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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
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リヨンと闇の種子12


「はい、スノークィーンビーのローヤルゼリー1800万で落札です!」


 オークションが始まり、司会がテキパキと進めていく。


 あっという間にツトムの品物の番になった。


「はい、本日の目玉! フュードス家の蔵出しがキャンセルになり、代わりの出品となりますっ」


 会場が少しざわつく。


 連絡が追い付いていない人もいたらしく、それ目当てで来た人も少なくないらしい。


 司会は少しもったいぶる。


 舞台に白い布を掛けられた荷台が四つほど運び込まれてきた。


「大丈夫です皆さま。今運び込まれたこれらは、フュードス家の蔵出しよりもはるかに希少なものです!」


 司会が合図するとともに一斉に白い布が取り払われる。


「Sランクの冒険者が持ち込みました! なんと氷竜のエルダードラゴン、その、ツノ、牙、歯、爪、鱗、心臓、眼球、血、肉! マジックアイテムでの運搬により、狩りたての状態です!」


 会場が一斉にざわめく。


 本物かどうか確かめなくても一式揃ってるおかげで嫌でも本物だとわかる。


「私も司会役が長いのですが、エルダードラゴンのオークションは初めてなので緊張しております」


 司会はハンカチで額の汗を拭う。


「とにかくエルダードラゴンだけあり、すべてが巨大! 圧倒的な存在感! さあ、まずはツノから! 今回は二本採れた内の一本です!」


 赤い布の上にツノを乗せた台車が前に出される。


「100万から! どうぞ!」


「200万!」


「400万!」


「1200万!」


「おおっと早速1000万代! 他に居ませんか!」


「1500万!」


「1800万!」


「2000万」


 ツトムとリヨンは目が丸くなる。


 どんどんと上がっていく金額に、口を空けて呆けてしまう。

 ツトムの隣にいるギルドマスターが、二人を面白そうに見て言った。


「なにこのぐらいで驚いてるんだ? これからだぞ」


 ギルドマスターが言う通り、さらに値が上がっていく。


「5000万」


「はい、5000万! 他居ませんか!」


「7500万」


「1億」


「1億2000万」


「1億5000万」


「はい、他いませんか? いませんね? では1億5000万で落札です!」


 会場がざわめく。


「ほう。落としたのはドワーフの職人だな。あれだけでかいツノなら剣が軽く百本は作れる。一つ五百万で売れば全部で五億。ぼろもうけだな」


「なるほど」


 リヨンとツトムは感心した。そう聞けば納得できる。


 その後の品物もなかなか面白い値上げ合戦があった。


 心臓が錬金術ギルドのマスターと、そうはさせじと料理ギルドのマスターが対抗したり、色々なジャンルにまたがって興味を引く品が多いため、会場のあちこちから入札がある。


 最終的な落札価格は以下の通り。


 ツノ  1億5000万

 牙   1億7500万

 歯一式 8000万   

 爪一式 5000万

 鱗   1億

 心臓  7800万

 眼球  3000万

 血   5000万 

 肉   6000万


 ここから落札手数料とギルドマスターに謝礼を引いても、かなりの金額になる。


 ツトムとリヨンはギルドマスターに連れられ、舞台裏の個室に入った。


 そしてそこですべて引いた上で現金を渡された。


 七億ゴールドだ。


 プラチナ金貨七百枚。


 ツトムは震える手ですぐに魔法の袋に入れる。


 そしてギルドマスターに向け礼を言う。


「マスター、感謝だ」


「おう。俺も儲けさせてもらったからな。お互いいい話だったな」


 ギルドマスターもご機嫌だ。


「どうする? もう帰るか?」


「いや、後半のマジックアイテムを見てみたい。いいものがあったらリヨンに装備させたい」


 ギルドマスターは頷く。


「じゃあ戻るか」


 リヨンも興奮してるのか赤い顔で言う。


「ツトムの装備も見よう」


「ああそうだな。武器の予備も欲しいしな」


 ツトムとリヨンはもうしばらくオークションを見ていくことにした。 



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