戦場1
ゴブリンやオークなどが主力だった右翼は一瞬で半数が戦闘不能に陥り、大混乱だ。
そこへ勢いづいた歩兵が槍を突き出しながら突入する。
僕らは借りた馬で戦場を走り抜ける。
このまま右翼を斜めに突き進み、中央の軍の横腹に横槍を入れるために。
途中、指揮を取っていたゴブリンキングを“聖光星爆斬”で薙ぎ払いながら、姉さまが駆ける。
その巨大なゴブリンキングはしかし“聖光星爆斬”によって一撃で真っ二つにされてしまう。
先頭に躍り出たミオが敵を薙ぎ払い、すさまじい勢いで敵陣の中を突き進んでいく。
「先頭はまかせるにゃんねーっ!!」
止まらない!敵を斬り付けながら、その敵を足場に、風のように突き進む。
マナが馬の上から“エターナルフレアソード”を長めに発現させ、敵を薙ぎ払う。
通常ならば来るはずのない炎の魔法の攻撃に、亜人たちはさらに恐慌状態に陥る。
リヨンが衝撃波で敵を吹き飛ばしていけば、ティーリンが凄まじい速さで矢を射っていく。
この大陸でも稲妻系の魔法なら使えることに気が付いたリリアンが“ライトニングスパーク”を放ち、直線状の敵を麻痺させていく。
僕らは走りながらひたすら斬る!
いかなる大群だろうと僕らの進撃は止まらない!
そうしているうちに、右翼を抜け、そのまま僕らは中央の軍の右から楔のように中央軍を分断していく。
「撤退だっ!撤退っ!」
そう言っていた隊長クラスの敵をリヨンが衝撃波で吹き飛ばす。
龍軍が波が引くように撤退していく。
追撃は白虎たちに任せよう。
いや、しかしなんだ。
敵の本拠地から黒い波動が押し寄せてきた。
そしてなにか巨大なものがこちらに迫って来る。
巨大な黒龍……。
いや、まさか、何だあれは。
体はこのあいだ戦った轟炎より大きく、首が五つに分かれている。
ヒドラか?だが手足はなく、蛇のように地面を這って、ドラの音とともに進んでくる。
それが三体。
僕らだけで、やれるのか!?
「オルター殿!!」
僕は慌てて声のした方を振り返る。
鎧を纏った巨大な白い虎がこちらに走ってきた。
白虎の将軍だ。
「虎体で失礼!敵が邪龍達を出してきたため、こちらも精鋭を出しまする」
僕は答える。
「しかしそうすると本陣の守りが薄くなるのでは!?」
「あれはそんなに生易しい敵ではございません。伝説に曰く、勇者がなんとか多大な犠牲を払い、やっと一体仕留めたとのこと」
「そんなものが三体も……」
姉さまが横から、
「では私とオルターで二体、相手をする!オルター、いけるな!?」
僕は、
「やれと言われればやりますよっ、姉さまは人使いが荒い」
姉さまはにやりと笑うと、
「では小手調べだっ」
気と魔力を練り上げ始めた。
姉さまの体から純白のオーラがほとばしる!
そして邪龍の一体に狙いを定める。
「“真竜・勇者の一撃”!!!」
天へと至った光の柱を邪龍の一匹に振り下ろした!
「なにっ!?」
しかし邪龍はその巨体に似合わぬ素早さで“真竜・勇者の一撃”を避けた!
が、姉さまの一撃は完全には避けきれなかった頭一つを消滅させる。
「思ったより素早い!」
姉さまが歯ぎしりした。
「うっ姉さま見て!頭が再生していく」
「しかも再生持ち……」
僕は白虎の将軍に、
「なにか弱点はないのですか」
「弱点は心臓部だ。それぞれの首の根元にある」
「それさえ分かれば!私は右のヤツに行く!マナ、ティーリン、リヨン、フィナ、ルスリィはこっちに!残りはオルターに!」
「「「「はいっ!」」」」
「では僕は中央のやつに!ミオ、リリアン、ミモザ、紅の牙の皆、いくよ!」
「「「はいっ!」」」
敵は邪龍を先頭に立たせ、その後から兵を追随させるという陣形を取ってきた。
「では左の一体、おまかせします!」
「承知!」
白虎の将軍は一声吠えると、部下を連れて左の邪龍へと向かう。
さあ、正念場だ。
邪龍を倒し、決着をつけよう。
そして僕らは邪龍に向け、馬を走らせた。




