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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第二章
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古竜エンシェントドラゴン

 というわけで僕たちはレッドドラゴンの背中に乗ってる。

 僕が首の後ろ、その僕にくっついてミオが後ろに座っている。 

 しぶしぶだったけど一応約束だからね。


 おおーこれはすごい!

 空から見る地上の風景は圧巻の一言だ。


 この前は自分の風魔法で飛んだけど、風魔法の場合は魔力の調整が難しいから景色を楽しむ暇なんてなかったしね。


「風が気持ちいいにゃ~」


「そうだね~」


『あんたたち感謝しなさいよ。特別に魔法で吹き飛ばないようにしてるんだからね』

 

『ああ、そうなのか。どうりで風が弱いと思ったよ。ありがとね。』


『ふ、ふん』


『でも僕たちを運んで大丈夫なの? 怒られるんじゃないの?』


『大丈夫よ。力いっぱい戦って負けたんだもの』


 なるほど。仕事はしたということかな。

 

 景色を十分堪能したころに霊峰セブの火口に到着した。

 重さを感じさせず、ふわりと降り立つ。


「ミオ、降りるよ」

「はいにゃ」


 あっ! ミオがそのまま僕の事を、お姫様抱っこで地上までジャンプした。


 すたっと着地する。


「にゃははは。たまにはこういうのもいいにゃ? 」


「もう!今回だけだよ? 」


 なんか悪い気はしなかったけど、ちょっと恥ずかしい。


『はいはい、イチャイチャするのは後でしなよ。おばさまに会いたいならそこから降りるのよ』


 ラフェが火口を指さす。おそらくおばさまっていうのはエンシェントドラゴンの事だろう。


「案内してよ」


 ダメもとで言ってみる。


『はぁ~』


 思いっきりため息をつかれた。

 てっきり断わられると思ったけど、


「しょうがないわね。ついてきなさい」


 ラフェは人型になるとすたすたと歩きだした。

 案内してくれるらしい。以外だ。実はいい人? いや、いい竜?



 火口内側にぐるりと階段が続いていた。下はマグマだ。吹きあがってくる熱気がすごい。くらくらする。


「落ちるんじゃないよ。マグマに落ちたら助けようがないからね」


 実はいい竜? のラフェが忠告してくれる。


「ミオは余裕? 」


「ちょっと怖いにゃ」


「僕もだよ」


 あ、でも僕って火属性耐性を持ってたよね。落ちても大丈夫だったりするんだろうか?

 いやでもさすがに試してみようとは思わないけど。

 

 階段の途中で洞窟の入口があった。


 ラフェはそこに入っていく。


 そこにはすっごい場違いな緑色の扉があった。

 扉にドラゴンを模した真鍮製のドアノッカーが付いてる。


 ノッカーを叩いてラフェが声を上げた。


「おばさま、私です。ラフェです。お客様を連れてきました」


 すると、扉がひとりでに開いた。こんなところに自動ドア!?


「いらっしゃーい。今手が離せないからちょっと待ってね」


 中は普通の家だった。いや、この世界の家より、日本の家っぽい。なんか懐かしい。

 壁は白く、蛍光灯のようなものが明かりをともしている。


 エンシェントドラゴンは書斎と思わしきところに居た。

 壁一面、本がある部屋だ。七、八メートルほど上部までぎっしり本が詰まっている。

 奥にまだ部屋があり、そこも本棚でいっぱいのようだ。


 本棚の前に机があり、一見20代後半と思われるショートボブで眼鏡をかけ、紺色のローブを着た女性が、書類と思わしき羊皮紙に羽ペンで何かを書き込んでいた。


「ちょっと待っててね、今これ終わらせちゃうから。そこ座ってて」


「はあ」


 僕とミオはソファに座って待つことになった。


「ラフェ、お茶出してあげて」


 ラフェは、


「なんで私が…」

 

 と言いながらもお茶を用意しに行った。


 なんか場違い感がすごい。

 ひょっとしたらエンシェントドラゴンと戦闘になるかもと身構えていたのは何だったんだろう。


 ラフェが入れてくれたお茶を飲んでみる。

 僕は驚愕する。

 

 日本の紅茶と同じ味がする!


「これ紅茶だ」


 思わず声に出た。


 ラフェの方を見たら、首をすくめられた。ラフェも僕らの向かいに座り、紅茶を飲んでいる。


「いらっしゃいいらっしゃい、えーとオルター君にミオ君だよね? 」


 いつの間に仕事が終わったのか、エンシェントドラゴン? はこちらにやって来た。


 僕は立ち上がって挨拶をする。


「はじめまして。オルター・ドヴェルグです。彼女はミオ」


「ミオですにゃ。どうぞよろしくですにゃ」


「どうもどうも。これはご丁寧に、エンシェントドラゴンのウリシュナです」


 ぺこぺこと頭を下げられると、なんかエンシェントドラゴンには見えない……。


 僕はさっそく聞いてみる。


「ここまで来れば願い事が叶うというの本当ですか? 」


 エンシェントドラゴンのウリシュナは目を見開いた。 


「えっ、そんなことになってるの!? 」


 逆に聞かれた。


「……」


「……」


「ふはははは!よくぞここまで参った!我が竜の中の竜、竜王の中の竜王、エンシェントドラゴンぞ!さあ、願い事を言うがよい!」


 ウリシュナはえっへんと両手を腰に当て、ふんぞりかえって言った。


「おばさま、無理があります。」


 ラフェは紅茶のカップを手に持ったまま、真顔でツッコミを入れた。



今日の分です。続きはまた明日!(ぺこり)

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