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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
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リヨンと闇の種子11

「人間ってすごいな」


 リヨンは屋台で買った辛い肉の塊にかぶりつきながら言った。


 ツトムが答える。


「ああ。はぐれるなよ」


 朝からリヨンとツトムはトーミンの屋台を冷やかしていた。


 買うのは主に食べ物だ。


 そして香辛料の店。


 香辛料の店を見つけると、ツトムは我を忘れて品定めを始めてしまう。


 リヨンは半分呆れながらもツトムについていく。


 そのうち飽きるかもしれないが、リヨンには香辛料の瓶が並んでいるお店も楽しかった。


 オークションは夜七時からなので、それまでの暇つぶしだ。 

 

「なあ、ツトムは金持ちなのか?」


「ん? どうしてそう思った?」


 人ごみなので迷わないようツトムのマントを掴みながらリヨンは聞いた。


「いや、なんでも買ってくれるから」


 ツトムは次の、大きなソーセージに串を刺したものを渡しながら言った。


「ほら。まあ、これでも一応ランクSの冒険者だからな。それなりに持ってはいる」


 リヨンは今食べている辛い肉を急いで飲み込み、新しい串を受け取る。


「ほう。ツトムはランクSだったのか。通りで強いと思った」


 そして新しい串にかぶりつく。噛みしめるとじゅわっと肉の旨味が口の中に広がる。


 リヨンは思った。


 ランクSというやつならカレン達もランクSと言っていたが、どう考えてもツトムの方が強い。


 ランクSもピンからキリまでいるらしい。


「まあな。普通の人間よりは魔族の体の方が頑丈に出来ているしな。Sまでそんなに掛からなかった」


「ふむふむ。はふはふ。これもうまい。人間ってのはよくもこんなにいろんな調理方法を思いつくもんだ」


「そういや闇の種子は今どうなんだ? やっぱり呼ばれてるのか?」


 ツトムは気になっていることを聞いてみる。


「今は感じない。たぶんすごく距離があるんだと思う。西の方に戻ればまたはっきりとしてくると思う」


「ここから東にはない感じか。氷竜が一番東だったんだな。」


 ツトムは氷の板の上に、赤い果実を水あめで包んで固めたものを売ってる屋台を見て言った。


「リヨン、そろそろ甘いものが食いたくないか?」


「いいな。そこの赤いやつだろ? さっきから気になっていたんだ」

 

 リヨンは受け取ると、いそいでソーセージの残りを平らげる。


 そして赤い果実にかぶりつく。


 ツトムはそんなリヨンを楽し気に見ていた。


 こうして夜までリヨンとツトムは食べ歩き、武器屋や防具屋を冷やかし、そして夜になった。 




***




 オークションは町一番の巨大な劇場の地下で行われるそうだ。


「待ち合わせ時間ぴったりだな」 

 

 会場の入り口にギルドマスターが立っていた。


 ギルドマスターは白いシャツに黒の上下だ。


 リヨンとツトムはギルドマスターにつれられてVIP用の出入り口から中に入る。


 ツトムは燕尾服のような格好で、リヨンは紫のドレスだ。


 さすがに普段の恰好ではこの場所に入れないらしい。


 劇場の地下、そこには地上の劇場と同じ作りになっていた。


 ツトムとリヨンが感心していると、ギルドマスターが言った。


「ここであと三十分もすればオークションが始まる。ツトムのは四つ目から。これがカタログだ。何か欲しいものがあったら言ってくれ」


 ツトムは頷き、分厚いカタログのページをめくりだした。



もうちょっとだけリヨン編続きます。

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