即答する。
「やるにゃ。今より強くなれるのならにゃんでも」
蘭青は頷くと、
「では時間がありません。この後さっそく部下に案内させましょう」
「にゃ」
「場所はここからだとそう遠くありません。白虎の神域ですので他の者は入れませんが」
そうすると、ミオとは別行動か。
「では私は玄武城へ。移動はオルターに竜になってもらっても?」
僕は頷く。まったく姉さまは人使いが荒い。
蘭青将軍が、
「玄武城へは私も共に参ります。頑固なやつらですが、さすがに今回は力を貸してくれるでしょう」
僕は、
「戦場はどうなる?あの様子だと、深く攻め込まなければ邪神は出てこないだろうが、油断はできないだろう」
「戦線は維持します。この戦い、あくまで主役は勇者の力。アンフィ様が戻るまで、ここで耐え凌ぎます」
ミモザが口を開く。
「ええ。なら居残り組でこの戦場、頑張って守り抜きましょう。いえ。どうせなら敵を殲滅してしまいましょうか」
ミモザがそう言えば、リヨンが両こぶしを打ち付けて、
「それはいい。アンフィとオルターに邪神だけ残しておくことにして、後は全部やってしまおう」
珍しく冗談を飛ばす。
いや、これは本気か?……ほんとに実行してしまいそうな気もするけど。
「じゃあ僕らはさっそく玄武の領地へ。あとのこと、皆頼んだよ。無理はしないで、邪神が出たら引くんだよ」
「ええ、任されました」
「はい!」
「お気をつけて!」
「いってらっしゃいませ!」
「おう!」
僕はテントを出ると、スカイドラゴンへと変化する。
そして背中に姉さまと蘭青将軍を乗せると、一路、玄武の城へと飛び立ったのだった。
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*
ミオは一人、洞窟の中を奥へ奥へと進んでいた。
ここは白虎の神域、修練の洞窟。
光る苔が所々群生しており、ほのかに明るい。
白虎の城の後方にそびえる、白虎山。
山の麓に開いたその洞窟の入口から、入ってどれくらいの時が過ぎたのだろうか。
この洞窟に入る折、説明は受けている。
洞窟に入り、数百ある分かれ道を、これと思うほうへと歩く。
ただそれだけだ。
たいていの者は何もなく、外に繋がる道をただ歩くだけで終わってしまう。
だが、その者が力を求めている場合、それがふさわしい相手へと自然と出会い、その相手に勝利すると力を授かることができるという。
その相手は白虎神が作り出した思念体で、その姿は千差万別、過去にはゴブリンの姿から、この大陸にはいないはずの竜種の姿に出会ったものもいたらしい。
その洞窟をミオは一人進む。
猫族のミオにとって、かすかな光源の苔でも、真昼のようにあたりを照らして見えている。
迷いなく、進む。
この洞窟に入った時から、ミオはその存在に気づいていた。
力強く、温かい。
そして、その存在がミオを呼んでいる。
数百の分かれ道を、迷いなく一直線に進んでいく。
ミオは自分の心臓の鼓動が高鳴っていくのを感じている。
―――強い相手だにゃ。
ただし、プレッシャーはない。
温かく、包み込むかのような、それでいて厳しい強さを持った存在。
どれくらい歩いただろうか。
ひたすら歩く。その先に。
最後の三叉路を迷いなく真ん中を選び、辿り着いたそこは地底湖だった。
そして出会った。
その姿は通常の三倍はある白い虎。
光り輝くその姿は神々しささえ感じる。
まごうことなき白虎神がそこにいた。




