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勇者の弟12歳  作者: 山吹向日葵
第十章
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リヨンと闇の種子5

本日二回目の更新です。

 リヨンとツトムは一本角のグリズリーと戦っていた。


 既に通常の個体の二倍ほどの大きさがあり、肩に盛り上がった筋肉がその力強さを表していた。


 しかも黒い闘気を纏い、リヨンの衝撃波もあまり効いていない。


「俺が切り裂くからそこから衝撃波を叩き込んでくれ!」


 ツトムが叫ぶ。


「……わかった」


 ツトムが技名を叫ぶ。


「レベル四シフト! 切り裂け!!」



“螺旋剣”(スパイラルソード)!!」



 ツトムの螺旋を描きながらの神速の刺突がグリズリーの毛皮を切り裂き、筋肉に届く。


 怒ったグリズリーが殴り返そうとしたところで、ツトムはすぐに斜め後ろへバックステップし、リヨンと場所を代わる。


 リヨンの薄青いオーラが真紅のオーラに代わっていく。

 


“鬼神拳”(オーガフィスト)



 ツトムがえぐったグリズリーの右胸へ全力の“鬼神拳”を叩き込む!


 グリズリーの口からよだれと一緒に赤い血が吐き出される。


 今度はグリズリーがリヨンに殴ろうとしたところを、ツトムとスイッチをする。


「“螺旋”じゃまだ力が足りないか。ならこっちはどうだ」


 ツトムの持つ剣に黒い闘気が纏わりつき、三倍ほどの巨大な剣になる。



“巨神斬り”(ギガントスラッシュ)!!



 ツトムはその巨大な剣を袈裟懸けに振り下ろす!


 ツトムの剣はグリズリーの体を斜めに切り裂く!


 すぐにリヨンと場所を代わり、リヨンは丸太のようなグリズリーの一撃を掻い潜り、また血を流している右胸に“鬼神拳”を叩き込む!


 それでもしぶとく、グリズリーは半狂乱になって闘気を纏わせた爪を振り回す。


 一発喰らえばそれで終わりだろう攻撃を、リヨンは華麗にかわしていく。


「ヒュウ」


 思わずツトムの口から口笛が漏れる。


 リヨンが声を上げる。


「……スイッチ」


「おうよ!」 


 今度はツトムが前に出る。


 ツトムもなんとかグリズリーの攻撃をかわしていく。


 リヨンは大きく三歩さがり、右こぶしを腰に構えオーラを拳に集中させていく。


 ツトムは背後にリヨンの闘気が膨れ上がっていくのを感じた。


 この一撃で終わらせるつもりか。


 ツトムが叫ぶ!

 

「タイミングはリヨンが!」


 リヨンは短く答える。


「ああ」


 そして闘気を溜め終わったリヨンが声を上げる。


「いくぞ!」


「了解!」


 ツトムは大きく右後ろへ飛ぶ! 

 

 リヨンが一歩で一気にグリズリーの前に飛び出し、そのまま限界まで貯めた真紅の闘気をグリズリーの心臓に叩き込む!



“鬼神拳”(オーガフィスト)!」


 

 今回は一発ではない。“鬼神拳”の連打だ!


 衝撃波の上から衝撃波をかましていく!


 グリズリーの動きが立ったまま止まった。


 リヨンが最後の一発を鳩尾に思い切り叩き込むと、グリズリーはそのまま仰向けにゆっくりと倒れた。


 ズシン、と大きな音が響く。


 グリズリーは白目をむき、ぴくぴくと痙攣している。


 するとグリズリーの胸からこぶし大の闇の塊が出現し、ゆっくりとリヨンの方へ向かっていく。


 リヨンはそれを自分の胸に受け入れる。


 「あぁ」


 そして艶っぽくため息をついた。


 リヨンはしばらくその快感に酔いしれる。



 これで闇の種子をまた一つ手に入れた。



 ツトムが複雑な表情でそのリヨンを見つめていた。


 

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