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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
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リヨンと闇の種子13


 そのままオークション会場に戻ると、丁度後半の武具の出品だった。


「では迷宮からはこちらの鎧。プレートアーマーの胸部。鑑定の結果は、装備すれば常に守備力が二倍に上昇する。100万から」


「110万!」


「150万!」


「200万」


「220万!」


「500万」


「550万!」


「600万」


 冒険者であろうがっしりとした男と、金持ちそうな太った男の一騎打ちだ。


「ろ、650万!!」


「700万」


 冒険者の男はがっくりとして、うなだれてしまった。


 その金持ちの男は次も、その次も落札していく。


「あいつは誰なんだ?」


「あれか。大商人だな。一代でのし上がった商人ギルドの重鎮だ。大方新しい奴隷かボディーガードでも雇ったんだろうな」


「なるほどな。そうだリヨン、さっきの金は半分ずつだからな。三憶五千万だ。欲しいのがあったら言ってくれ」


 と、小声でリヨンに言った。


 リヨンは頷くと、


「お金のことはよくわからないからツトムにまかせる。欲しいのがあったら言う」


 そして次々と魔法の武具のオークションは過ぎていく。


「次もすごいぞ。とある貴族から頼まれた依頼品。これは希少だ! マジックバッグ二つ! なんとこの二つの袋は中で繋がっている! さらに時間も止まっております! 容量は100トンまで! さあ1000万からのスタートです!」


「「これ欲しい!」」


 ツトムとリヨンが同時に言う。


 会場がざわついているから、かなりの金額になるだろうことは予想がつく。


 ギルドマスターが頷く。


「これは億単位の入札になるが、それでもいいかい?」


 ツトムは頷くと、


「ああ。そうだな、俺の二億とリヨンの二億、足して四億までなら出す」


 ギルドマスターはにやりとした。


「よし、まかせろ」


「2500万」


「3000万」


 ギルドマスターが手を上げる。


「1億」


 会場がざわめく。


「はい、1億です! いませんか!」


「1億5千!」


 ギルドマスターがまた手を上げる。


「2億」


「2億! 他いなければ2億で落札です!」


 誰も手を上げる者はいない。


「はいおめでとうございます。2億で落札です」


 やったっとリヨンとツトムが小躍りする。


 ギルドマスターは、


「これは高いんだぜ。2億で落とせたのはかなり運がいい。前に10億で落札されたのを知ってる」


「そいつは運が良かった」


「オークションを見てて思ったのだが、ツトムとリヨンの装備は商店を探したほうがいいかもしれん」


 ギルドマスターは顎をぽりぽりと掻く。


「時間があれば明日案内するが」


 ツトムは悩む。


「どうするリヨン」


「ん。ツトムに任せる。明日店を回ってもいい」


 リヨンは珍しく焦っていない。


 ツトムは思った。


 やはり闇の種子の影響が強い時は、他の事が考えられなくなっているのだろうか。


 今のリヨンが本当のリヨンという事なのだろうか。


「分かった。じゃあお願いする」


「明日の朝な。十時に宿に迎えに行く」


 ツトムとリヨンはマジックバッグの支払いを済ませ受け取ると、そのまま会場を後にした。


 



***





 ツトムとリヨンが朝食を食べ終わり、お茶を飲んでいると、ギルドマスターがやって来た。


「おう。時間通りいたな」


 ツトムとリヨンは立ち上がる。


「まあな、午後には出たいからな。あと馬も買いたい。馬は一番最後でいい」


「おう。分かった。じゃ、露店を見てから名工の品を取り扱っている店にいくぞ」


 ツトムとリヨンはギルドマスターの後を追って宿屋から出た。




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