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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第二章
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竜の試練13

夜にもう一回続きアップします。

 僕らは樹海を抜け、草原に出る。

 ここからはレッドドラゴンの縄張りだ。

 いつ襲われてもおかしくはないが、これだけ見晴らしがいいとこちらからも簡単に発見できるだろう。

 気配察知を強く意識しながら僕らは草原を歩く。


 まだミオはびくびくしてる。


「く、くるにゃらこい! 」


 シュッシュッ! ミオはシャド―しながら歩いている。


「ミオ、あんまり緊張してるといざって時に動けなくなるぞ。」


「ご、ご主人様はすごいにゃあ。尊敬するにゃあ」


 僕が落ち着き払ってるのを見て、ミオの中の僕の評価がまた上がったみたいだ。


「じゃ、そろそろ昼飯にしようか。肉がもう食べないとダメかもだし。煙が出ればレッドドラゴンが来るかもしれないしね。」


「来てくれないことを祈りたいにゃ……」


 僕は準備をする。と言っても魔道具の金床と肉を出すだけだけど。


 土竜の肉と黒パンを袋の中から取り出す。


 焼いた肉を黒パンに挟んで出来上がり。

 ミオも同じのを作る。さすがに生肉をパンに挟むのはどうかと思ったので、ミオのは少しだけあぶる。

 

「こうやって食べるのもたまにはいいにゃぁ」


 ミオは美味しそうにばくばくと食べる。


 ん? 僕とミオの動きが止まる。


「きた」

「くるにゃ」


 殺気が迫ってくる。

 

「どこだ!?」

「あっちにゃ」

 

 ミオが目を細めて睨んでる。


 なるほど。赤い点が近づいてきている。


 急いで袋に金床をしまう。そして呪文を唱え始める。ここから魔力を溜め始めればかなり大きな魔法も使える。

 

 僕は虹色のトンカチを構え、魔力を溜める。


 ミオもオリハルコンの爪を装備し、体中に闘気を巡らせる。ミオの体が薄い青色のオーラで覆われる。


 間違いなくレッドドラゴンだ。


 ものすごい勢いで一直線にこちらへ向かってくる。


 あと、


 1000メートル。


 500メートル。


 もうちょい……


 100メートル。


 いまだ! 先手必勝! 僕は練りに練った魔法を解き放つ!


“トルネード!”


 今回使った魔力は通常の1000倍だ。かなり勢いは削がれてるだろうが、十分の威力を持ったトルネードがレッドドラゴンに迫る。

 レッドドラゴンに魔法はほとんど効かないという話だが、さすがに僕の魔法は効くはずだ。


 レッドドラゴンは急ブレーキをかけたようだが、遅い!


 トルネードに頭から突っ込む!


「グギャオオォォオォ! 」

 

 すさまじい魔力の嵐がレッドドラゴンをもみくちゃにする。翼が片方あらぬ方向に曲がり、レッドドラゴンは地面に落ちる。


 レッドドラゴンの墜落した衝撃で地面が揺れる。


 僕とミオはレッドドラゴンへ走る!


 走りながら防御魔法を二人に掛ける。虹色の結界が二人を包む。


 「先行くにゃよ!」


 ミオが僕を抜いてレッドドラゴンへ迫る! 

 その恐怖に勝った横顔は凛々しく美しかった。


 おっと見とれてる場合ではない!

 

 近くに来ると、さすがにでかい!二階建ての一軒家ぐらいあるぞ!

 

 だがやるしかない!

 

 僕は走りながら唱えていた魔法を解き放つ。

 土水竜王戦を活かして考え付いた戦術だ。

 

“ストーンウォール!”

 ただのストーンウォールじゃない。ストーンウォールを円い棘状にし、レッドドラゴンを突き刺す!

“ストーンウォール!” 

“ストーンウォール!”

“ストーンウォール!”

“ストーンウォール!”


 レッドドラゴンを中心に円形にストーンウォールの棘を展開する。突き刺すのはおまけだ。突き刺さらなくても問題ない。

 これの目的はミオの足場を作ることだ。


 これは正解だった。

 

 ミオが手の届くところに斬撃を入れていく!

 

 肩に、腕に、足に、胸に! 背中に! 翼に!


 打合せ通り、とにかく手あたり次第に攻撃していく。

 レッドドラゴンが暴れるたびに何本もストーンウォールを折られるが、それを上回る速度で作る!

 ミオは棘からレッドドラゴンに飛び降り、一瞬でオリハルコンの爪で攻撃し、また棘へ逃れる。


 棘から棘へと飛び回りながら頭を狙う!


 何度目かの攻撃のあとに、頭に届いた!


 瞼の位置にオリハルコンの爪を突き刺し振り抜く!


「グギャオオオオオオオオオオオオオォオォォォ!」

 

 瞼から血を吹き出しながら!レッドドラゴンが吠える!


 全力で暴れまわる!


 しかし僕らには届かない。


 平静を失っているドラゴンなど怖くない。


 僕はミオの足場がないところへストーンウォールを作りだし、足場にする。


「グギャオオオオオオオォォォ」

 

 とレッドドラゴンが叫んだあと、突然レッドドラゴンが真っ白な光に包みこまれた。

 まぶしい光に思わず目をつむりそうになるのを意志力で抑え込み、薄目で見届ける。

 

 レッドドラゴンの輪郭がぼやけ、光が収まるにつれ、輪郭が小さくなっていく。



 光が収まったあとには、レッドドラゴンの姿はなく、真っ赤なマントを着た人間が立っていた。



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