vs轟炎
僕はミモザ、姉さまの乗るラフェとすれ違い、そのまま巨大な黒龍に襲い掛かる。
黒龍は爪を突き出し僕の体当たりを迎え撃つ!
避けないのかよっ!
望むところだっ!
僕の体当たりは黒龍の胸にぶち当たり、あまりの衝撃に一瞬意識が飛びそうになる。
そのまま黒龍は爪を振りかぶり、僕に向けて振り下ろした。
咄嗟に胸を蹴ってその反動で後ろへと宙がえる。
黒龍はしかし、言い放つ。
「ふんっ、この程度でこの皇帝、轟炎に傷をつけられるか」
皇帝だと!?
ならこいつが黒幕か!?
今こいつは一人じゃないか!
ぬかったな。こいつを倒せばすべてに蹴りが付く!
だが轟炎は体のそこかしこから黒いオーラを迸らせ、こいつは……邪神に近いプレッシャーを感じさせている。
決して油断のできる相手ではない。
「お前が皇帝だと!ならばお前を倒せばすべて終了だ!」
「ぐはははは。面白い事を言う。たかが竜族、我が敵ではないわ!」
どうする、大きさで負けているから皇帝竜に変化するか?
いや、……ここは確実に……修行の成果を見せてやる。
「いや、僕は竜族じゃない」
「なんだと!?」
轟炎は訝し気に僕を見る。
「僕は……人族だ!」
そこで驚く轟炎の前で竜化を解き、即呪文を唱える。
――――神級光魔法“武装天使鎧”
僕の体を光の鎧が覆い、背中に翼が生える。
「光魔法だと!?おまえは勇者……いやありえん!勇者は先程仕留めたはず!」
「勇者を仕留めただと!?」
「ああ。我が呪いをその身に受けさせてやったわ。今頃くたばってるだろうよ」
なんだって!?
そういえば姉さまはラフェの背中でミモザに抱かれていた気がする。
くそっ。こいつを相手にしてる場合じゃないか!
……だが逃げ出すのは無理そうだ。
よし。
短期決戦だ。
決意を決め轟炎を睨みつけ、虹色に光る刀を構える。
「お前を……倒す!」
「やれるものならなあっ!!」
次の瞬間、轟炎が大きく息を吸い込み、盛大に炎を僕に向けて吐き出した。
「ふんっ、そんなものは僕には効かない!朱雀十剣。対炎式っ!」
刀で炎を絡めとる!
轟炎の顔が驚愕で歪む。
僕は上方へ、螺旋を描き飛びあがりながら炎を巻き取っていく。
そして自分の魔力を上乗せし、轟炎に向かって斬り付ける!
「対炎式、三、炎王火炎斬っ!!!」
轟炎は咄嗟に黒いオーラを纏った左手で僕の攻撃を受け止める。
なんという固さだ!
黒いごつごつした鱗で止められてしまった。
ヒヒイロカネの刀でしかも属性を乗せているのに振り抜くことができないなんて!
しかしそれは轟炎も同じらしく、
「ならばこれでどうだあっ!」
次は角から電撃かっ!
「効かないといっているっ!対雷式っ!」
電撃を刀で受け止める!
「倍返しだっ!!対雷式、三ッ!雷王電撃斬っ!!!」
自分の魔力を上乗せし、轟炎に斬りかかる!
今度も轟炎は左腕で僕の攻撃を受け止める。
「ガアッ!!!」
そして僕を弾き飛ばす。
僕は距離を取り、轟炎の周りを旋回する。
「言うだけのことはあるわ。だがこれならばどうだ」
轟炎が再び大きく息を吸い込む。
またブレスか!?
いや、先ほどと違う。
何が来る!?
轟炎の口の中で赤黒い光が、耳障りな高音を伴って膨れ上がっていく。
「カっ!!!」
次の瞬間。
赤黒い閃光が僕を射抜く。
一発目は刀で弾いたが、姿勢を崩してしまい、二発目、だめだ、避けきれない!
その時、リンサの声が頭によぎった。
『魔の物の攻撃は対魔式。これを使う』
そうだ!朱雀十剣を使えばっ!!
「朱雀十剣っ対魔式っ!!!!!」
肩に直撃したその閃光は、僕の放った対魔式で僕の体から弾かれる。
落ち着け……。
気と魔力を練り上げろ。
それさえできていれば朱雀十剣がすべてに対応してくれる。
僕の体が赤黒い閃光を弾いたのを見て轟炎の目が見開かれる。
それでも次の閃光が僕を襲う。
僕は今度は刀でその攻撃を受け止める。
一発、二発、三発!!
それで終わりかっ!
僕は刀に取り込んだ闇の力を自分の魔力で膨れ上がらせる。
「な、なにをっ」
驚愕する轟炎にむけ、言い放つ。
「自分の力で滅ぶがいい!朱雀十剣、対魔式っ三っ!!」
刀身で吸収した闇の力がどくん、と鳴動した。そのまま僕は技を繰り出す。
「“闇王暗黒斬”っ!!」
僕の攻撃は今度こそ轟炎の鱗を貫き、腕を切り飛ばした。




