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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
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リヨンと闇の種子8

 

 ツトムはリヨンの背後に転がり込む。


 リヨンは両手で衝撃波を連打し、ブレスを防ぐ。


「リヨン大丈夫か!?」


「……っ」


 リヨンは返事をする余裕すらなく、ひたすら衝撃波を撃ち続ける。


 すると氷竜は二本のヒレで立ち上がり、ブレスを吐きながら前進してきた。


「まずい、このまま上から押しつぶすつもりだ」


 あわてて精霊に声を掛ける。


『ライカ、タクティクス!』


 心の中に精霊の少女の声が返答する。


『解。現在、ツトムだけの場合、詰んでいます。ただしレベル五以上で切り抜けることが出来ます』


『だけの場合? リヨンに手伝ってもらえば、レベルを上げる以外でいけるのか!?』


『解。レベル四以上を発動し、衝撃波を放ちながらのリヨンをツトムが運べれば抜けられます』


「わかった! レベル四発動!」


『レベル四にシフトします』


 ツトムの体に力がみなぎる。


「リヨン、今からリヨンを運ぶが衝撃波は続けてくれ!」


 リヨンはかすかに頷くことで了解する。


 ツトムはリヨンの側面から、リヨンを脇に抱え、そのまま洞窟の入口方面へと走る。


 走り始めると、ズダン、と背後で氷竜が着地した音が洞窟内に響く。


 ツトムはブレスの範囲外までリヨンを運ぶと、氷竜はブレスを吐き終わった。


「ツトム、助かった」


 リヨンが珍しく礼を言う。


「ああ、……」


 ツトムはそのまま黙り込む。


 そして目を開けると、


「リヨン、二手に分かれよう。どちらかにブレスを吐いた場合、残った一人が逆方向から氷竜を仕留める」


「ツトム、いいのか? ブレスをツトムに吐かれるとツトムは防げないのではないか?」


 ツトムは自分の腿を叩き、震える足に活を入れる。


「大丈夫。レベル五まで上げれば鎧が熱を持つから多少は相殺できる。それよりも時間がない、行くぞ」


 リヨンは頷くと、ツトムが右から、リヨンが左から大きく弧を描き回り込む。


「るるるるるる」


 氷竜が喉を鳴らす。


 氷竜は完全に背後を取る前にツトムに向かいブレスを吐いた。


「やっぱそう来るよな! レベル五発動!」


 頭の中に鎧の精霊の返答が聞こえる。


『レベル五発動。現在の肉体の限界耐久時間は四分です』


『了解!』


 鎧が灼熱に燃えていく。鎧から出る熱気が吹雪のブレスを相殺する。


 ツトムは走り続け、氷竜の背後のリヨンと氷竜を挟む位置まで走りこむ。


 ツトムにブレスが効いていないのを見て、氷竜はツトムに吹雪を吐くのを諦め、リヨンへ首を向ける。


 ツトムは思った。


 ここだ。この瞬間がきっと氷竜最大の隙だ。


 ツトムは惜しげもなく精霊に向けて命令を出す。


『レベル六発動!』


『レベル五からレベル六へシフト。レベル六の限界時間は一分です』


 ツトムの鎧がツトムを覆い、光を放ち始める。


 一分。それ以内に止めを刺す!


 そこからツトムは限界まで速度を上げ、闘気を溜めながら一気に氷竜へと近づく。


 氷竜は首を背後のリヨンへ向けている。


 ツトムは走りながら技名を叫ぶ!


“巨神突き”ギガントシューティング!!」


 黒い闘気を纏ったツトムの剣は通常の三倍近くの大きさになり、氷竜に迫る。


「うおおおおおおおお」


 ツトムの雄叫びに氷竜が前を向いた時にはすでに遅い!


 飛び込んだツトムは首の付け根に剣を鍔本まで刺しこんだ!


 そのまま剣を刺したままバックステップを使い氷竜から離れる。


「リヨン! 今だ! 剣に打撃を!」


「ああ!」


 リヨンは正面まで走りこむと、片手を床につけ体の向きを氷竜に向け、正面から突き刺さった剣に、渾身の


“鬼神拳”(オーガフィスト)!」 


 を叩き込む!


 ツトムの剣は氷竜の体の中を貫き、背中から飛び出した。


 氷竜の首が力を失い、地面へと激突する。


 そしてピクピクと痙攣すると動かなくなった。 


「やった……」


 思わずツトムはその場に座り込む。


 リヨンとツトムは氷竜を打ち倒した。 


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