vs邪神アラク
人型に六本の腕。
逆立ち銀に輝く髪は天を突き。
肌は漆黒。
目は赤く爛々と光る。
「我は戦神アラク。世に破壊と災いをもたらす神なり」
「ハッ」
そして何やら集中すると、二本の手にハルバードを二本、もう二本の手に斧を二本、そして最後の両手に刀を二本を作り出す。
そのすべての武器が禍々しい黒いオーラを纏っている。
「まずは小手調べ」
アラクがその刀を高速で振るった。
飛ぶ斬撃だ!
両手の武器から発生した飛ぶ斬撃が僕と姉さまを狙う。
お互いの武器でそれを弾いた瞬間、
「っ!?」
邪神アラクの姿が掻き消えた!
次の瞬間、僕の前に現れる!
やばいっ攻撃を弾いた姿勢で迎撃が出来ないっ。
アラクは僕に向け、左右の振り上げた斧を振り下ろす!
防御は間に合わないっ!
手が足りないっ!
ならっ!
僕は逆に前に、アラクの方へと突進する!
足りないのならばっ!
作ればいい!!
僕は叫んだ。
「―――暗黒魔法“魔銀変化”っ!!!!」
僕の腰に備え付けられている魔法の袋から、かつて魔神ウルヌスから奪った魔銀が飛び出してくる!
それは一瞬で僕の体を覆い、四本の腕となる!
僕はアラクに組み付き、斧を振り下ろされないように魔銀の腕でアラクの腕を掴む!
「貴様っ戦神の攻撃を止めるだと!?」
アラクの驚愕の顔を尻目に、
「あいにく邪神との戦いは慣れてるんでねっ」
と、うそぶく。
「光の魔法と暗黒魔法を同時に使うなどっ、見たこともないっ」
そんなこと言われてもできるものはしょうがないっ。
僕はアラクの胸に蹴りを入れ、体を引き離し距離を取る。
僕は魔法の袋からこちらも武器を出す。
全部でヒヒイロカネの刀二本、トンカチ、オリハルコン製の刀三本だ。
「ほう。なかなか良い武器を持っているではないか」
僕はアラクに接近し、
「こちらも小手調べだっ“聖光星爆斬”!!」
すべての腕で“聖光星爆斬”を放つ!
アラクは楽しそうに、
「あっはっは、やるではないか!これならば轟炎を苦しめるわけだ!」
これでまだ余裕があるとは、さすが邪神を名乗るだけのことはある。
僕はアラクと打ち合い、離れ、打ち合い、離れ、切り結ぶ。
「オルターっ!」
姉さまの声にハッとした僕は慌てて回避行動をとる。
僕の真横を炎が突き抜けて行く。
轟炎かっ忘れてたっ。
轟炎がアラクの横に並び飛ぶ。
「アラク様。そろそろお時間です。目的をお忘れになってはなりませぬ」
「……そうであった。ふっ。なかなか楽しめたわ」
「あとはこの轟炎にお任せを」
「ああ。我は目的を達するとしよう。そのほうら、運が良かったな。だが次会うときは手加減はせぬ。首を洗って待っているがよい」
アラクはそう言うと、その姿が掻き消えた。
また瞬間移動か!?
一体どこに……。
猛烈に嫌な予感がする。
僕は奴のプレッシャーを探る。真下っ!戦場か!いや、これは僕らの陣営の方だぞ!
姉さまが僕と轟炎の間に立ちはだかる。
姉さまが悲鳴のような声で、
「オルター行って!ここは私がっ!」
一人轟炎に立ち向かう。
僕は返事をしながら技を放つ。
「わかった!任せる!“獣人神拳・雷獣”!!!」
雷となって地面へと落ちる。
そこで見た光景は……。
吹き飛ばされた野営地と、気絶したリリアンを小脇に抱いた邪神アラクの姿だった。




