決戦聖王国シーサ4
本日2回目の更新です。
「よくぞ参った。オルター・ドヴェルクよ。私がシーサ国王シメオン三世である」
マナを癒した後、僕らは国王に呼ばれ、王の前に連れてこられた。
王はまだ若く、三十代後半だろうか。神官のような金糸で綴られた長いローブを纏っている。
王の左手に神官長、右隣にはおそらく娘、皇女だろう少女が立っており、その隣は杖を持った黒いローブの老人が控えている。こちらは宮廷魔術師だろうか。
「くるしゅうない面を上げよ」
「はい」
ここに居るのは、僕とティーリンとマナだ。
「マナよそなたの呪いを祓えたそうだな」
「はい、オルター様に解いていただきました」
「にわかには信じられんが。神官長にすら解けなかったのだが」
マナが紺のローブの右腕をめくり右手をあらわにする。
どこからともなく、おおっという声があがる。
マナのおぞましい呪いはもはや周知の事実だったらしい。
「オルターよ。マナに掛けられた呪いを解いたことに礼を言おう。どのようにして解いたか聞かせてもらえないか」
僕は答える。
「はい。ディスペルマジックで解かせていただきました」
魔法使いの老人が声を上げる。
「まさか。ディスペルマジックで解けるはずがない! わしにも解けなかったのだぞ」
僕は少し困った顔をした。
老人の目が険しくなる。
「ではそなた……、呪文を弄ったな? 」
さすが宮廷魔術師。弄ったことがわかるとは。
「いえ、古竜から授かった特別なディスペルマジックです。私以外には使えないそうです」
老人の顔が驚愕に歪む。
「古、古竜だと…………」
王様が感嘆の声を上げた。
「そなたはその歳で竜の試練をクリアしたというのか! 」
「はい。先ほど帰ってまいりました」
「なんと。これはシザリス様のお導きじゃな……」
僕は続けて言う。
「このまま敵軍をせん滅した後、デスタイラントを討伐しに行こうと思います」
王様は一瞬驚いたが、
「簡単に言ってくれる。そういう所は勇者にそっくりじゃな」
どうやらアンフィもここに寄ったらしい。
「仲間はその方らだけか? 」
「いえ、あと三名います。ユニコーンと武闘家、あと今は別行動ですが賢者マリーナもです」
賢者マリーナの名前を出すと、小さくおお、と声が上がった。
「ほう。誰の要望にもこたえず、孤高の賢者と言われるマリーナもか。おや。僧侶はいないのか?」
「はい」
「そうか……神官長、誰か出せぬか?」
おお。僧侶はぜひ仲間にほしい。
「聖女アンリと同じくらいの腕となると……。すぐには難しいですな」
壮年の神官長は思案顔だ。
「お父様。私が行きます」
突然王の隣に控えていた女性から声が上がった。
白に赤い模様の入ったローブを着ている、鮮やかな水色の髪を後ろで縛った、おそらく16,7歳の少女だ。
「皇女様なら、確かに聖女アンリに勝るとも劣らない実力がありますな」
神官長は頷く。
「む。お前か。しかしお前をそんな危険なところに行かせるわけには……」
「どちらにせよオルター様が負ければ人間の世界は終わりです」
むう、と王様は唸った。
「では皇女様には聖女の称号を与えましょう」
神官長が言った。
皇女はにっこりと笑う。笑うとえくぼができて愛らしい顔になった。
王様は深く息をすると、
「しょうがない。では第二皇女ミモザよ。いや、聖女ミモザよ。オルターと共に勇者を助け出し、魔王を撃ち滅ぼしてくるのだ」
ミモザは頷く。
花のような笑顔を浮かべると、
「オルター様。シーサ国第二皇女ミモザです。これからどうぞよろしくお願いします」
僕は内心驚愕したが、顔に出さずに頷いた。
「はい。こちらこそ。オルター・ドヴェルクです。よろしくお願いします」
こうして皇女ミモザが仲間になった。
どうしてもキリがいいところだと話が短くなってしまう。
毎日更新っていうのはなかなか難しいなぁ。
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